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  きのこ料理

  　新しい職場で歓迎会をしていただきました。すっかり秋になってきたので、きのこ料理をいただきました。　きのこを使った創作料理のお店創士庵　お店の玄関からお店の中まで、おとぎの国のレストランのようで私好み　前菜のきのこには、ささくれ一夜だけ・衣笠だけなどの聞いたことも見たこともないきのこをいただきました。　メインのやわらかいサーロインステーキには、ポルチーニだけのソースがたっぷりかかっています。　　きのこがたっぷりと入ったきのこ鍋のスープには、まつたけが・・・これが、イタリアの松茸のポルチーニでした。ものすごくお出しが出ていて美味しいです。　炊きたてのまいたけご飯・・・お皿もお茶碗も素敵な器です。箸置きもきのこだし、壁にかかるタペストリーにも絵にも、きのこ・・・きのこだらけです。　お料理に使ったきのこを持ってきて教えていただきました。　珍しいきのこを並べてみました。白くてフワフワのが山伏だけ、小さな指のような一夜だけ、袋みたいなヨレヨレの衣笠だけ、大きな天然のマイタケ、黒いブラウンマッシュ　美味しいお料理をいただいて、楽しくおしゃべりして、5月に来たなんて思えないくらいに違和感がなく馴染んでいるとみんなが言います。毎日、学校に仕事に行くのが楽しみです。きっと、そんな風にできるように私を受け入れてくれる学校にいる先生や他の事務の方々、学生も含めて、学校の雰囲気がそんな風にさせてくださるのかなと思います。　ありがとう。　　

  2010年09月25日

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  言葉と涙にありがとう

  　昨日のミーティングのあと、思いがけずに花束の贈り物をいただきました。　みなさんの寄せ書きも一緒に・・・・胸が熱くなりました。　１年半足らず、共にケアしてきた仲間。いつも温かく優しく私を勇気づけてくれた仲間です。時々、飾らせていただくお花を喜んでくれてありがとうございました。私の大好きな人たちが喜んでくれることが嬉しかったです　昨夜、花瓶に挿した花は、今日はもっと美しく咲いていました。寄せ書きをいただくのは、広島の病院を退職するときに関わった看護学生からいただいて以来のこと。なんだか、遠回りをして２０年前に戻ったような気持ちがします。　　あのときも大好きなナースをやめることが辛かったけど、それよりも生まれたばかりの娘と一緒にいることを選んだ私でした。　この遠回りは、たくさんの大事なことを知って、経験しました。多くの人との出会いは、私の宝物です。人生は遠回りをする方がお得なのかもしれないなと思います。　今日は、小学校のお母さんの「花あそび会」でした。もう、平日に休みをとることができないので、この「花あそび会」で、講師をするのは、今日で最後でした。またまた、思いがけずに贈り物をいただき、そして嬉しかったのは、１５人の方が一人一人、思いを語ってくださり、中には涙を流してくださる方もいて、ここも１年半足らずのわずかに月に一回のお花の会なのに、こんなに私の花を喜んで感謝してくださることがものすごく嬉しかったし、やめてしまうのが、申し訳なかったです。お茶会をして、まだ小学生の子どもさんのいる若いお母さん方に、アドラーの子育てを話したら、３０分ほどの講演のようになってしまいましたが、泣きながら、笑いながら聴いてくださり、もっと聴きたいと言ってくださる真剣なお母様方を私は素敵だと思いました。ほんとにありがとうございました。　　　

  2010年05月12日

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• 天命を知る

  　1月10日に退職した。9年前パートで透析室に勤務してから、病棟に、息子が中学生になったので、訪問看護ステーションの勤務の常勤を希望した。途中、回復期リハビリ病棟で、夜勤もした。訪問看護ステーションでは、よい仲間に恵まれて、幸せな仕事をさせていただいた。　　四十にして惑わず。　五十にして天命を知る。　10年間は子育てをしようと心に決めた。そして、必ず在宅ホスピスケアをすることを心に温めてきた。40代は、試行錯誤だった。そのために、ケアマネジャーの仕事を経験し、訪問看護ステーションに勤務した。モチベーションを下げないために緩和医療学会をはじめととする緩和ケアに関する学会や研修会には出来る限り参加してきた。広島の友人が緩和ケア認定看護師の養成コースを学んでいる。共に歩みたいと思った。今の温かい場所から離れるのは辛いけれども、在宅ホスピスケアのチームで学ぶことを決心した。　1月15日から新しい職場で勤務している。厳しい。正直言って、この一週間、家に帰ってお風呂の中で泣いたこともある。くじけそうになる自分を勇気づけながら、少しづつチームの一員にさせていただいている。人の人生を私たち医療者に預けてくださっている。少しのミスもゆるされることはない。医療の現場は厳しくて当たり前。私は、温かい場所に長くいたから、ICUや内科、外科病棟で勤務していた緊迫した厳しい時代を忘れてしまっている。早くこの体が思い出してほしい。思いだせないなら、新しく思い知らされなければいけない。　今日は、前の職場で送別会を開いてくださった。くじけていたら、送別会が歓迎会になりかねない。前向きに私の気持ちを整理したら、頑張る勇気がわいてきた。惑わず進んできた40代。あと2年で、天命を知ることができるだろうか。がんばろう。　地域包括のみんな、支援センターのケアマネジャー、訪問介護のヘルパーさん、みんなの事務をしてくれる事務員さん、そして、訪問看護の看護師の皆様・・・　素敵な花束をありがとう。　私のわがままで、忙しい職場を去るのに、私のために送別会を開いてくださることに感謝。　これからも一生涯の友として、共に生きてください。　ありがとうございました。

  2009年01月24日

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• お引越し

  　私の務める居宅支援センターは、地域包括支援センターといって、地域の要支援の方の要介護の予防援助を行うところと、ケアプランセンターといって、ケアマネージャーが、要介護の方々へ自立にむけての援助の計画を立てるところと、私たちの訪問看護ステーションがある。今月から、同じ系列の訪問介護の部門も一緒になることになった。そこで、訪問看護と訪問介護が、二つ入れるような広い場所に引越しすることになって、今日は一日、引越しだった。　新しいところは、今の建物の裏にあるプレハブのような建物だけど、綺麗にワックスがかかり、とても綺麗。ただ・・・いつからつるしてあったのか、カーテンが真っ黒。しかも窓も汚れている。人が使わないと建物は汚れていくんだな。全てのカーテンを取り、洗濯機で洗った。部屋の中が洗濯の洗剤の香りがほのかにしていい。窓ガラスも磨いたら明るくなった。　ロッカーや引き出しから荷物を整理しながら、箱に詰め、大きなものは、施設から男性の方がお手伝いにきてくださった。それにしても衛生材料や消耗品の残りの多いものがたくさんある。日付の期限切れになりそうなものもある。原則的に点滴などの処置が出ると、外来や医院から特別指示書を書いていただき。その材料は、処方され、付属して使う注射器なども外来や医院からいただく。思い切って、多すぎるものや絶対に使わないものを返品することにした。もったいないことをしないように、訪問看護でかかるコストは、最低限の消耗品と人件費だけという気持ちで看護したい。引越しは大変だったけれども、こうして、物品の整理ができたのと、何があるのか把握できたことは、病棟から移動してきたばかりの私には、とてもラッキーだった。そして、みんなで力と智恵を合わせて、新しいステーションを作ったようで、他のメンバーとの絆も深まった。　一足、先に引越ししたのだけど、訪問介護の方々はどんな方がこられるのだろう。上司からは、後から入ってくるのだから遠慮されているだろうから、そのあたりの配慮をするように言われた。もちろん、一緒に働く仲間であり、看護師であろうが、ヘルパーであろうが、同じ目的を持って働く仲間に違いなく、また同じ働く職業人としてお互いに尊敬しあっていきたいと思う。これは、当然のことなので、あらためていわれることに驚く。私の気がつかないところで、看護師が威張っているような状況があるのかもしれないと思った。（今の私たちは、みんなここに来て、間がないものばかりなので、そのあたりは、何も心配はないのだけれども・・・）すぐに仲良くなれると思う。　「ヘルパーさんが来られたら、歓迎会をしましょうね。」と、提案した。訪問看護ステーションは、また新しく気持ちもリフレッシュして２学期を迎える。さあ、頑張ろう。

  2006年08月23日

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• 歓迎会

  　訪問看護ステーションに勤務交代になって、7月からＳさんが入られて、今日はＳさんと私のために歓迎会をしていただいた。すごく楽しくて、こんなに大笑いをしたのは、久しぶりだなって思った。仕事を通しての仲間だけれどもこの仲間がずっと続くといいなと思った。　仕事の仲間関係は、ＰＴＡの役員の仲間関係に似ているなって思う。目的がはっきりとしていて、そのことにみんなが向いて、いい方向に進むようにそれぞれが努力できる。仕事も一人では出来ない。どんなに知識があっても技術があっても一人では出来ない。仕事の仲間との人間関係をよく付き合っていけることが、一番、いい仕事ができると思う。　今まで知らなかった者たちが、同じ職場に集まってくるのだから、みんなが様々な考えや思いがあるのは、当然のこと。仕事のことに関しては、おおいにディスカッションをしたらいいと思う。けれども、それは、お互いが信頼関係にあって、同じ方向を向いていて、お互いが見つめ合う（笑）のではない。自分の考えと違うと思ったときに、そのことを悪いことだとして注目しないで、「こういう考え方もあるんだ。自分の考えとは違っても、同じ目的を持って、よくしていこうと考えているのだ。」と思うようにしたら、いい関係でいられると思う。お互いが、自分の物差しで、判断して悪いと決め付けないで、まずは自分が変わろうと努力することで、互いの考えが歩み寄り、今より一層のいいものになると思う。　

  2006年07月22日

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• 今もこれからも

  　昨日から、夫さんが帰宅。飛び石連休になるし、大阪での会議もあり、来週までは、こちらにいることができるかもしれない。20日は、息子の卒業式だし、丁度いい。夫さんは、娘の卒業式には出ていなかったことを気にしていたけれども、娘はそんなことを気にしたりしない。だけど・・・夫さんに私の謝辞も聞かせることになるんだわ緊張するな。　午後から野球の練習に行くと言っていた息子だったが、あいにくの雨。私は、ガールスカウトの団委員会があったので、その間に息子と夫さんには夕食の買い物をしてもらった。お店で、少年野球チームのお母様に会われたとのことで、早速に夕方、そのお父様から夫さんの携帯に電話。「夕飯が、終わったら、ちょっと、行っていい?」近所の焼き鳥屋さんに行くらしい。若いお父様方が、時々、東京から帰ってくる夫さんを誘ってくださるのは、嬉しい。私たちが、子どもを通じてのお母様たちと、ランチに行ったりするのと同じだと思ったら、少年野球をしていてよかったなって、思う。会社の同僚や学生時代の友人とは違ったお父様同士のお付き合いができる。中学は、この校区から離れるので、この先、この地域で夫さんが、交友関係を持つことは難しい。定年後、高齢者のクラブに入るか、地域のボランティア等で知り合うくらいだろうか・・・などと思った。私たちは、この土地にずっと住むつもりで家を建てた。今もこれからも、共に生きていける友だちができたことは、とっても嬉しいことだ。

  2006年03月18日

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• 雪だから

  　今日は、私のナースのお仕事始め。　２日から４日まで、三日間、息子の送迎の他は、外出していなかったので、久しぶりの外出になった。　なんだか、水を得た魚（笑）のようにピンピンと働いたつもりだけれど・・・久しぶりに会うナースやお気に入りのドクターとの話も弾んだ。　午後から、私と同じ非常勤ナースのＭさんが、来られた。　私より、少し年上の彼女は、真面目で丁寧で、優しくて、ナースとしても主婦としても母親としてもお手本にしたい人だ。　新年の挨拶を交わしてたあと、Ｍさんが、おかしそうに笑うのでどうしたのかと思ったら・・・・　「あのね。私が、来たら、みんなが、雪が降るから来たの？って、言うのよ。それで、外をみたら、ほんとに雪が降ってきてるから、おかしくなって（笑）。」　窓の外には、チラチラと雪が舞っていた。　そういえば、昨年の冬、雪がたくさん降った日に、もしかしたら、勤務するナースが雪のために出てこれないのではないかと、心配して、勤務予定ではないにも関わらず、出勤してくださったことがあった。　もちろん、出て来れないナースがいたので、とても助かった。　困っているのではないかと感じたら、さりげなく、自分にできることを見極めて、力を差し出せる人になりたいと思う。　「今日はね。午後から出てほしいと師長に言われていたのよ。雪は偶然だけど、私、雪女みたいね（笑）。」　私が、仕事から帰る時には、雪はやんでいたが、帰り道、遠く若草山のその向こうの山には、まっ白のベールがかかったように見えた。　遠くの山では、雪が降っているんだ。　病室のテレビの天気予報で、今日は、『寒の入り』だと告げていた。　今日から、節分までの一ヶ月が一年中で最も寒い時期とのこと。　『寒の入り』は、『小寒』ともいい、１５日後には、『大寒』が来るらしいが、すでに、大雪の被害が各地で起こり、まだまだ、寒くなるとは・・・。　これ以上、各地で被害が起こりませんように・・・。　被害に遭われている方々には、心からお見舞い申し上げます。　

  2006年01月05日

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• ありがとう

  　一昨日に亡くなった友人の告別式が、10時からあった。　私は、今日は、ナースで病棟勤務が入っていた。　昨日から、師長と連絡をとっていたが、なかなか連絡が取れないままで、夜になった。　｢なんとかなるから、大切に思っていることは、ちゃんと果たさないと、後悔するから、行っておいで。｣と、病棟主任からいわれた。ありがたい。　今の病棟は、ギリギリの人数で、私のような非常勤のナースでも、休むとかなり、スタッフに負担がかかる。　スタッフだけではなく、患者様にも影響がでるので、どなたかと勤務を代わっていただこうと、他の非常勤のナースと連絡をとった。　非常勤スタッフは、私を含めて5人。　予定の入っている方には、お願いはできない。　非常勤は、夫の扶養で勤めている方なので、もう、時間がオーバーしてしまうから、勤務に出て来れない方もいる。　｢子どものインフルエンザの予防接種の予約を入れているから、11時くらいまでならいいよ｣と、Ｔさんが、朝、出勤してくださることになった。　たまたま、お子様の学校がお休みとのことで、子どもとゆっくりしておられるのに・・・申し訳なかった。　みんなに感謝しながら、私は、告別式に出席して、最期のお別れをすることができた。　亡くなった友人もいつも感謝を忘れない方だった。　家族を愛し、友だちを大事にして、｢私、とっても幸せよ。｣といつでも、言われていた。　ニコニコとされた幸せな彼女のとなりにいると私も幸せになる。　その思いを、彼女の携帯に最期のメールをうって、送信した。　ありがとう・・・。　さて、式場から急いで病院へ、向った。　喪服で、病院に入るのは、タブーなので、上から、えんじ色のロングのコートを着て隠した。　12時から、勤務につくことが出来た。　遅れてきたこともあり、一生懸命に働いて、ひと段落したときに、　｢もう年相応に働いたから、少し、休んだらいいよ（笑）。｣と、主任が言った。　｢病名を教えてもらってなくても、私たちには、話をきいて、情況でわかってしまうものね。わかってしまってから、本人は病名を知らずに治ると信じている友人の前で泣かないでいられないよね。なかなか会いに行けなかったのは、よくわかる。私にも経験があるよ・・・｣　主任の目に涙が溜まった。　私の会いに行けなかったのは・・・こういうことだったんだ・・・と、会いに行くことを先延ばしにした自分を責めていた私は、少し、気持ちが楽になった。　看護師の仕事は、病んでいる人の体や心のケアはもちろんのこと、家族も含めて、大切な周りの人の心のケアも大切。　私は、勤務中だけの看護ではなく、勤務以外でも看護は、日常にあると、思う。　今日は、勤める病棟のナースから、私の心のケアをしていただいた。　ありがとう・・・。　　　

  2005年11月21日

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• お盆休み

  　8月15日は、終戦記念日だけど休日ではない。　8月13、14、15日は、お盆休みとして、お店などでは、張り紙が貼ってあったりする。　「盆と正月ぐらい休まないと」と、いったりもする。　15日は、ナースのお仕事だった。　「お盆でも、病院って、開いているんですね。近所の開業医は、だいたいお休みしているし、1週間くらいも休むところあるのに・・・ここは、休みがないの?外来なんて、いっぱいだったわよ。」と、面会にこられたご婦人が病室で、私に話しかけた。　「そうですね。お盆って、休日じゃないですから、銀行も公共施設も変わらないですよね。商店街とかは、休んでいますけど・・。」　「先生や看護師さんたちは、お盆休みって、ないの？」　「常勤の人には、夏休暇があって、それをお盆にとるかどうかは、その人の都合で、決められるから、大丈夫ですよ。」　「へえ、でも、盆に働くのも大変やな～。」　「お盆に病院を受診される方は、もっと大変ですよ。」と、私が言ったあと、別のナースが、言った。　「でも、お盆休みにしか受診できない人もいるかもしれないですよね。」　　14日に叔母の法事があり、お坊さんから、お盆の話を伺った。　お盆は、祖先の供養だけでなく、自らも仏になるようにお経を唱えるのだということを教わった。　私は、お経を唱えることはできないけれども、心を静かに祈ることはできる。それは、祖先の霊を慰めるということに留まらず、自分のこれからの生き方を考えるということになるのだろうか。　15日の新聞には、終戦にあたっての特集の記事がたくさん載せられてあった。　あの戦争は間違った戦争かやむを得ない戦争かと戦争を問う。　やむを得ない戦争などあるのだろうか・・・。　これからもやむを得ないで戦争してしまわないだろうかと、不安になった。　『僕たちは、武器を持たず、楽器を持って恒久平和を願う』　　　　　　　　　先日、テレビから聴こえた　Def Tech のメッセージが心に残った。

  2005年08月15日

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• 力の出せる限り

  　思いがけずに、奈良県医師会から、勤続5年表彰をいただいた。　もう、5年も経ってしまった。　娘の通うバレエ教室で仲良くなったお母様が、今の病院に務めていた（今も務めておられる）。　透析室に勤務されていて、話を聞くたび、看護の道に復帰することを夢みていたあの頃。　丁度、息子が小学校にあがる時、彼女の勤務する透析室に務めてみないかと誘われた。　以前、糖尿病の教育病棟に勤務していた時に、透析には興味があったが、一度も経験をしたことのない分野だったので、迷った。　｢私に覚えられるだろうか・・・。長くブランクもあるのに・・・。｣　｢透析の患者様は、人生経験の豊かな方も多いし、長く闘病されている方が多いのよ。それに、一生これから付き合っていかなければならない透析だから、心のケアが大切なの。若い人は早く覚えるかもしれないけど、私たちぐらいの人の方がいいのよ。｣　彼女は自信たっぷりに言うので、心強く思え、一歩を踏み出した。　そうして、午前中だけでもいいからと、誘われて時間の許す範囲で、勤務することになった。　透析は、患者様の疾患だけでなく生活環境などにも関係して、病棟勤務しかしていなかった私には、驚きの連続だった。　患者様と一緒にレクレーションで、大阪の水上バスに乗ったこともある。　病院から出て、家の中ではない場所で、医療スタッフや家族だけに囲まれたのではない、多くの人に中での患者様の看護を学んだ。　1年ほどして、今の勤務する病棟に変わることになったが、透析室での経験は、今も記憶に新しい。昨日のことのように思える。　表彰されるほど、働いていないので、申し訳ないと看護部長に話した。　看護部長が私に言われたのは、　｢あなたの力の出せる範囲で、務めたのだから。勤続5年、おめでとう。これからも、あなたの出せる範囲でよろしくお願いします。｣　立派な表彰状と記念品をいただいて、看護部長室を退出した。　生涯の指針として、私は、看護の道を選んだ。　この先もずっと、永く、看護師が出来ますように・・・・。　　

  2005年08月10日

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• いくつになっても

  　朝の申し送りのこと。　「Ｓさんが、看護学生が、検温をするのに10分もかかると、不満に思われています。でも、よく聞いてみると、どうも、男の子の学生が嫌で、女の子の学生をつけて欲しいみたいなのです。」と、夜勤のＯ看護師が言った。　Ｓさんは、脳梗塞後遺症で、日常生活に介助が必要で、認知症はないけれども、不自由な体で、控えめな性格もあって、気分が沈みがちの高齢の男の方。　「まあ、そんなこと言う人には、ずっと男の子をつけないとね。」と、年配のＫ看護師が言われたので、そんなことしたらダメって、思った。　「いいじゃない。それで、活気が出るのならいいことだと思うわ。そんな風に思える気持ちって、大事だと思いますよ。」　みんなも、Ｋ看護師も笑顔になった。　　昼食の準備で、車椅子に座っているＴさんが、とても可愛いパジャマを着ておられた。　Ｔさんは、右半身が麻痺していて、日常生活に介助が必要で、とっても明るい高齢の女性。　「Ｔさん、パジャマがとっても可愛いですね。」と、思わず声をかけたら、Ｔさんは、少しはにかんで、よく、おばさんが話をする時のリアクションで、私の腕のあたりをバンって、たたきながら、　「うふふ。リハビリの先生にみせるの（笑）。」　嚥下訓練のために、いつも食事介助に訓練士さんが、来られる。　Ｔさんは、若い訓練士さんが好きなのだそうだ。　彼女は、大好きな若い訓練士さんに食事の訓練をするのを一番の楽しみにされている。他のことに関しても積極的に頑張ろうとされている。　いくつになっても、初恋の時のような淡い心を忘れたくない。　たとえ年を重ねても、病気になっても、命の尽きるまで、忘れない。　そういう気持ちが、生きることへの喜びに繋がると思う。　60歳、70歳、80歳、90歳・・・私はまだ経験したことがない年齢。　でも、人の心は、人間として、年齢に関係なく同じと思う。　そのことを忘れてはいけない。　

  2005年07月08日

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• 昔のこと

  　今日はナースだった。　昨日から発熱している患者様のＮさんの様子がおかしい。　口元がピクピクとけいれんし、名前をよんでもはっきりしない。　手足も動かさず、顔色も悪い。　すぐに、心電図のモニターをつけて、血圧と、体の酸素の量を測る。　熱が38度あることと、酸素が９０％しかない。それと、脈拍が速い。　同時に医師に連絡して、個室に移動。　そうして、1時間の間に検査や処置をおこなった。　ご家族にも連絡した。　新たな脳梗塞との診断。　脳外科の医師に診察していただく。　脳外科の医師が最近の患者様の状態を尋ねたので、お話した。　「この人、痙攣を止める薬が処方されているけど、いつも痙攣を起こすの?」　「いえ、起こしませんが、昔、痙攣を起こしたことがあります。」　「昔って、どれくらい?」　「4年くらい前の状態の悪かった時です。」　「4年前は、昔じゃないよ（笑）。」　私も、自分で答えておいて、なんで昔といったのだろうと、思った。　『昔のこと』は、人によって、その長さが違う。　90歳のＮさんにとって、4年前は『昔のこと』ではない。　言葉は、聴く人の受け止め方が違うから、思い込みとか、誤解とかを招くので気をつけないといけない。

  2005年07月01日

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• 自己と事故

  　言葉は聞えてきた感じで、その状態を想像することができる。　その聞える言葉を文字に表したときに、間違った感じを使ってしまったり、聞いた人が、誤解して把握していたりすると、とんでもない変な話になる。　今日の私は、病棟ナースだった。　　寝たきりの患者様の体の向きをだいたい２時間ごとに変える。　これは、褥創（床ずれ）や肺炎の予防に行う。　このことを『体位変換』という。　でも、実際にここの看護師は、体位変換のことを体交（たいこう）と言っていて、看護記録には、『体交』と記載されている。　略していうことは、よくあるが、体位変換を略すとしたら、『体変』のはず。　体交は、あきらかに体位交換の略になる。　体は、物ではないので、交換できない。　私は、ここの病棟に来たときから、間違っていることを言い続けているのになおらない。　看護記録に辞書に載っていない略字を使うのもどうだろう。　『体位変換』と、記録してほしい。　もう一つ、　口から、食事が摂れない患者様に、鼻から細い管を胃の中まで入れて、栄養のある液を注入する方法がある。　時々、認知症に方や、意識のはっきりしない方は、ご自分で誤って抜かれる事がある。　これは、あきらかに事故。　管は、抜けないように固定しておかなければならないし、抜ける時に気管にはいったりすると、危険だ。　申し送りを聞いていると、「じこばっきょしました。」と・・・・。　看護記録を見ると、「自己抜去」と書かれている。　自己抜去できるのは、患者様に指導してご自分の意思で、安全に抜かれた場合をいうはずで、この記録は、患者様がされたことになっている。　患者様がさらなくても、自然に抜去していたときもあり、そんな時は、「自然抜去」と書かれていたりして、驚く。　自然ではない。抜ける事は、不自然なこと。　看護するものが、自分中心に考えると、こうした過ちをおかしてしまう。　　記録は、看護行為の証拠になるもので、誰が読んでも理解できるもので正確なものでなければいけない。　自己と事故は、特に注意したい。　今日は、この２点、師長に改善していただくように申し出た。　さて、かわるでしょうか？

  2005年06月24日

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• あなたが嬉しいと私も嬉しい

  　近所のクリニックの看護師さんが休暇をとられたので、手伝ってほしいとのことで、今日はクリニックのナースになった。　時々、こんな風にこのクリニックのナースになる。　クリニックは、医師と事務２人とナースの４人。　小学校のすぐ近くにあり、近所の人が診察にこられる。　たまたま、知っている人が来られたりすると、みんなビックリされる。　クリニックの受付に一枚の絵手紙があった。　今年の春に診察にこられた患者様からのお礼状だった。　こんなに、丁寧なお礼状を出すぐらいだから、時間外に診察したとか、激しい症状で診察が大変だったとか、あったのかなと、思って、事務のＹさんに尋ねた。　「この方に、先生は特別に何か、されたの？」　「いいえ、何も、特別ではなかったように思いますよ。」　特別何もしているわけではなくても、お礼状を出したくなるクリニックの医師は、いつも親切で丁寧だから、それが患者様には嬉しかったのでしょう。　　　昨年、学級委員長をされていた方が、家族みんなが発熱して点滴を受けられたことがあった。　私は、彼女に特別何かをしたわけでもないのに、その後のＰＴＡ実行委員会のあとに、わざわざお手紙でお礼状をくださった。　私も嬉しかった。　医師や看護師の仕事は、量や質を測ることができない。　いつも評価していただくのは、患者様。　患者様の喜びが自分の喜びになるような仕事が出来た時、いい仕事ができたんだと思う。　クリニックを開業して４年になる。　院長は、近所のお友だちのご主人。　私が看護師の免許があるので、時々、お手伝いを頼まれる。　報酬は、いらないと言ったが、それでは、また頼めないからと、銀行口座に振り込んでくださる。だから、時給いくらとか話したことはない。　私は、楽しんで仕事しているし、先生から教わる事も多い。　先生の診察や患者様への対応がとても信頼できる。ここのスタッフは、みんなそんな先生を尊敬しているから、仕事に忠実で患者様にとても優しい。　スタッフは、お互いに「ありがとう」をよく言い合う。当たり前のことをしていても、「ありがとう」と、言い合うのは、気持ちがいい。　そして、クリニックの患者様は、地域の方であり、対応する時にとても貢献感があるし、緊張感があるのが、よい刺激になっている。　だから、頼まれたらなんとかしたいって思ってしまう。　患者様だけでなく、スタッフや友だちが嬉しいと、私も嬉しくなるから・・・。　　　　　　

  2005年06月22日

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• 私の祈り

  　4月でケアマネを辞めることにしたが、月末までに全ての利用者様のお宅を訪問できないでいた。　今日も、数件、伺った。思いは色々あって、一件に、1時間半くらい時間がかかってしまう。　私が、認定調査をしたSさんは、83歳、一人暮らしの男性。　2年前に癌の告知を受けて、前向きに治療されている。　調査に行ったときに私を気にいってくださり、認定が出たら、ぜひ、ケアプランをと、言われた方。　「足が腫れてきてね。食欲がないんだよ。温泉に行ってね。ビールを飲んだんだけど、半分も飲めなくてね。ビールがこんなに美味しくなかったかなって、思っちゃったよ。」　「もう、ダメかもしんないね。医者に尋ねたら、そんな心配は2年間はしなくていいって、言われたけど、あれから1年経っちゃったもんナ。よけいなこと聞いちゃったよ。」　「そうか、辞めちゃうのか。もう、会えなくなるな。」　とても寂しそうに話すSさん・・・。　重い足どりで、玄関の外まで見送ってくださるSさん・・・。　どうか、強く生きてくださいますように・・・と祈るばかり。　Kさんは、4ヶ月前に私の担当になった99歳の女性。認知症がある。　娘夫婦と同居されているので、ほとんど娘さんの相談を受けていた。　4ヶ月前と比べると、足はよろよろとしておられりものの、とても元気になられた。一緒に同席して、お茶を頂く。　私のことを誰かと何度も尋ねる。そのたびに、説明するがすぐに忘れてしまわれる。それでも、話は通じて笑い合える。　遅くなったけれども、娘さんから今月の利用票に印鑑をいただいていると、　「印鑑を押すということは、お金が絡むことだから、よう考えて押しなはれ。ところで、おたくは、どちらさん?」　娘さんは、Kさんの言動に申し訳ながるので、私のほうが申し訳ない。　4ヶ月前は具合が悪く、月に一度では、忘れてしまうのも無理はない。　とうとう、私を覚えていただけないままのKさん・・・。　来年の1月で100歳になられるKさん・・・。　どうか、長く心穏やかな日々がつづきますように・・・と祈った。　

  2005年05月14日

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• 優しい思いやり

  　先月亡くなったMさんのお宅に伺いました。　私がケアマネージメントしていました。　７２歳、前立腺癌の末期の方でした。　奥様は、病院ではなく自宅での最期を望まれました。　「昼間に眠るように逝ってしまったの。かなり痛がっていたけど、病院で私と二人ではなくて、訪問看護婦さんたちと一緒に、この家の猫たちも一緒に見取ることができて、よかった。」　私は、在宅でのターミナルケア（終末期の看護）が、その人をもっとも尊重できると思います。　今までの存在を自覚できるものに囲まれて、愛するものに囲まれていたい。「あの人ね。自分は７２歳で死ぬからって、言っていたのよ。予言どおりそうなったった。亡くなる前にね、私に会えてよかった。ありがとう。って、言うのよ。私は、ずっと隠していたけど、わかっていたのね。何も言わなかったけど。」「ご主人は、頭のよいかただから、わからなかったことはないと思いますよ。でもね、そうゆうことを奥様に尋ねると、困ると思って言わなかったんでしょうね。優しい思いやりですね。」　闘病中に様々なやりとりがあったと思います。　全てを乗り越えてきたけれど、まだ受け入れることができていないと言われる。「夫が亡くなって、すぐに結婚する人がいるけど、私は出来ない。一人でも平気だし忘れられない。忘れないといけないと思うけど･･･。」「忘れなくていいです。忘れちゃいけないと思います。私は、Mさんのことをずっと忘れないですよ。」　子どものいないMさんの奥様は、一人になってしまいました。　家に中には、たくさんの優しい思いやりのあとが見えます。　少しずつ、自分の時間を取り戻してゆかれますように・・・・。　

  2005年05月09日

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• 叱る

  　ナースのお仕事中・・・新人ナースのＮさんと患者様も傷の処置をしていた。　ラップ療法といって、傷をお湯で洗浄して、ラップで密封してテープで留める。　私は、この患者様の傷は久しぶりに見た。随分とよくなられていた。「小さいね。」　私は、傷を見て言ったら、Ｎさんは、あわてたように、「すいません。小さかったですか?」　彼女は、私に渡したラップが小さいのかと思ったようだった。「いいえ、傷が小さくなったなって思ったのよ。」「なんだ、叱られたのかと思っちゃった。」「私は、そんなことで叱ったりしないわ。」「そうですよね。でも、私はよく叱られるから･･･」　確かに、Ｎさんは、よく叱られている。なかなか仕事をまかせてもらえない。　叱るのと教育するのは違う。彼女は、教えてもらうというより叱られたと感じるのは、きっと、教える側が、彼女の上位に立っているからだと思う。　人として、同じであり、一緒に同じ目的を持ってお互いが学び合おうとするならきっと叱ることはないはず。　私は、彼女の気持ちをもっと知りたかったので、叱られたときの気持ちを尋ねた。「私は、気が付かないから叱られて初めて気づくことが多いので、叱られても平気です。でも、出来ないのだから仕方ないです。」　彼女は自信がないという。それでは、彼女から、助手さんや学生に教えたりするときは叱ったりするかどうかと尋ねた。「そりゃあ、医学的なことは、ちょっとは知っていますから、教える事もありますが、叱るなんてとんでもないです。反対に教わることが多いですから。」「あなたが、ベテランと呼ばれるようになっても？」「多分・・・。」　私は、嬉しかった。「仕事のことは、さて措いて、あなたは、人間関係を上手に結べる人だと思って、私は関心するわ。そのことが、仕事をする上でもとっても大切なことだと思う。」　Ｎさんは、恥ずかしそうにはにかんで、「誉めていただいて、嬉しいです。頑張ろうって、気持ちになります。」「誉めてるんじゃないよ。私は、一緒に勉強したいなって、思ったのよ。」　　どんな職種でも、また家庭でも、叱る教育は、上から下に押し付けている。　たとえ、相手が誰であれ、人間として対等であることが、基本だと思う。　立場がちがっても、人間関係をよくする方に導くことを先に考えれば、叱ることはなく、教える。そして、教わり、お互いが向上できる。　私は、私が教えた人が私を超えてほしい。こんな、私はすぐに越せる。　すぐに越せる目標でありたいと思う。

  2005年05月02日

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• ささやかな望

  　ナースステーションの隣の病室は、状態の悪くなった方や、急変の心配のある方が入っておられる。と、いってもここは、療養型の病棟なので、救命救急のようなＩＣＵではない。　明治生まれのＮさんは、老衰で、ここのところ食事も摂れず、持続して点滴をされている。家に帰りたいと息子に言っては、「よくなったらね。」といわれ続けた。このごろは、それも言わなくなった。　昼食を配膳して、食事介助も人手が足りていたので、私はこの部屋にはいった。　Ｎさんが、布団から手を上げておいで、おいで、をされるので、ひきよせられるようにＮさんのベッドサイドについた。　声をかけようとすると、彼女は、私の右手を握り自分の胸元にひきよせて、そっと、目を閉じる。　「どうしたの？」　尋ねても、何も言わず、首を振る。手を離そうとすると、力を入れて握る。ほそく、か弱い、しわしわの手で・・・。　どうしたものかと、考えて、しばらくそのまま私の右手を彼女に預け、左手で、髪をなでた。　どれくらい経ったのだろうか、5分くらいだと思う。彼女は、寝息をたてて、眠り始めた。　私は、そっと、彼女の手から私の右手をはずした。子どもと添い寝をして、そっと、起こさないように体を離すみたいに･･･。　彼女は、ちょっと、目を開けたが、今度は、うんうんと頷いて離してくださった。　不安でいっぱいのはず。そばにいてほしい時、その時に居合わせてよかった。　手を握るというだけのささやかな望だけでも、叶えてほしい。　来週もまた、会えますように・・・・。　

  2005年03月22日

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• 読みたい

  　認定調査に行って、こんな方にお会いした。　彼は、74歳。脳梗塞の後遺症で右の不完全麻痺がある。　右麻痺の方は、左の脳にダメージがあるので、言語障害もあって、言葉を失う方が多い。　彼は、一見は、普通にお話ができる。でも、物の名前が言えないとか、言いたい言葉が出てこないといった、障害がある。　「なかなか、わかってもらえないのは、イライラしますが、そんなことよりも、辛いのは、本が読めないことです。新聞などは、読めなくてもテレビやラジオでわかるけど、本の字がわからないんです。くやしいから、たくさんあった本を全て売りました。」　私は、彼が、笑顔で話す目の向こうの淋しさを思うとお話を聴いていて胸にこみ上げてくるものがあった。　また、彼はこんなふうにも言う。「デイサービスに私と同じ位の歳で全く歩けない動けない方がいますが、その方は、本が読めるんですよ。1ヶ月ごとに体を交換したいと思います。そうしたら、その人も嬉しいでしょうし、私も嬉しい。」　ご自分の悲しい現実をこんな風に話をされるその方の大きさを感じた。　もしも、私に時間と余裕があれば、ここにきて、本を読んで聞かせてあげれたらと思った。　本が好きだった。それなのに、読めなくなったら・・・。　私は、歳をとってから、また読み直したい本がたくさんある。　今、こうして書いている日記でさえ、いつの日にか、読み返したい。　大切な人からの手紙も読みたい。　誰かが、私のために読んでくれるでしょうか。　もしも、あなたが、文字が読めなくなったなら　私は、あなたに読んであげられるでしょうか・・・。　

  2005年03月19日

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• 眠らない人

  　このところ、大詰めのPTAのことや、子どものことなどで、夜が遅くなって、この日記に向かうのが、深夜になっている。　でも、４時間～５時間は眠れているから、眠らないでも大丈夫。　新卒で総合病院の外科病棟に勤務して２年目のころ、研修医のO医師が、深夜の０時を回るまで、ナースステーションで勉強していた。　O医師は、その年に大学から派遣された研修医で、新婚だった。「家に帰ると、勉強できないから、ここですると決めているんだ。お嫁さんが眠ったころに帰ろうと思ってるんだ。」帰ったら、ほんとうに、お嫁さんは眠っているらしい。それにしても、毎日こんなに遅くなっては、睡眠時間がとれないのでは？と話した。「４時間眠ることにしているんだ。だって、考えてごらん、みんなが言うように８時間も眠ると、人生の３分の１を眠る事になるでしょ？」　へえ～と思ったが、あのころの私は、睡眠時間は８時間では、足りないくらいいっぱい眠りたかった。　子どもが生まれてからは、長く眠ることがなくなった。　最近は、４～５時間で自然に目が覚める。　ベッドに入ると、おやすみ１・２・３で眠りに入るぐらいぐっすり眠れる。　ちょと、気になる事は、一般に不眠を訴える患者様の状態を記録したり、申し送ったりするときには、「眠れない」と記入したり、言ったりするのに、今の療養型の認知障害のある方の場合は、「眠らない」と、書いたり、言ったりする人がいること。　違うんじゃないの？といつも思う。　「眠らない」のは、自分の意思。無意識の不眠は、「眠れない」のだ。　私たちが、援助するのは、「眠れない人」。　「ら」と「れ」の違いですごく違ってくる。

  2005年03月09日

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• 待っているから

  「待っていたのよ。もう来るか、もう来るかな？ってね(笑）。さあ、上がって、掛け軸もあなたに見せようと思って、春の雰囲気に変えたの。月末から毎日、お部屋を暖めていたのよ。」　私がケアプランを立てさせていただいているDさんは、毎月の月末を楽しみにしてくださっている。　立て続けに、話し始めるDさんをもう止められない（＾＾；）　今月は、２８日しかないのに重ねて、月末になって、新規の方のプランを受け持ったため、３月に変更になりそうな方を優先して回っていたら、Dさんは、今日になってしまった。　遅くなったのをお詫びして、今日は、１時間のお話を覚悟で、上がらせていただいた。　まず、娘一家とホテルで過ごしたお正月のお写真をみせていただき、娘の仕事のことや、お姑さんのことをお話された。　お茶をよばれて、最近の物騒なニュースについて話をし、息子の診療所に泥棒が入った事などを聞いた。　肝心のケアプランについては、なかなか入れない。　最後に、変わりはなくていいということと、消防署の一人暮らしの訪問調査をいらいしたことなどをやっと、話した。　もう一服お茶をいただいたら、１時間半もお話ししていた。　こんなわけで、なかなか、お年寄りのところを回るのは大変。　でも、待っている人がいるというのは、なんだか嬉しい。　私も、時々、誰かと話をしたくなるときがある。　こんな風に人の話をいっぱい聞いたあとは、ゆっくりと自分の話をしたい。　　

  2005年03月04日

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• 抱きしめたい

  　私が、時々、勤務している病棟に、首から下の完全麻痺の方がいらっしゃる。　肩や首の筋肉で腕をかろうじて挙げることができる。　下肢は、全く動かない。痛みすら、触っているのすらわからない。　彼は、二十歳で交通事故に遭い、あと、数年で、還暦を迎える。　自由な時間よりもはるかに、長い年月を動けないでいる。　その間にご両親も亡くなった。　ご兄弟は、それぞれの居場所がある。　彼は、ひとりでずっと、病院の中。　今は、穏やかで優しい。何も言わない。　でも、きっと、葛藤の嵐の時があったのに違いない。　彼は、朝の検温が終わると、車椅子に乗り、缶コーヒーを飲んで、本を膝の上に置き、タバコを吸うために喫煙室に行く。　もちろん、全面介助で、車椅子に乗る。　私は、小さくて力がないので、抱えてもらうのは、他のスタッフに頼むが、車椅子に座った後、後ろから、脇をかかえて深く座れるように直す。　その時、私はいつも、彼を抱きしめている。　温かさが伝わるように抱きしめている。

  2005年02月28日

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• 看護は感性が大切

  　春一番が吹いた。と、お昼のニュースで話していた。　今日は、久しぶりに病棟ナースの日。　　久しぶりに行っても、療養型の病棟では、さほど患者様の状態も処置やケアーも変わっていない。　でも、久しぶりに行くと、毎日看ている人とは違った看かたが出来る。　やせたとか、太ったとか、傷が治ったとか・・・。　寝たきりで意思表示の出来ないＭさんに、帯状疱疹（ヘルペス）が出来ていた。　私がＭさんのベッドサイドに行くと、若いナースが状態の説明をしてくれた。　もし、私たちにできたら、凄く痛く、麻酔科で神経ブロックをしていただかないといけないと思う。　でも、Ｍさんには、痛みの訴えがない。　「痛みに対して、あなたは、どう考えてる？」と若いナースに尋ねた。　「やっぱり、痛いのでしょうか？」と答える。　私は、患者様に尋ねた。反応は、よくわからない。でも・・・・。　赤く紅潮した顔や、熱っぽい表情、そして、なにより、同様の症状の意思表示の出来る患者様を何人もケアしてきた経験から、この人が痛みを持っているのは察する事ができる。「痛みがある。と思ってケアするのと、何も思わずケアするのは、大きく違う。何も訴えないからといっても、いつもどおりではいけないよ。」　　看護はその人の感性が大切。　感性豊かな人になれるよう、毎日を丁寧に過ごしたい。　

  2005年02月23日

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• 蝋梅

  　今日は久しぶりのナース。詰め所の中でほのかに香る蝋梅。患者様のご家族の方が持ってこられたものだ。療養型の病棟でほとんどが寝たきりでお話も出来ない方が多い。どなたが持ってこられたのか、ベッドサイドにもあるかなっと思って部屋を回ったがみあたらなかった。詰め所にだけいただいたのだ。人の五感はしゃべれなくても感じることができると思う。季節のない病院に何年も入院しているからこそ、患者様のそばに持っていきたいと思った。　Kさんは聞こえていらっしゃるようだが、意思表示が出来ない。彼女の床頭台に小さな卓上カレンダーがおいてある。今日、初めて気がついたが、細かくきれいな字でその日に感じたことやKさんの反応などが日記のように書き込まれていた。娘さんが来られた時にかかれたのでしょう。それは、お母様への励ましであったり、他の人への申し送りだったり、スタッフへの感謝の言葉であったりと、誰の目にふれてもいいように書かれていた。自分だけのノートではなく誰かに向けて書くこと・・・この日記と似ているなっと思った。

  2005年01月31日

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• 長生き

  　午前中に介護保険認定調査に行った。90歳近い方が「私は、長生きできませんよ。」と言われ、立会いの娘さんが、「もう、長生きしてるよ」と笑った。私の生きてきた倍を生きてきた方だが、まだやるべきことが終わらず短いと感じるのか、もう充分に生きてきてこれで満足ということなのか・・・いずれにしても、ニコニコとされたそのお顔を拝見し、これからも穏やかに過ごされますようにと祈った。私は、何がなんでも長生きしたいとは思わないが、与えられた命は大切に使い「充分に生きた」といえる人生でありたいと思う。

  2005年01月29日

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