ずっと、ここに帰りたかった?
先月から、短期のお仕事をしています。仕事を辞めたのが2020年の夏なので、実に3年半ぶりのお仕事です。このブログでも何回か書いたのですが、私はもと理科系研究者で、20代でその道を志してから、ずっと研究中心の生活をしてきました。そんな人生のどこかで歯車が狂ってしまい、突然大きな病気をしたのが、8年前。その後も数年はどうにか仕事を続けましたが、繰り返す再発に疲れ果て、夫の転勤を機に仕事を辞めました。仕事を辞めたことに後悔はなかったし、業績やら締め切りやらのプレッシャーから解放された毎日は心身ともに楽でした。だけど、そんな気楽さとはうらはらに、心の奥底には、常に、私の人生これでいいのか、という漠然とした不全感がありました。この先の見えない時代に、稼がなくてもいいのかという不安もありました。研究者時代の私。今回、久しぶりに当時の写真を眺めました。そんなこんなで...最近、試しにもう一度、働いてみようかなと思い始め、周りにもそんな話をしていたところ、思わぬところから降ってきたのが今回の仕事でした。きっかけは年末の帰省で友人に会った時、何の気なしに「冬だけ暖かい関東に出稼ぎに来たいわ〜」と言ったこと。数日後、友人から、本当に仕事しない?と打診がありました。なんでも、友人の職場で急に病欠する人が出て、繁忙期なので、手伝いの人を探しているとのこと。短期の仕事でなかなか人が見つからなかったところに、私が出稼ぎしたいとか言っているのを聞いて、それもありかも、と思ったのだとか。自然相手の仕事はきつかったけど、私にとっては意義あるものでした。降ってわいた話にびっくりはしたものの、すぐに、やりたい!と思いました。その瞬間は、北海道の長い冬から合法的に(?)脱出できるのがうれしかったのが一番でしたが。聞けば、仕事内容は私の専門に近くて、期間は2ヶ月。職場は茨城だけど、最初の1ヶ月は札幌でテレワーク。その後は埼玉の実家に移り、週に1度、職場に通い、それ以外はやはりテレワークでいいとのこと。それなら多分できる…もちろん、不安はありました。仕事のブランクが長いけどお役に立てるかなとか、病気は大丈夫かなとか、1ヶ月も家を空けていいのかなとか。でも、よくよく考えて、やっぱりやりたかった。実際に仕事をしてみて、今でも自分はちゃんと働けるのか、仕事をした時に自分がどんな気持ちになるのか、知りたいと思いました。こんなことをしていた時もありました。その後、トントン拍子に話が進み、各所への調整も無事に終わり(札幌に残される夫とか)、2月中旬、私は無事に仕事を始めたのでした。最初はゆっくり。私が執筆のお手伝いする予定の報告書を読んだり、データを眺めたり。ブランクが長いので、どうかなと思っていましたが、そこは20代の頃から20年、時間も情熱も注ぎ込んできた仕事です。多少エンジンのかかりは悪いものの、頭も体も仕事の仕方はちゃんと覚えていてくれました。そして何より、懐かしかった。懐かしくて、楽しくて...ああ、私、ずっとここに帰りたかったのだ、と思いました。人見知りですが、なぜか同業者の人とは初対面でも緊張せずに話せました。2月末に体調を崩し、一瞬、やっぱり私は仕事ができる体じゃないのかと自信をなくしかけたこともありました。でも、なんとか持ち直し、今は予定通り実家に戻って仕事を続けています。3月に入ってからは、少し仕事が忙しくなりました。でも、その締め切りに向かって走っているうちにアドレナリンが出てくる感覚がまた懐かしくて…気づけば、仕事を辞めてから常に感じ続けていた、私はこんなことをしていていいのかという不全感や焦燥感は完全に消えていました。そして、ようやくわかりました。あのどうにも落ち着かない感覚は、自分には全力で取り組むべきものがない、何に向かって生きていけばいいのかわからない、ということだったようです。それがわかっただけでもこの仕事をお引き受けしたかいがあったというもの。契約終了まであと2週間と少し。終わった時、私はどんな気持ちになるのでしょうか。最後まで読んでいただきありがとうございます。↓応援クリック、励みになります。にほんブログ村↓よろしければ読者登録も!!