法律が変わって、優先審査の条件が拡大したというのは10月2日に書いたとおり。
それについてニュースも翻訳したら、それを読んだ某事務所のB部長が、「これ、誤解を招くよ」とアドバイス。
特許庁長が優先して審査させることができるのは次の2つの場合。
1.公開後、出願人でない者が業として発明を実施している場合
2.大統領令が定める出願で緊急処理が必要な場合
このうち2の場合というのが
(1)防衛産業分野の特許出願
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(10)外国特許庁長と優先審査することに合意した特許出願
の10あったんだけど、それに11番目(専門機関に先行技術の調査を依頼した場合)が追加された訳で。
でもニュース見ると(1)~(10)はなくなってしまって、優先審査の場合は(11)しか方法がないように見える、というご指摘。
まあ、確かに。
先生に聞いてみた。
実際に(1)~(10)の条件で優先審査を認めてもらうのは難しい、ダメとか不要って言われたらしょうがない。でも(11)の場合はそういうことがない、だから、優先審査をしようと思ったらみんな(11)の方法を使うようになるよ、という話。
え?そうなんですか?
法の文言通りなら、(11)の場合であっても、優先的に審査をさせることができるだけであって、必ずしも優先審査になるとは限らないんじゃないですか? 緊急処置が必要と認められなくては優先審査を受けられないという話になりますが。
いや、そうじゃない。(11)の方法は全て優先審査になるんだよ。だからスピードを選べるという話なんだよ。
そうなのか~。
という訳で、早期審査がない韓国でも、とにかく優先審査を受けることのできる方法ができたのでした。
が
実は問題が。
11の方法は、専門機関に先行技術の調査を依頼して、それを特許庁に知らせてもらう、という条件で優先審査をしてもらうのだけど。
専門機関への先行技術調査の依頼と言うのがえらく高価らしい。具体的な数字はみたことないのだけど、かなりになるという話はあちこちで聞く。
一般の審査もかなり早い韓国で、そんだけのお金を使って優先審査にもっていく必要があるのか???という話がでているらしい。
ということで、ご参考に。
特許法第61条
特許庁長は、次の各号の1に該当する特許出願に対しては審査官に他の特許出願に優先して審査させることができる。 1.出願公開後、特許出願人でない者が業として特許出願された発明を実施していると認められる場合
2.大統領令が定める特許出願で緊急処理が必要であると認められる場合
特許法施行令第9条(抜粋)
法第61条第2号で“大統領令が定める特許出願”とは、次の各号のいずれかに該当するもので特許庁長が定める特許出願をいう。
1.防衛産業分野の特許出願
2.公害防止に有用な特許出願
3.輸出促進に直接関連した特許出願
4.国家または地方自治団体の職務に関する特許出願(国・公立学校内専担組織による出願含む。)
5.ベンチャー企業の確認を受けた企業の特許出願
5の2.技術革新型の中小企業として選定された企業の特許出願
6.国家の新技術開発支援事業または品質認証事業の結果物に関する特許出願
7.条約による優先権主張の基礎となる特許出願(…外国特許庁に手続き進行中にものに限る。)
8. 特許出願人が特許出願された発明を実施し、または実施準備中の特許出願
9. 電子取引と直接関連した特許出願
10.特許庁長が外国特許庁長と優先審査することに合意した特許出願
11.優先審査の申請をしようとする者が特許出願された発明に関して法第58条第1項による専門機関に先行技術の調査を依頼した場合で、その調査結果を特許庁長に通知するように該当専門機関に要請した特許出願