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加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

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April 4, 2022
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カテゴリ:音楽
上野で開催中の「東京・春・音楽祭」の目玉公演、ワーグナーの「ローエングリン」(演奏会形式)を鑑賞してきました(3月30日、東京文化会館大ホール) 

 「ローエングリン」は、ワーグナーのオペラのなかでもベッリーニの影響を1番感じるオペラ。ながーい旋律が典型です。長ーい旋律はワーグナーオペラによくありますが、本作の場合はとりわけ歌謡的。昨年、びわ湖ホールで「ローエングリン」を見た時にも感じました。今回のプログラムに、指揮のヤノフスキがそのことを書いていて、まさにまさに、でした。

 今回、マエストロの言葉通りの演奏だったと思います。イタリア風のカンタービレ、オーケストラのあたたかさ、ライトモチーフがききとれること。すべて実現されていました。体温のワーグナー。そう感じたのはたぶん間違いではなかった、と。  
 ほんとにあたたかくリリカルな音楽で、オーケストラがとても繊細で美しく、ここちよいテンポで流れていく。ベッリーニ風の旋律を、オーケストラが歌います。ここが、歌は歌手にゆだねるこの時代のイタリアオペラと違うところですね。でもそのあたりがすごくわかりやすい演奏でした。
強烈にもっていかれる、タイプの演奏ではないので、物足りない、これはワーグナーじゃない、と思う方もあるかもしれない。でも、間口が広くてとっつきやすい演奏のような気がします。第三幕のローエングリンの名乗りのシーンで、声を包み込むオーケストラのそれは美しかったこと!
 白井圭さんがコンマスを務めるNHK交響楽団も、マエストロの音楽づくりに共鳴していて楽しそうでした。東京オペラシンガーズによる合唱も端正で美しい。

  歌手陣も充実。テルラムントのエギルス・シルンズ、新国立劇場の「さまよえるオランダ人」に来られなかったぶんを埋め合わせてくれるような充実の歌唱。ぴしっとした発声と抜群の表現力、むらのない響き。相手役オルトルートを歌ったアンナ・マリア・キウリは元来がイタリアオペラのレパートリーで有名なドラマティック系のメゾで、昨年5月も新国立劇場で「ドン・カルロ」のエボリ公女を歌ったばかり。そのときは正直、本調子ではないのかと思ったりしたのですが、今回の方がずっとよかった。音域もあっていたのかもしれません。艶と色濃さのある声の魅力が十全に発揮されていました。歌手陣のなかで唯一、ラテン系の色合いなのも、異教の魔女という設定には相応しかったように思います。
 エルザ役ヨハンニ・フォン・オオストラムは、しなやかでリリカルな声、やわらかな響きがお姫様にぴったり。第三幕の山場の二重唱では、追い詰められたエルザの不安がよく伝わりました。ローエングリン役ヴィンセント・ヴォルフシュタイナーは声は堂々と素晴らしく、甘さもあり、よく飛び、魅力的なのですが、ややあて歌いの傾向あり、フレーズが途切れがちでしたが、テクニックでカバーしていたのはさすがです。

 ワーグナー的な声の饗宴、が楽しめたのは事実で、心地よい後味がのこりました。

 会場には、ちょうど今日から始まる新国立劇場「ばらの騎士」で元帥夫人を歌うアンネッテ・ダッシュさんの姿も。ホワイエも活気があり、コロナ前の賑わいがかなり戻ってきたのも、嬉しい体験でした。





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最終更新日  April 4, 2022 11:42:23 PM


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