amazing baby

ワンコの散歩も兼ねて、
駅前のスーパーマーケットまで買い物に行く。
ちょうど改札口から、大勢の人が出て来るところ。
そろそろ娘が帰宅する頃合い、
もしかしたら、この電車かな？

一通り人が出て来るのを待ってみたが、
娘の姿はない。
買い物を先にしようと決めた。

ワンコを店先につないで買い物。
もっとも今日は人参を買うだけ。
あっという間に買い物は終わり、
ワンコを連れて、再び改札口へ。

お次の電車が着く。
不思議なことに、制服姿の学生は
誰一人出て来ない。
携帯電話で娘に電話をしてみると、
まだ乗換駅に着いたばかり。
一足お先に帰ってようっと。

30分遅れて娘が帰ってくる。

「さっきはね、ちょうど携帯をチェックしようと
　鞄から出したところだったんだよ。
　マナーモードにしてあるから、
　鞄の中に入れてたら、ぜったいに気づかないのに。
　おかあさん、ラッキーだったよ」

そりゃ、お母さんが念を送ったからじゃない？
「いや、違うと思うな。
　だって、どういう訳だか
　携帯を手に取ったとたんに電話がかかって来るんだもん」

ある日の昼休みも、
ちょうど携帯電話を手にしたとたんに、
電話がかかって来たらしい。

どっきりしながら待ち受けを見ると、
中学時代の友人だった。
「今、授業終わったんだ。
　学園祭何時まで？　」
「もうとっくに終わったよ」
つれなく言い捨てて、電話を切った。

ちょっと、学校では電源切る約束でしょう？
「だ・か・ら、マナーモードにしてるんだって」
やれやれ。

「この間のKちゃんの学園祭行ったときだって、
　お昼食べてて、たまたま携帯を手にしたとたん、
　別の友人から電話かかってきたんだよ。
　思わず『おおっ！　』って驚いた」

なるほど、もしかして予知能力か？

もっとも、ご本人は
そういうオカルトチックなことには一切無関心。
あんまりしつこく言うと怒り出すので、
穏便に。