カテゴリ:音楽
神奈川県立音楽堂で、パーセルの音楽劇「アーサー王」を観ました。
昨年、ヘンデルの「王宮の花火の音楽」で評判になった、フランスのバロック音楽団体、コンセール・スピリチュエル(指揮はエルヴェ・ニケ)の演奏です。 セミ・ステージ形式ということで、オケは舞台に乗り、その左右に小さな照明入りステージが設けられて、ソリストはその上で歌い、また内容を補うためにバレエがつけられていました。 オケの後ろの上方にはスクリーンが出て、字幕もですが、説明のためのシルエットやら、演出家の手になるおふざけのせりふなどが映し出される、という趣向でした。 初めに、演出家(伊藤隆浩)主体のプレトークがあり、作品の説明をした、はずなのですが、いまひとつよくわからず。こちらの飲み込みが悪いのかもしれませんが・・・ とにかく「パーセルの音楽をあじわってください」という内容に尽きていたように思います。 そうですね、パーセルの音楽は、それなりに面白かったのですが、いかにせよ、物語がまるでない、という印象でした。プログラムにある解説ではそれなりに筋は通っているようなのですが、音楽のつけられている部分はほとんど劇の進行に関係がないので、そのせいだろうか、とも思ったのです。 今回は、セリフはほぼ抜きの上演で、残されている音楽10曲のみの上演でしたので。 これだと、よく言われる「セミ・オペラ」でもないよなあ、という感じ。 加えて、スクリーンにいろいろ、日本の状況を茶化した説明やらなにやら映るものですから。演出家は関連づけているつもりなのでしょうが、微妙なところです。 演奏は、パーセルとはいえとてもフランス風で、まあこれは団体の持ち味なのでしょう。リュリのようにも聴こえました。 昨年のヘンデルほどの斬新さは感じなかったのが正直なところです。 途中、宴会のシーンでは、指揮者やオケが祝杯をあげるマイムもしていました。 こんなものかな、と思っていたら、終演後、演出に大ブーイング!今まで日本で聴いた公演のなかで、5指に入るくらいでした。 え、と驚き、つい帰り際に、同じ作品をおなじ演奏家が、モンペリエで上演したDVDを買ってしまいました。 いや、これが、まったくちがったんですね。 演出はフランスのコメディアンが担当したそうで、それこそコミカルな寸劇だらけなのですが(指揮者のニケが途中で歌ったり、楽器でいろいろ遊んだり、コメディアンとのやりとりがあったり)物語はよくわかります。 こちらはスタッフがみなフランス人ですから、あうんの呼吸なのでしょう。 今回の日本公演で、演出家と演奏家の間のコミュニケーションがどれくらいとれていたのか、疑問に思えてしまいました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 1, 2010 03:13:06 PM
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