憂きも一時
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小烏丸の”てる”
「憂きも一時、嬉しきも思ひ覚ませば夢候よ。」(『閑吟集』193) ブログ開設から3年、やっとサイトのタイトル付けました。 衰えと無常を感じ始めた今日この頃のいろいろ
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物が捨てられない性質(たち)だ。 洋服が捨てられない。 何年も着ないのに、 「もしかしたら今年着るかも!!」 なんていうあり得ない妄想のもとに 箪笥の底に敷いておく。 あんまりだから整理整頓の本など読んでみる。
何ていう名前の本だったか忘れたけれど 「無理にすてなくていいんですよ」 というような事が書いてあった。 「着る」と「捨てる」の間に グレーゾーンの箱を設けておき、 そこに踏ん切りのつかない服を入れておく。
そのあとに、 「着ないけれど捨てられない服は おもいで箱へ」 グレーゾーン箱はさておいて、 「おもいで箱」はさっそく作る。 今のところの内容物。 母の手編み。 青いカーディガン とっても気に入っている青。それを、 学校の先生から、 「ちょっと、そこのくすんだ青色の服着た人!」 と呼ばれて腹立たしく思ったっけなあ。 「好きなボタンを選んでいいよ」と言われて 飴いろに光る丸いプラスチックの周りを木の丸い枠で囲った 大きなボタンを選んだら あとで母から 「毛糸代よりボタン代の方が高かった」 と苦笑いされた袖の短いカーディガン。 着ていけば「あたたかそうね」「素敵ね」と称賛された 素敵な縄編み模様のベスト。 安い毛糸で作ってあるせいか、 寸法が合わないわけでなく、 いまでも暖かく、着心地いいのだけれど なぜか肌をちくちく刺して、着られないのだ。 数年前まで、 私のためにせっせと編んでは ポンチョ、ショール、セーター、ベスト、帽子 何か送ってきてくれた。 母の技術は確かで、高いものらしい。 職場に着ていけば、 手芸好きの人達が集まって 「ちょっと後ろ向いて」 「これ、どうやってるの?」 「すごいー」 私が着ている母の手編みのあちこちをひっぱったり、 裏返して見たり。 私の郷里まで習いに行きたいと言うひとまで。
それだけの技術はあっても 母は、お金にはとんと縁がなかった。 これからもなんだろうなあ… きっとおもひで箱はそのまま 形見の箱になるんだろうな…なんて考えたら 今日は母の誕生日だった。
おめでとう、お母さん。 79歳のお誕生日おめでとう。 一年でも、一日でも長く、元気でいて。