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2019.01.06
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カテゴリ:読書メモ
​​皆様、新年あけましておめでとうございますスマイル
今年もよろしくお願いいたします。

(…本当は昨年12月にも、ちゃんと1年の締めくくりとなるような記事を書きたかったのですが、いろいろな出来事が重なってバタバタしており、結局今日までブログが書けませんでした雫。もし楽しみにしてくださっていた方がいらしたら、しばらくご無沙汰してしまい申し訳ありませんでした。)


・・・・・・


本日は2019年の1本目の記事ですので、以前から書きたいと思っていた、ある本のレビューをしたいと思います。

『きっと明日は』という本です。

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重症筋無力症にたおれ20年、絶望の淵より自らの強い意志と家族の愛、友情で立ちなおり、童話作家となるまでの日々を綴る感動の記録。


発売年月 1989年11月

ISBN 978-4-591-03360-9

サイズ 205mm x 155mm

ページ数 168ページ

主な対象年齢・学年 小5 小6 

1989年に出版された本なので、今から30年前の本なんです。

…実はわたくし、この本には深い縁がありまして…

この本は、私が小学6年生だった1990年当時、青少年読書感想文の課題図書だったのです。

私は夏休みにこの本を読み、宿題だった読書感想文を提出しました。…すると。

私の読書感想文は意外なほどに高く評価していただけたらしく…まずは小学校の代表に選ばれ、市の選考を経て、なんと最終的に県から表彰状をいただいてしまったのでしたびっくり

たぶん私が県から表彰をされるのは、あれが最初で最後でしょう…。うん。

…まあもしかしたら、銀行のATMで振り込め詐欺にだまされそうになっているような老人を助けたりすることができたら、2度目の表彰のチャンスもあるかもしれませんが…。まあ…雫


・・・・・・


さて、話を本題に戻したいと思います。

この本の作者は江崎雪子さんという方で、私の両親と同世代の方です(1950年静岡県生まれ)。

江崎さんはもともと健康そのものの活発な女の子だったのですが、高校3年生頃から、不可思議な体調不良に悩まされるようになります。

そして、日本女子大在学中の大学2年生のときついに、「重症筋無力症」という大変重い病気にかかっていたことが判明するのです。

そして、この『きっと明日は』という本は、重症筋無力症と闘ってきた20年の日々をご本人がつづった闘病記なのです。


・・・・・・


大学生にして重症筋無力症という診断を受けた江崎さん。

その筋力は極度に衰えてしまい、自分の力では歩くこともかなわず、ベッドに横たわることしかできないような闘病生活を送ることとなります。

一時は呼吸すら自分の力で行うことができなくなり、生命の危機に見舞われる日々が続いた時期もあったそうです。

江崎さんがこの本でつづられているその闘病の日々は、本を読ませていただいているだけの私ですら、本当に胸が張り裂けそうになるほど苦しくつらいものでした。


・・・・・・


闘病のあまりの過酷さに、睡眠薬で自殺を図ろうとした江崎さんでしたが、一命を取り留めます。

「また生きてしまった」と苦しむ江崎さんのもとに、お友だちから手紙が届いたそうです。

そしてその手紙には、お友だちのお母様のこんな言葉が書かれていたのだそうです。

”神さまが人間におあたえになっている幸福の量って、おそろしいほど平等なのよ”

文字を目にしたとたん、

(そんなことないわ!)

と、私は手紙をにぎりしめました。健康で未来にたくさんの可能性をもっているひとと、ますますぐあいが悪くなりからだが不自由になっていく私と、どうして神さまから平等に幸福を与えられているといえるのでしょう!



・・・・・・


この本には、江崎さんの日記が多く引用されています。

そこには、健康なひとへの嫉妬心に苦しむ気持ちや、きょうだいや友だちが結婚していくことへの寂しさ、実ることのなかった旧友への淡い恋心などが、包み隠さず書かれていました。

改善する兆しのない極めて難しい病気のために何年間も病院のベッドに縛り付けられて過ごすなか、周囲の同世代の人たちの人生がどんどん先へ先へと進んでいく様子をただただ眺めることしかできなかった江崎さん。

どれだけつらかったことでしょう。


・・・・・・


でもある日、江崎さんに転機が訪れます。

その日、知り合いの人がひょっこりお見舞いに来ると、その人は「退屈で死にそう」…などとさんざん愚痴をこぼしてから、「つまんないから、買いものの帰りに映画でもみてくるわ」と言い残して病室をあとにしたのだそうです。

江崎さんは、病院から出ることすらかなわない自分と比べれば、ずいぶん恵まれているように見える彼女なのに、彼女が幸せそうではなかったことに気付きます。

そして、江崎さんは自らの闘病生活を振り返ります。

そこには、何度も生死の境を行き来して、そのたびに何とか立ち上がり、あかちゃんのようにひとつひとつ、自分の力でできることを増やしていく喜びがあったこと…そのことに気付くことができた江崎さんがいたのでした。

私は現在も筋力がおとろえており、すぐつかれてしまいます。長い時間うごいたり、話したりすることはできません。でも健康な時には感じなかった喜びを感じられるようになりました。健康だったときにはみすごしてしまっていた小さなことにも、しんせんなおどろきと幸福を感じながら生きています。

長く暗い道をとおってきたから、私は暗闇を知らなかった以前より、光を明るく感じることができる。そして、その光をたいせつにおもえる。(友だちの)お母さんがおしえてくださろうとしたのは、このことじゃないのかしら?)



江崎さんはさらに、弟の進さんと話していたとき、幸福というものについてこのような結論に至るのです。

あたえられた運命は、ひとそれぞれにちがっている。たくさんのものをあたえられた人生と、すくないものしかあたえられていない人生とあっても、幸福の量がそれに比例するかというとけっしてそうではないのだ。その運命をどううけとめて、どう生きていくかによって、幸福の量に差がうまれるのだ。

そうなのだ。幸福とは、人の心がうみだしていくものなのだ。



・・・・・


そしてここから、江崎さんの人生の快進撃が始まります。

長い入院生活ののち、病状が上向き退院することができた江崎さんは、お父様の知り合いの作家の先生に弟子入りし、童話作家を目指すことになるのです。

そして、数年間の修業を経たのち、ついに一冊の童話が出版されることになります。『こねこムーのおくりもの』という作品です。

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にぎやかなデパートから廃棄され、公園にぽつんと置かれてしまった木馬とこねこの物語。

この童話は、『きっと明日は』で江崎さんの闘病生活を知った私が大人の視点から読むと、木馬が感じる寂しさや悲しみに江崎さんの人生が反映されているように思え、切なくてなりませんでした。

けれども、この童話が描かれた対象である子どもたちの反応は違ったようで…この作品は人気を博し、何冊もの続編が描かれるヒットシリーズとなったのだそうです!


・・・・・・


『きっと明日は』の終盤、江崎さんはお医者様と交わした会話のエピソードに触れられています。

「江崎さん、自分がいちばん不幸だなんておもってはいけないよ」

もちろんそんなことを思っていなかった私は、すぐうなずきました。

「それから、将来を期待してはいけないよ。期待しすぎると、外れたとき苦しむからね」

心配してくださる先生のお気持ちをありがたくおもいながらも、そのお言葉には胸のなかで首を大きくよこにふりました。

私は、明日に期待せずにはいられません。やぶれたとき苦しむから期待はしない、という生き方はできないのです。私は明日に希望をいだき期待をします。期待はずれに苦しんだとしても、またつぎのあたらしい明日に希望と期待をかけるでしょう。

私はいつも、おもうのです。まがりかどのむこうには、どんなすてきな”明日”がまっているのかしらと。だって人生は、ほんとうにおもいがけないことのかさなりあいなのですから。十年前、退院のみこみもたたず病院にいた私は、将来、童話を書くようになろうとは想像もできませんでした。次の十年後にどんなすてきな人生がひらかれていくか、それはだれにもわからないことなのです。

だから重症筋無力症が私の運命だとしても絶望せず、そのすてきな明日をつかまえるためにも、まがりかどのこちら側でよりよい今日をきずいていく努力をつづけたいのです。


・・・・・・


…実は、小学6年生だった頃の私が、いったいどんな読書感想文を書き、なぜそれが県から表彰までしていただけたのか…それについては恥ずかしながらほとんど覚えていないんです。

でも、ひとつだけ覚えていることがあって…私は、正確に同じ文章ではないとは思うのですが、このようなことを書いてその作文を終えたのです。

​これからの人生で何かつらいことがあったとしても、「きっと明日は」と思い、明日を信じて頑張っていきたい。​


…と。


・・・・・・


私にとって、昨年2018年は、本当に呪われているんじゃないかと思うほどつらく大変な1年間でした。

江崎さんほど過酷な闘病生活ではありませんでしたが、私にも20代からずっと治療を続けている病気があります。それが少し悪い方に傾いてしまったところに、緑内障という失明のリスクがある病気にかかっていることがわかりました。

今は日常生活に支障がないほどに見えているこの目ですが、いつか遠い未来、ついに見えなくなってしまうときが来るのだろうか…そう思うと怖くて、悔しくて、悲しくてなりません。

それに、体調が悪いときなどにはびっくりするぐらいひどい見え方をすることもあって…。そんなことも含め総合的に考えると、ずっと情熱を捧げてきた翻訳の仕事とももうじきお別れせねばならないときがくるだろうと思っています。

また、もともと治療を続けている病気の方のお薬を飲んでいるところに緑内障の目薬までもが加わってしまい…どちらのお薬も胎児に悪影響を与える可能性が高い薬なので、もう出産も無理なんだなあ…と思ったのでした。

(…まあこれはそもそもお相手もいないし、年齢も年齢だから、いずれにせよそういうことになるかもしれないなあとは思っていたのですが…。)

40歳にして仕事も仕切り直し…その上きっと、子どもも産めないんだなあ…。

あーあ。

…それに加えて、家族の病気とか…大切な友だちの病気とか…なんだかもう…

うわーっ号泣!!

…という感じの1年でした。


・・・・・・


そんなときに思い出したのが、遠い昔に読んだ『きっと明日は』というこの本だったのでした。

あの頃の私は、まだ何にも知らなくて、未来の可能性は限りなく広く大きくて。

そんな私が発した、

​これからの人生で何かつらいことがあったとしても、「きっと明日は」と思い、明日を信じて頑張っていきたい。​


ということば…。

大人になった今の私には、これまでたくさんのつらいことがあって、いまや未来の可能性は限りなく狭く小さく思えてしまっていました。

…でも、子どもだったあの頃の自分が記した言葉が、なんだか今の自分を励ましてくれているような気もするのです。

人生ってつらいことがたくさんある。

でも、「きっと明日は…」と考え、未来を信じて歩んでいかないと、と。

そして、私も江崎さんを見習って、「人より小さいかもしれないけれど、自分だけに与えられた幸福」を感じ取る力を持たないと、と。


・・・・・・


だからやっぱり、この先何があっても希望を捨てずに。

そして、自分らしい幸福に気付き、それを大切に思えるように。

…そんな気持ちで、この新しい1年を過ごしていきたいと思っていますスマイル!​


・・・・・・


【追記:江崎雪子さんのその後】


赤いノートの絆―江崎雪子さんを偲ぶ


江崎さんは2000年代中頃に、卵巣がんでお亡くなりになられていたそうです。

結果として江崎さんの命を奪ったのは、重症筋無力症ではない別の病気でした。

いくつもの病気が重なり、本当につらく過酷な人生だったことと思いますが、私は江崎さんを尊敬しています。

なぜなら、江崎さんは重症筋無力症には負けなかったのだから。

江崎さんは、若い頃からこんなにもご自分を苦しめてきた病気には負けずに生き抜いてこられ、そして読者にこんなにも大きな希望を与えてくださった。

本当に強い方だったのだと思います。

江崎雪子さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。​



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最終更新日  2019.01.06 00:40:44
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こんにちは!bonaと申します。

これまで翻訳業界を中心に、英語を用いていろいろな職業を経験してきました。

このブログには、それらの職業から学んだこと、好きな音楽や読んだ本などの紹介、そして日々の暮らしの中で気づいたこと・考えたことなどをつづっています。闘病中の緑内障のことも……。

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