涙 高橋 三千綱
紹介文グリーン上での父と子の再会、異母兄弟の優勝争いと和解、老プロゴルファーの秘話、デビュー3戦3勝してペルーへ渡った若者の笛...、勝敗や技術の極限の先に広がる人生のドラマを、愛と友情の形で切り取った、感動の小説集。ゴルフを知らない人も涙が止まらなくなってしまう"落涙小説"ナンバー1。 わかりやすいお涙頂戴の短編集。実はお涙頂戴モノは結構好きで涙腺も弱いほうなのですがこの小説では泣けませんでした。基本的にすべてが男目線。1編だけ女性が主人公のものもあるけどぜんぜん共感なし。美人だけど昔、乳房摘出手術をした陰のある年増の女と妻と別居中のプロゴルファーのお話。昔介抱してもらったからっていう理由で女を忘れなかったって言う設定だけど2回もほかの女と結婚してたまたま訪れたゴルフ場で女をみかけて"へぇ、まだいたんだ"なんていう程度の思い入れ。バカにされてるとしか思えないのに嬉し涙で迎えに来てくれたのを喜ぶ女。ムカつきこそすれ,涙なぞ。男的には美談なんでしょうかね、こういうのが。ほかにも家族を省みないでゴルフ一筋で何とかゴルフで立て直して娘に向かって"ありがとう"という表題作の”涙”。省みないどころか刃傷事件で服役して帰ったと思ったら山にこもって修行して病弱の長女の葬式にも出ず、次女も病気になったってのに妻の店のものを盗んで資金を作ってゴルフに出かけまた何年もふいにしてもあきらめず最後何とか日本のゲームに出られることになっても家に連絡もしないでゴルフ場へ直行。 父親失格。いや人間失格。ただのワガママです。ロマンも何もあったものじゃありません。この話のいったいどこに涙しろと??ゴルフ自体興味もないしやったこともないけど、お金の余っている人の道楽ってイメージがあるのでそんなに無理してゴルフを続けることにいったい何の意味があるのかまったくわかりません。ゴルフ好きなら趣味でやればいいのに。生活できないのになぜプロにこだわるのか?どのスポーツもそうだけど悲壮感漂わせているプロ選手、痛々しくて見てられません。感動をありがとう、なんてぜんぜん思いません。その昔の有森もQちゃんも。もういいよ、十分がんばったよ、もうやめようよ、としか思えません。スポーツは仕事としてするもんじゃあないですよね。