カテゴリ:昔はみんな貧しかった でも幸せだった。
キャロルはわんちゃんのパラダイス写真館http://r.goope.jp/ 現役の頃、うちの父親は不思議な定期券を持っていた。 幼い頃の私はその定期券が不思議で不思議で、大人になれば誰でも持てると密かに思ってい た。何しろその定期券の威力は絶大であり、バス、私鉄、当時の国鉄、はもちろん、 遊園地、動物園、映画館などの行楽地などこの定期券を見せる事により、本人はおろか家族 など父と一緒であれば何処へでもタダで入れる訳だ。父がお金を払って乗車した記憶はない。 いつの日か奈良のあやめ池遊園に行った時、家族4人を引き連れて堂々と定期券を見せて 入場口から入ったとき係員が少し怪訝そうな顔で父の事を見ていたが、父は通るとき、サッと 定期券を見せ、頭を少し下げる・・・。誰も引き止めるものはいない。当時の私の頭ではそれが どんな定期券か知るよしもない。その定期券がどういう定期券であった事を知るのは随分先に なってからのことである。 何のことはない父は交通局に勤めていたので個人だけが乗れる市バス、地下鉄のみの定期 券を持っていただけで、この定期券で私鉄、国鉄、ましてや遊園地などは入れるわけがない。 要するに我々家族ともども不正乗車をしていた訳で、今から考えると顔から火が出る思いがす る。当の本人はそんな罪悪感など今持って微塵のかけらもない。 その当時は、今の様にギスギスした世の中ではなかったのかも知れない。今は公務員といえ ば目の仇にされる時世だが、昭和30年代は何から何まで人間を中心にまわっていたような気 がするし、いい意味での曖昧さがあり、人の心もおおらかな時代だった。 この父親、さすがに定期券で家族を無銭飲食させる勇気はなかったらしい・・・。 文章と写真は関係ありません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.02.21 22:02:03
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