カテゴリ:音楽
時計の針を巻き戻して、聴きそびれた公演に行かせてあげる、と言われたら、クライバーとドミンゴの「オテッロ」(ヴェルディ)を聴きたい、と言うでしょう。 「オテッロ」は特別なオペラです。歌手と指揮者、両方が揃って初めて真価が体験できるように思うからです。 いままで自分で聴いた中で一番感動したのは、2003年、フィレンツェの5月音楽祭での公演。指揮メータ、タイトルロールはガルージンでした。デスデモナはフリットリでしたし、ヤーゴはグエルフィで、今としては揃ったメンバーだと思います。 昨年、トリノ王立歌劇場の指揮者になったジャナンドレア・ノセダが、友達だというフリットリと記者懇親会をやった時に、フリットリと組んで「オテッロ」をやりたかったが、オテッロ役が見つからなくてできなかった、と話していたくらいですから・・・ そんな現状だけに、ドミンゴとクライバーの残した録音を聴くと(残念ながらすべて海賊盤ですが)、飛んで行きたい衝動にかられてしまいます。 (ドミンゴのオテッロは、「ワシントン・オペラ」の来日公演などで聴きましたが、もう最盛期を過ぎていたので、「聴いた」とはいえない状態でした。) この2人がゴールデンコンビだと思ってしまうのは、繊細さ、大胆さ、アーティストとしての華麗さなど、共通する部分が少なからずあり、それが「オテッロ」という、暗いようだがやり方によっては流麗になりうる心理ドラマを、最大限魅力的にできていたような気がするからです(録音だけではなんともいえませんが・・・)。
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最終更新日
May 28, 2009 08:49:32 AM
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