amazing baby

通常の業務以外にＰＴＡの会合がやたらと多い。
午前中の会議や打ち合わせが長引くと、
午後に控えているＰＴＡの会合の時間が迫り、
昼食がついおろそかになる。

今日もそんな一日だった。

移動途中でサンドイッチを買い求め、
家路を急いでいると、背後から
「どうも～」と委員長仲間が声をかけてきた。
会合まで、あと15分。
真面目な彼女は余裕をもって移動の途中。
私は遅刻覚悟で家に立ち寄り
昼食をとろうという算段なので、
自転車で通り過ぎる彼女の背中に
「のちほど！」と返事をして、
暗に“遅刻するけどよろしく”という
メッセージを込める。

予定通りに（？）数分の遅刻で
会議室に到着。
全体会に等しい二つの委員会をぶっ通しで行ない、
次の会議に臨む人々に場所を明け渡す。
とはいっても、
後続の会議は分科会のようなものなので
さっさと作業を始める委員会あり、
連絡事項などで話し始める役員ありで
なかなか賑やかだ。

合間に、当然雑談も。

「来週はバレンタインだけれど、
　3年生はそれどころじゃないわよね」
小学校時代からの顔なじみに声をかけられる。

「うちの娘は、例年通り友だちや先生用に
　ガトーショコラを作るんだって言ってるわ」
「もしかしたら、Kくんにあげるんでしょ？　」
思わず吹き出しそうになる。
そうきたか。

「えっ？　あげないと思うわ」
「だって仲いいんでしょ？　」
「あれは、仲良し仲間でじゃれてるだけだから」
「そうなの？　」

娘を含む仲良しグループ6名で、
勝手に家族構成を考えてじゃれている。
4人兄弟と祖父母という構成で両親はいないという設定。
娘は4人兄弟の末っ子で、
Kくんは、なんとおばあちゃまという役柄。
この組み合わせで
ロマンチックにチョコをプレゼントするという発想は
出て来ない。

普段からメールのやり取りは頻繁で、
なかなか面白いメールが届くのだけれど、
そこでもロマンスのカケラも感じられない。

でも、端から見ていると
違う意味での仲の良さに感じられるのかな。

規範意識の徹底については
伝統的に厳しい学校で、
お菓子持参などもってのほかなのだが、
バレンタインデーだけは別。
チョコレートを持参しても、没収されない。

先生に差し上げると
「不要品だから没収ね」とにこやかに受け取られ、
翌日「あの不要品美味しかったよ」とお礼を言われる。

そんな訳で、毎年チョコが飛び交う。

まあ、女親としては、
わくわくどきどきしながらチョコを渡す娘の姿も
見てみたいとは思うけれど、
残念ながら、そういうチャンスは巡って来ない。

年度末から来年度にかけて、
行事や決めごとが増えていくけれど、
それが終われば、中学校ともお別れ。
ばたばたと忙しい中にも
ゴールが見えている寂しさも感じる。

そんな慌ただしさの中で、
バレンタインデーの話題に、
ほっと和むひとときではあった。