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旅で遭遇することのひとつに、「アクシデント」があります。 「トラブル」と言ったほうがいいかもしれません。飛行機が飛ばなかったとか、公演が流れたとか、すりに遭ったとか。。。特に飛行機がらみのアクシデントは回数も多いし、はらはらさせられます。 とはいえ、そのようなアクシデント、ないに越したことはありませんが(とくにすりなんかはないほうがいいに決まっていますが)、いざ直面してみると、自分の危機管理能力が鍛えられるのもたしかではあります。それも、あえてよく言えば、旅の醍醐味かなと思わないでもありません。 昨日から、ツアーをメインにしたイタリア旅行が始まったのですが、その初日で、さっそくアクシデントにやられてしまいました。 ヴェルディ生誕200年記念ツアー第2弾と銘打ったツアーは、スカラ座、ヴェローナの野外音楽祭、ローマ歌劇場をめぐるヴェルディ・オペラ鑑賞ツアー。私はその前に単独で、ヴェローナでバッティストーニの振る「椿姫」と、チョンミョンフンほか豪華キャストの「レクイエム」を、ともくろんで、一足早く出発することにしたのです。 成田発のアリタリア便で、ローマ乗り継ぎでヴェローナまで。アリタリアはこれまであまりよい印象がなく、とくに昨年11月のシチリアの旅で使った時はシートのリクライニングもきかずに参ったのですが、今回は食事もまあまあ、シートも倒れてくれ、機内エンタメもちゃんと機能して、まずまず快適でした。 そこまでは、よかったのです。 ローマ到着が少し早かったので、乗り継ぎゲートを確認後、機内でほとんど取れなかったビタミン補給と称して、ferrari のカウンターでサラダとスプマンテを。何種類も出てきたお酢とオリーブオイルのおいしさに満足し、再びゲートへ足を運ぶと、あらら、時間が30分遅くなっている。 とはいえ、同じゲートだし、同じ行き先だし、てっきり30分おくれたのだろう、と解釈し(よくあること、というか、遅れないほうが珍しいくらいなので)、空港内をぶらぶらして、搭乗時間にゲートに並びました。 チケットをかざしてもらい、乗り込もうとすると、あらら、チケットのバーコードをかざすと、機械に赤いランプがつきます。え、なんで? すると、アリタリアの係員嬢がおもむろに宣告しました。 「下へ行って、まず荷物をとってきてください」 え???どういうこと? 彼女はいいます。 「あなたの荷物が外に出てしまっている。バゲージのところにいってまずそれを取ってきてください」 え、そんなことしたら、飛行機に間に合わなくなるじゃないの? 「成田で、荷物はスルーで行くって言われたんですけど」 「とにかく下へ行って荷物をピックアップしてください」 えー?そんなことって、あるんだろうか?? あわてふためきつつも、とにかく言われた通りに手荷物の受け取りへと急ぎました。 けれど、同じターミナルのバゲージのところに荷物は見当たりません。サポートデスクに駆け込むと、荷物はターミナルの3にあるという。私がいるのはターミナル1です。 これは、もうあの便には乗れないかもしれない。 その予感がちらちらしてきました。 指示された通りターミナル3へ。手荷物受け取りの場所に入れてもらい、教えてもらった8番ベルトのところまで行きましたが、やはり見当たりません。 もう一度、その場のサポートデスクに助けを求めます。 「荷物はヴェローナまで運ばれてます。あなたもヴェローナへ行ったほうがいい 。ヴェローナ行きはターミナル1です。そこへ行ってヴェローナ行きのチケットを買って」 え、なんで??? そろそろ、疲労困憊してきました。 仕方がないので、もういちどターミナル1へ。といってももう夜の10時を回り、カウンターは終了です。ほとんどシャッターが下りている。 天を仰いだ時、カウンターに人影が見えました。突進。 「confusione !!!!!!」 ヘルプミー!!!! アリタリアのお兄ちゃん2人に、汗だくで事情を説明。「なぜ荷物を取りに行けといわれたかわからない」「とにかくゲートで止められてしまった」と、たどたどどしいイタリア語と英語ちゃんぽんでかき口説きました。もともと「顔に出るタイプ」と言われますから、さぞや恐ろしい形相をしていたことと思います。。。。 彼らがまず言ったことは、 「成田からヴェローナまで荷物はスルーで行かない」。 ということ。 「一度ローマで荷物を出して再チェックインする必要がある」 え、成田ではそんなこと言われませんでしたよ。 で、とにかくどうしたらいい?私の荷物はどこ? お兄さんたち、ジェントルマンでした。辛抱強くあちこちに電話をしてくれた。結果、何がわかったか。 どうやら私の乗るべきヴェローナ便は、「30分おくれた」のではなく、おそらく私が「ビタミン補給」をしている間に、ゲートが変わってしまったようだったのです。 「けれど、その同じゲートから、ヴェローナ行きが出ていたのですが」 食い下がると、 「それは、そう」 だと言われました。 「でも、ちゃんと便名を確認した?」 そう言われると、自信がありません。 「これからは、ゲートと行き先だけじゃなく、まず便名を確認してくださいね」 はい、おっしゃる通りです。。。 というわけで、発端はおそらく、ゲートチェンジに私が気づかなかった、ことにあったのでした。 (ああ、でも、だったら、あの時ゲートで私を止めたアリタリアのお嬢さんに、そのことを教えてほしかったのではありますが。。。 ) とにもかくにも、今日はもう最終便が出てしまったので、明日の朝の第一便を代わりに取ってもらうことに。 チケット代はとられませんでしたが(とられても文句は言えないかもしれないので、ここはラッキーでした)、ローマでの宿泊代は自腹。仕方ありません。授業料ですね。 そして荷物も、電話をしまくってくれた結果、さきほどのターミナル3に出てきた、ということになりました。 アリタリアの2人のお兄さんにすっかりお世話になり、アリタリアのイメージが私のなかでぐんと向上したのは、収穫だったかもしれません。何しろこの春にはローマの空港で泥棒騒ぎが報道されていたこともあり、ほんと、出発前のイメージは悪かったですから。。。 2人には、ちいさなおせんべいの袋を御礼にあげました。 無事に荷物も見つかり、さて、泊まるところを探さなければ。 これまた、一悶着ありました。 まず、ホテルを紹介してくれるインフォメーションはもう閉店。2人のお兄さんは「目の前にヒルトンがある」というのですが、空港の出入り口の前は巨大な駐車場で、おそらくその向こうにあるだろうヒルトンの姿は見えません。荷物をひきずって移動するのは嫌だし、高いだろうしねえ。 仕方なく、その時間でもあいていたタクシーのインフォメーションカウンターに、だめもとできいてみました。 数カ所たらいまわしにされたあげく、ある運転手が、スマートフォンで、1泊83ユーロなりの部屋を取ってくれました。まあそれならしょうがないか、とうなずいたのですが、なんとタクシー代が30ユーロだという。6キロしか離れていないのに! 「6キロで30???」 指を立ててききなおしてみたのですが、 「きまったレート」だというのです。もう、しょうがない。ぼられてると思いましたが、覚悟を決めました。 空港を出たタクシーは、運河を越えて走ります。海の匂い。どこへ行くのだろう。 連れて行かれたのは、住宅街の一角にある三つ星ホテル。しょうしゃなアパートのような佇まい。海が近いことは確かです。 「ここは、どこ?」 ホテルのひとにきいたら、 「ローマじゃないですよ」 ちょっと微笑んで、そんな返事をくれました。 フロントのおじさんは感じよく、案内された部屋もこぎれいで、とにかくバタンキュー。翌朝迎えにきてくれたタクシーは20ユーロだったので、昨夜「ぼられた」ことは確かだったようですが、 まあ10ユーロなら、ホテル予約の手数料と思って諦めました。 朝のフライトは順調で、無事ヴェローナに到着。さて、これで悪いツキを落として、旅の始まりです。なんとかかんとか乗り越えて、ちょっぴり自信がついたかも。 こんなことがあっても、いえ、あるからこそでしょうか、やっぱり、旅はやめられません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
July 13, 2013 04:58:41 PM
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