amazing baby

私立高校一般入試が始まった。

前日の9日、用があってわが家に立ち寄った
娘の友人に「どう？　」と尋ねたら、
「耳、塞がってます。
　ともかくウウッーって叫びたいような、
　何にも手につかないような、
　嫌ーな気分」
と内容こそ厳しいものの明るい声で返ってきた。

「ね、お宅にサンドバッグある？」
「兄のがあります」
「それなら、思いっきりなぐるとか、蹴るとか」
「やりたいですねえ」
「ともかく試験が終わったら、
　絵を描きまくるとか、カラオケに行くとか、
　温泉に浸るとかして、のんびりしたいね」
「はいっ」

10日に試験の子が一番多いかな。
娘の友人の中には、取り敢えず中休みと称して、
今日当たりお気に入りの街へ繰り出して
クレープを食べてカラオケに行くという子もいるらしい。
たまにはどこかで弾けておかないとね。

むろん、この3日間が勝負
というスケジュールの人たちもいるので、
こんな脳天気なことを言っていると
怒鳴り飛ばされそうだ。

先に謝っておこうっと。
ごめんなさい。

わが家の娘も、友人とデート。
こちらは中高一貫校に通う友人なので、
高校入試とは無関係。
お祭り好きで、
いつも近所のお祭りに誘いあって出かける。
娘の都合で昨年夏は
ほとんどお祭りへ行けなかったので、
デートは久しぶりかな。

普段は出入り禁止（わが家の掟）のゲームセンターへ
プリクラとギターゲームをしに行くんだとか。
友人との情報交換が頻繁なのか、
どこのゲーセンが安全か調べているらしく、
通りから中が良く見えて、
死角が少ないゲーセンに行くと言って出かけた。

「少年課の婦警さんとか、
　私服の刑事さんとか見回ってるんじゃないの？　」
「そう言えば、カラオケで婦警さんが来たことがあった。
　いきなりドアが開いて、
　『タバコは……』って婦警さんが覗いて、
　当たりを見回し『吸ってないわね』
　って言われて、そのままドアが閉まった」

うひゃー、数少ないカラオケ体験で、
そういうこともあったのか。
品行方正な中学生で良かったねえ。

中学生の癖に、というと語弊があるが、
スポーツ大会や合唱コンクールなどのたびに
「打ち上げでファミリーレストランに行く」
という計画が持ち上がる。
近場のファミレスからは「中学生だけの入店お断り」と
出入り禁止を申し渡されているというのに、
一向に収まらない。

はじめて「打ち上げ」に娘が誘われたときには、
結局同伴者として同席させられる羽目になった。
本人たちは食事をしておしゃべりをして、
騒ぐとこもなく、静かにしているのだけれど、
おとなの目で眺めてみると、
女の子のテーブルに愁波を送る他校生がいたりと、
よろしくない雰囲気が漂っていた。

以降、娘には「打ち上げ禁止」を申し渡してあるが、
どうやらクラスの半分ぐらいが参加し続けている様子。
とうとう、学校側から「打ち上げ禁止令」が出された。

まあ、あれだけＰＴＡの会合で批判が出れば、
学校としても黙って見過ごす訳にはいかないだろう。

学校内の出来事には学校は容赦しないが、
放課後、学校から帰った後のことについては
各自の良識に任せるというスタンスだったのに、
とうとう学校外での生活に指導が入ることになってしまった。
その意味を、子どもたちは理解しているのだろうか？
さらに保護者のほうも。

学年末考査や卒業式のあと、
果たして打ち上げは行なわれるのかな？

重圧感やいらいらに耐えた数カ月。
さぞ弾けたいだろうけれど、
3月31日までは中学生。

ま、おばさんで良ければ同伴者として同席ぐらいしてあげるよ。