掟上今日子の忍法帖
先日、TVドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』を見ていて、 今日子さんのことを思い出し、未読だった本著を手にしました。 『掟上今日子の鑑札票』に続くシリーズ第14弾ですが、 発行は2022年6月、既に2年近くの月日が経っています。 ***「第1話 掟上今日子の手裏剣」では、ニューヨークのセントラルパークで、手裏剣を用いた殺人事件が発生。ニューヨーク市警・殺人課のリバルディ警部とキャスティズ警部補は、多数の目撃証言があった不審な日本人女性・掟上今日子の居所を訪ねます。事情聴取を終え署に戻った二人は、ボスから応接室に呼び出され、そこでFBIのホワイト・バーチ捜査官から、今日子に捜査協力を依頼するよう勧められることに。そして、今日子が跳弾トリックを見破ると、すぐさま犯人も判明、逮捕されたのですが、今度は、自由の女神のたいまつに、死体が大の字に縛り付けられた凧が引っかかる事件が……。「第2話 掟上今日子の兵糧丸」では、ブロードウェイの舞台の上で、公演中に出演者が栄養失調で亡くなるという事件が発生。被害者の胃から検出されたのは『HYORO-GAN』というサプリメント。今日子が、被害者が死の直前にそれを飲み込んだ理由を解き明かしていきます。「第3話 掟上今日子の不忘術」では、ナイアガラ川にかかる橋の上で今日子が救命措置。その甲斐なく落命した女性の左腕は、刃物で切りつけられた生傷で満たされていました。キャスティズ警部補は、バーチ捜査官から隠舘厄介と面会するよう指示され、彼専用の刑務所へ。そして、今日子の左足の脛全体に巻かれていた白い包帯が、謎を解明する鍵となったのでした。 *** 「いえ、今回は林檎はなしでいきましょう……、ふふふ」 と今日子さんは笑った。 なぜ笑った? 「すみません。今のは日本語で言えば、 とんでもなく面白いジョークが成立していたのです。 しかし、残念ながら英語では洋なしでしたね」(p.88)今回は、こんな感じのジョークが所々で出てきて、とても楽しめました。何気なく、海外を舞台にしているのだということを意識させられますね。それにしても、『五線譜』や『伝言板』は、放置が続いていますね。シリーズ新作の情報もないですし……