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2023.05.14
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カテゴリ:社会・政治・時事
​ 冒頭の「なんだかよくわからないまえがき」には、
 本著について、次のように書かれています。

  ブログに書いたものと、いくつかの媒体に発表した時事エッセイを
  文藝春秋の山本浩貴君が手際よく一冊にまとめてくれました。(p.3)

 本著が単行本として刊行されたのは2020年2月、文庫化されたのが2023年2月、
 それぞれの文章が発表されたのは2016年10月~2020年4月。
 緊急提言『「人間的成熟」が望めない国の行きつく先は - サル化する日本』は、
 『週刊文春』2020年4月9日号掲載のものなので、文庫化に際し加えられたのでしょう。

   ***

  天皇制の存続につよい懐疑のまなざしを向ける極東委員会の国々
  (ソ連は天皇制そのものの廃止を求め、
   オーストラリア、ニュージーランド、フィリピンは天皇制による軍国主義の復活を恐れ、
   中華民国は天皇が裁判で訴追されないことに不服を申し立てていた)
  に「天皇制は残す」という決定を呑み込ませるためには、
  「極端な戦争放棄条項」、すなわち個別的自衛権すら放棄するという条項を
  憲法に書き入れるしか手立てがなかったのである。(p.124)

これは、加藤典洋さんの『9条入門』(創元社)の所論の一部を紹介しながら、
内田先生が私見を付け加えていった部分です。
ここに記されていたマッカーサーの思惑と行動は、私にとって衝撃的なものであり、
まだまだ知らないことが多々あるなと痛感させられました。

さらに、世界最大の軍事力を誇っているアメリカ合衆国が、
憲法に常備軍をもたないことを規定していることや、
イタリアとフランスが、どのような状況の中で終戦を迎え、
それをどのように受け止めたかについての記述も、目から鱗が落ちるものでした。

この他にも、「時間と知性」「AI時代の教育」「人口減少社会」についての記述や、
堤未果さんとの対談等、とても興味深い内容がぎっしりと詰め込まれており、
読後には、久々に付箋だらけの一冊が出来上がりました。
久々に内田先生の著作を読んで、大きな刺激を受けました。





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Last updated  2023.05.14 11:15:07
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