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カテゴリ:暗証番号
暗証番号 (Substance)
18歳未満でも多分だいじょうぶ 鈴木君は23歳。 大学を卒業してアパレル会社に入社。 立ち仕事だけど、その若さと元気は 地球が逆回転するんじゃないか心配になるくらいで、ある意味羨ましい。 そんな鈴木君がいつもの地下鉄のホームで電車がくるのを待っていた。 iPodに入れたB'zのACTIONを耳から心に流し込むようにしながら。 すると、目の前を フェロモンがムンムン、プロポーション抜群、 なんともしどけない女が通り過ぎていくではないか! 鈴木君はその女の香りを失う前に、心を奪われていた。 ジロジロ見てはいけないと思いながらも、視線は嫌でも 釘づけで、それでもおそらくはほんの2秒くらいだったろう、 その2秒で、あんな事、こんな事、色々な妄想へと彷徨いながら、 その女の後ろに並んだ。 その女と、その女の後をつけて乗り込む格好になった鈴木君がいる 車両は、恋に落ちた彼の妄想も上手に運んでくれた。 もし鈴木君の頭の中の妄想がこぼれたりしたら、 大騒ぎになっていただろう。 だって、その妄想をスクリーンに映して見ることができたら 僕たちは大笑いする内容だもの。あるいはこっちが照れくさくなって 見れないかもしれない。 お見せできないのが残念である。 (でもまぁ、R16くらいだから一安心?) いつもは永くストレス耐性強制製造列車化になる地下鉄も、 この女のおかげで、今日は、鈴木君にとって銀河鉄道並みのロマンスカーになった。 そして、その女は鈴木君が降りる駅のひとつ手前で降りた。 勿論、鈴木君も一緒に降りたのだが、(若さだ!イケ!) ドアが閉まる前に、咄嗟に乗り込んでしまった。 その日から、人間の想像力がどれだけパワフルかを強く自覚できるほど、 鈴木君の想像力は不眠不休でフル回転し続けた。 自分の頭から想像力のモーター音が他人に聞こえたらどうしよう!なんて、 ドキドキするほど、うなりをあげて回り続けた。 というのも、後悔していたのだ。 あの朝以来、彼女とは出会えなかったから。 5本早く来て待ったりもした。 ギリギリまで電車を見過ごしたりもした。 毎朝、毎晩、祈った。 よくもまぁ、話した事がない女にここまでぞっこんになれるなぁとおもうけど、 どうしようもなかった。火が消えないのだから。 きっと、何十台と消防車が来ても、その火は消えない! 消せない! 13日目の朝、 熱病に侵された鈴木君は、ボゥーッとした頭でホームに並んでいると、 来たぁ!来たぁ! 待ちに待ったあの女が、やはりフェロモンムンムンできやがった! 一瞬目があったような気がした。 間違いない。はじめて見た時は、同じくらいの歳かとおもったけど、 ・・・おそらく27か28才だろう。 ボンキュンボ-ンの体つきとは裏腹に顔立ちは 随分と清楚だなぁ~とデレ顔になりそうな 鈴木君は、今日こそ、後悔しないぞ!と気合を入れなおした。 アドレナリンが臨界点を突き抜けていく。 そして、彼女が降りた駅で、勇気を振絞って鈴木君は女に声をかけた。 『あのっ!』 女は振り返り、 『?』 『あのっ!、、』 『私に何か用かしら?』 ちょっとスケベな笑顔で、そして、低い声で女はそう答えた。 とてつもなく低く・・・(響いた)。 えっ? 女? いや女じゃなかったぁ! 鈴木君の萌える恋は一瞬にして幕を閉じ、下半身も消沈したのだった。 『ありえへん!ありえへん!!!』と何故か大阪弁で叫びながら。 【彼女は】とても綺麗な男だったのだ。 一体、僕らの想像力は どんだけ~?! もう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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