中国の骨董ブームについて
ここ数年前、中国の一般骨董投資家が動き始めた。金の余った富裕層たちは、不動産には手を出せない。土地は国の物だから、勢い何か投資の対象を求めて骨董業界に入ってきた。高価な骨董品を持つことでステータスにもなり、将来の蓄財にもなりうるということだ。日本で狙われたのは、以外にも鉄瓶であった。お茶の国である中国である。その道具に眼をつけたのは、想像に難くない。鉄瓶も古いもの、金銀象嵌のもの、京都の銘のあるものなどが狙われた。銀瓶も同じようなことで、古い時代のものが、銀の目方以上に値上がりしたものだ。茶托、茶味、茶壷、周辺の道具もつられてあがった。次に古い紫檀などの卓しょくと呼ばれる台が特に細工の良いものがねらわれた。この辺は少し異常な値上がりをみせた。竹根ちっこんと呼ばれる太い竹の根を彫った物、中国人が次に何を買うか、一喜一憂したものだ。日本の骨董業者は中国ブームに沸いた。日本人のコレクターは、景気の低迷に収入の減少により、買い控えが続き、業界は苦しんでいた所だ。しかし鉄瓶が500万円とは、驚いたが、この辺が限界であろうと思う。中国の古い書、絵画も漁られた。こちらの方は、もっと値が付いた。2500万円とか、京都で売れたと言う話が伝わってきた。金沢で400万円と言う値が付いたものらしい。中国絵画に眼が離せなくなった。これも日本には沢山残っているようで、勢い、中国人もバスを仕立てて、地方の市場にまで、押しかけてくるようになった。日本の骨董業界も一息ついたところなのだ。この流れをいち早く察知して行動することは、取りも直さず大金が舞い込む話でありちょつとした頭をひねれば、わかることなのだ。こうした動きは、バブルに浮かれた日本の絵画ブームを思わせる。東京のギャラリーは天狗になっていたものだ。東京美術クラブも、お茶道具の業者は影を潜めていたらしい。儲かる人は、というか、いち早く時流に乗れた業者は、若い業者でも、市場で先輩業者の上をバンバン乗り越えて、競り勝っていく。我々は指をくわえてみているだけであった。人生でツキという波がある。この波が自分に来たときにどう、うまく乗るかである。骨董業界の波で、買出し、初出しという波がある。この波をただ待っていたのではなかなか来ない、新聞広告、チラシ、電話帳とその情報を広げて、網を張るのだ。道路の拡張で蔵を壊さなければいけない。ついては、中の荷物を処分したいと、こんな情報が美味しいのである。道路の拡張でたんまり金の入る持ち主は、蔵の塵など、いくらでも良いのだ。適当に値段をつけて、車に乗せてくれば良い。後の掃除までしてあげれば直、喜ばれる。蔵の戸まで外してくればよい。300万円で買った蔵が3億円になったという、うらやましい話も聞いた事がある。そんなにえげつない商売をしなくても、少しずつ買い取っては市場で売り、1年で6000千万円払ったという真面目な業者もいる。しかしそれが倍になれば、6000万円の儲けなのである。税務署には話したくない話である。言っておくが、骨董屋が皆こうやって儲けているのかといえば、ほとんどの業者はノーなのである。真面目にこつこつやっている人がほとんどであるから、業界の為にも言っておきたい。骨董の収集にあたって最初に眼をつけるのが、焼き物ならば、細かい手の込んだ模様のものが好まれるのは、判りやすく、こんなに細かい絵は,熟練した職人でしかできない真似のできるものではないと、思うわけだ。日本でも、輸出の薩摩焼が海外でも高騰した事と似ている。素人目にも、直ぐ判る物が、最初に集められる。日本の伊万里ブームもあった。少し勉強すると、江戸の年号がすらすら出てきて、これは元禄これは文化文政頃と当たり前のように、みな言っていたのを思い出す。鉄瓶、銀瓶、茶入れ、一通り集めれば、次のターゲットが見えてくるはずだ。日本の骨董ブームを足跡を踏むように着いてくるようだ。中国の独特な物では、翡翠や独特な血の様ないろの石であろう。この辺は我々は何が良いのかわからない。書物、古書、文人画、中国の有名な画家や書家は、今から勉強しても遅くない。必ずや、いいものが、日本に残っているはずだ。この辺は狙い目である。1000万円以上の物がごろごろしているはずだ。但し、勉強して頭でっかちになった人が、巧妙に出来た偽物に嵌まるのは、注意したい。しかし、失敗も勉強なので、どんどん挑戦したい。あまり最初から大金をつぎ込まないことだと思う。