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超特撮英雄伝

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2013.02.11
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第2章 ミラーワールドの真実 後編

 

神崎は机に置かれている1枚の絵を手に取り、真司と蓮に見せた。

「それは・・・ドラグレッダー・・・?」

「そうだ。これは子供の頃の優衣が描いたものだ。ミラーワールドに存在するモンスターは全て子供の頃の優衣が描いたものだ」

「何だって!?」

「ミラーワールドを生み出したのも優衣だ。俺達は子供の頃・・・学校へ行く以外はこの部屋に両親の手によって閉じ込められていた」

神崎士郎と優衣は子供の頃、実の両親から部屋に監禁されるという虐待を受けていた。

部屋に閉じ込められていた優衣は兄の士郎と共に絵を描いて過ごしていた。

それは家族で楽しく旅行に行くというささやかな幸せを紙に描いていた。

そして、ミラーワールドとは優衣が士郎と共に楽しく過ごすことが出来た想像の世界であったのだ。

「この部屋には俺と優衣しか居なかった。子供の頃は俺達に友達なんて居なかった。俺はそれでも良かった・・・だが幼い優衣にそれは耐えられない孤独だった。優衣は何時しか鏡に映る自分に話しかけるようになっていた。鏡に映るもう1人の自分が優衣にとって唯一の友達だった」

真司と蓮は神崎が話すことが信じられなかった・・・しかし、このライダーバトルが既にあり得ない現実であった。故に真司と蓮は神崎の話しを信じるしかなかった。

神崎は話を続けた。

「ある日の事だ・・・元々、優衣は身体が弱かった。突然、俺の前で死んだ・・・心臓発作だった」

「!?」

「俺は必死になって優衣に呼びかけたが、心臓が止まっているんだ・・・応える筈がない。その時だ、鏡の中に優衣の鏡像が映った。その鏡像は鏡からこの現実世界に現れ、優衣と融合した。すると信じられないだろうが優衣は生き返った・・・・」

信じるしかなかった・・・何故ならば真司と蓮が出会った優衣こそがその鏡像と融合し、成長した優衣なのだから。

「しかし・・・その命は永遠のものではない。新しい命を用意しなければ今の優衣は20歳の誕生日を迎えた時に死んでしまう」

「成程な。最後に生き残ったライダーの命を優衣の新しい命として使うつもりだったのか?」

蓮の言葉は神崎の核心を突いた。

「そうだ。この戦いは全て優衣の為の戦いだ」

その時、3人がいる部屋に誰か入って来た・・・優衣だった。

優衣は神崎の話を聞いて、封印していた幼き日の記憶を呼び覚ましたのだ。

「優衣・・・」

神崎は妹に目を向けた。

「お兄ちゃん、こんな事もうやめて!!・・・私は誰かを犠牲にして生きたいと思わないし、生きようとも思わない!!」

優衣の瞳から一筋の涙が流れ、やがてそれは大粒の涙として溢れ出た。

「私はただ・・・もう一度、お兄ちゃんと一緒に絵を描きたかった・・・・モンスターがいる世界じゃなくて・・・みんなが居る幸せな世界で・・・」

優衣が自分の存在を否定した時・・・その命の消滅が始まった。

その消滅の予兆を真司は見逃さなかった。

「優衣ちゃん!!」

「お兄ちゃん・・・もう止めて・・・私の為にこんな事をもう繰り返さないで・・・・」

そう言い遺し・・・優衣は3人の前から消滅した・・・。

「優衣ちゃん!!」

「神崎、お前は優衣を生き返らせる為に何度も同じ事を繰り返してきたのか?」

「そうだ・・・俺は優衣の為なら何でもする、優衣が生き返るなら」

その言葉を聞いた真司は神崎を睨んだ。

「お前・・・それでも優衣ちゃんの兄貴かよ!優衣ちゃんはこんな事して生き返っても喜ばない!!」

「黙れ!お前達は早くライダーバトルの決着をつけろ!今ならまだ間に合う!!」

そう言うと神崎は姿を消した。

部屋には真司と蓮だけが残された・・・真司は優衣が消滅した事に愕然としていた。

そんな真司に蓮は静かに語りかけた。

「俺には今まで友と呼べる人間が居なかった・・・欲しいと思った事もない、そんな存在は自分には邪魔にしかならないと思っていた」

真司は静かに蓮の話しに耳を傾けていた。

「だが俺は・・・このライダーの戦いを通してお前を友だと思い始めている・・・俺はお前を友と呼んでもいいんだな?」

「なっ、何言ってんだよ。ずっと前からそうだろ」

真司は蓮のその言葉に少し照れくさい笑みを浮かべた。

「城戸・・・友としてお前に頼みがある」

「頼み?」

「俺には叶えたい願いがある・・・・全世界を敵に回しても守りたい人がいる。俺はそいつの為にライダーになった。この願いだけは譲ることはできない」

「ああ」

「だから城戸・・・俺と本気で戦ってくれ。俺は本当に友と思ってくれるなら」

真司は蓮の目から本気である事を悟っていた。

「分かった、約束する。俺も叶えたい願いがある・・・だから俺も本気で戦う」

真司も蓮の決意に応える為に約束をした・・・友達だからこそ真剣に真司は応えた。

「どうしてくれる?余計、戦い辛くなったぞ」

「俺もだ」

互いに照れ笑いを浮かべる真司と蓮・・・1年の戦いを通して2人の間には確かに・・・だが確実に友情が芽生えていた。

 






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最終更新日  2015.12.18 22:32:08
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