ココアののほほん日記

今からかれこれ35年ほど前のことで、仕事を終えて部屋のテレビでミステリードラマを観ていたオトタマ。
都内のオフィスに勤める若い女性がとある夜、そのオフィスで一人、残業をしていたところ、いきなり数人の男に襲われ、目隠しと猿轡、後ろ手に縛られ、睡眠薬を嗅がされた。
気がついた時には目隠しと猿轡は外され、手も解放されていたが、オフィスの椅子に体は括られ、前にある机から離れられないようになっていた。
オフィスの中の様子は全く変わったことはないが、机の上は整理され、電話だけが置かれていた。
窓のブラインドは閉じられていたが、壁の時計は午後11時を指し、残業の時から数時間が過ぎていた。
机の前の椅子は動かせないが、電話はかけられると思った女性は、都内の自宅の母親へと電話した。
「もしもしお母さん、今すぐに助けに来て。私、今会社にいるんだけど、椅子に縛られたままで動けないの。今は私しかいないみたい…」
娘からの電話で母親は警察に連絡し、数人の警察官と母親は娘の勤める都内の会社へと駆けつけた。
娘のいるであろうオフィスのドアを開けたが、中には誰もおらず、机の上や床には書類が散乱し、金庫はこじ開けられ、中は空だった。
そこからは延々とドラマは続いたが、要するに都内のオフィスから拉致された女性は、その後に信州まで連れて行かれ、そこには都内のオフィスと寸分違わず、同一に作られたオフィスの一室が設けられていた。
そこの一室で女性は目覚め、後は前述の通りの流れなのだが、テレビを観ていたオトタマは「それって変じゃん！」
都内にいると信じている女性は、同じ都内の自宅に助けの電話をしたというけれど、実際には信州にいるのだから、電話をかける際には最初に「03」を回さなければならない筈。
03の市外局番を回さずして何故に信州から東京へと電話がかけられるのか？繋がるわけないだろって！
そこでオトタマ、早速に手元にあったテレビ番組ガイド(懐かしぃ！)からテレビ局の電話を探し出し、まずは電話をかけてみた。
夜間用の回線へと繋げてもらい、とりあえずこれしかじかと「変でしょ！」と伝えたところ、後日改めてとなった。
でもって後日、そのテレビ局の担当から電話があり、平身低頭というか、しどろもどろというか、オトタマ様の仰るとおり、申し訳ございませんとなった。
そこでオトタマ、更に突っこんでみたところ、局というか、ドラマを作るのに関わった誰一人として市外局番の03には気が付かなかったという。
筋書、シナリオがあったでしょ？監督いたんでしょ？撮影もしたんでしょ？出演者もいたんでしょ？立て続けに詰問するオトタマにただただ平身低頭の挙げ句、誰にも言わないでとテレビ局の担当者。
そこでオトタマ、更に突っこんで、これって他から指摘ってなかったの？指摘したのってまさか俺だけ？
そう、オトタマだけが気が付いたというのか、これって変でしょ？とテレビ局へと連絡してきたのはオトタマだけだったらしい。
しばらくしてからオトタマの元へテレビ局から「やたらと言い訳じみた」長々とした手紙とともに、某有名百貨店の商品券と各社共通で使えるビール券が送られてきたという。
長々とした言い訳の手紙によると、当初は同じ都内に拉致の筋書だったけれど、それでは映像的につまらないので、拉致現場を急遽信州へと変更し、そのまま後の筋書で進めてしまったという。
ちなみに今、我が家のリビングにある書庫だけど、何となく高級っぽいけれど、その商品券を使って購入したそうだ。
以来数年間は自宅で飲む瓶ビール、買わずに済んだという。１枚で中瓶２本とかのビール券、確か100枚はあったかとオトタマ。
指摘するまでの内容は今でもはっきり覚えてはいても、その後どうなったのかは全く覚えてないとかで、ドラマのタイトルもテレビ局も、出演者も今や何ら覚えがないという。オトタマらしい記憶の残り方というか、鋭い突っ込み、この手の突っ込み？粗探しは結構あり、ココアも「うんうん」と笑わせてもらっています。