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テーマ:キングクリムゾン(654)
カテゴリ:プログレッシヴ・ロック
古くからのファンなら、よく知っている人もいるでしょうし、そんな話もあったなと思う程度の方もいらっしゃるでしょう。そう、今回はあの例の本です。
TOKYO FM出版が95年10月に5000部売り出したキングクリムゾン関連ディスコグラフィーを解説したポケットサイズ書籍。我ながら古いファンの部類なので、70年代から雑誌でのディスコグラフィーを数パターン持っていたし、この本が出たときには買っていなかった(後で買ったけどw)。 ロバート・フリップの真の思いがどうだったのか?その頃の私ときたら、音響の仕事を辞める頃で、とても音楽を聴いている状況ではなかったので話題を追ってはいなかった。ただ、第一審の判決文と控訴審の判決文を読むにつれ、ミュージシャンの写真を多数使用し、多くの作品をアルバム写真と曲名で紹介することが、フリップ側にしたら名前を利用され商売にされたと言う事なんであろう。対するTOKYOFM出版側にしてみたら、古くから音楽を放送して様々な音楽普及に努めてきた局である。紹介することでクリムゾンファンの道標になればと企画されたのかもしれない。普通の出版社では手掛ける様な題材では無いからだ。 一審ではフリップ側の訴えを認めているが、主文を読むとプログレ関連用語やクリムゾン関連人物がずらずら出てきて、めまいがした。なんつー裁判だ。結果として、出版から結審までの間の売り上げに対するロイヤリティ等が認められた形になっている。 しかし、控訴審で自体は一辺、フリップ側の訴えは一切を却下され、裁判費用まで負担となっている。その後の経緯も事後処理についても詳しいことは判らないが。 ただ、善意が一部に感じられるからといって、出版に際して本家側とどれほどの打ち合わせをしたのかが不鮮明なのが非常に心苦しい。情報を出す側の責任と言う点では、我々のブログで書き殴られている事も少ないながら世間に向けて発信しているからだ。私自身もよく誤字やら勘違いを書き直したりする故に、偉そうに言える立場じゃないのは判っているw。 しかし、本となってそれが世に出ると、当時の時代を知らない世代からはその本の情報が仮に間違いであっても「当時あった事」の様に受け取られる危険性も当然あるのだから。 クリムゾン本を多くのメンバーや関係者から広く拾い集めて膨大な資料から編み上げたシド・スミスにしてでさえ、その点についての危惧を冒頭に書き記している。あの、クリムゾンの生き字引のような人間でさえだ。その点でシドは、メンバー間での心象や記憶のズレを、主観を切り替えて絶妙に捉えている。例えば、90年代のオリジナルラインナップクリムゾンでの集まりでのメンバー間の印象の違いや、ELPのツアーに現れたフリップの扱いをグレッグ側・フリップ側両面から平等に扱っている点等でだ。それでも古い出演等細かい曲順のミス等はやはりどうしても出るが、そこまで調べられる気力と努力は高く評価されていい。 話がちょいと脱線したw さて、控訴で勝ったからなのだろうか?最近ジュンク堂に入ったら、音楽コーナーに地球音楽ライブラリー版が、当然の様に棚にあったので驚いた。事情を知らない人は、てっきり一審の判決で絶版になったものだと信じているかもしれない。手に取らなかったので第何版なのかは確認していない。私個人、1980年でクリムゾン関連メンバー音源の発掘から手を引いたのでその後のメンバーの参加したレコードやCDは気が向いたら買う程度なので、古本で買ったのも安かったからなので恐縮するばかりだが、それでも「版を重ねたのに、情報ミスが改善されていない」この本は、いったいなんなんだろう?裁判をそんなに恨んでいるのかな?当時の代表だった後藤さんといえば、日本に於けるFMの祖と言ってもいいくらいの人物であり、尊敬に値する貢献をされてこられたとは思うのだが、この本でのミスを放置したままなのは、どうにも解せない部分が残る。同じ思いで、重版でミスが直ってないと書いている他の方の記事も確認できたのだから、私程度でも判ったと言うもんでもあるw 細かい所を突付くとキリが無いが、作品の発表年がいい加減なのは、実に不可思議だ。例えば、Gordon Haskell: It Is and It Isn't。リザード製作後クリムゾンを離脱したゴードンのアルバムで、ジョン・ウェットンのファミリー前の活動としても貴重な記録となる1971年作品だが、地球音楽ライブラリーではなんと74年と記している。その上、本文では71年とも書いており、これを資料に書くライターが居たとしたらさぞ面食らうだろう。ティペットのOvary Lodgeも76年と書きつつ本文で73年(コチラが正しい)と書かれている。また、ティペット関連には、ジャケットが入れ替わって紹介されてあるものもあって、129pのアマルガムとフレームのモノが相当する。モノを確認できて無さそうな文字のみの紹介もあり、Duffy Power: Duffy Power (1972年 GSF 502)では無く、少々曲順曲目入れ替え再発されたPowerhouseのみ76年作品として紹介。詳細の解らない未確認情報については、不確定と明記するべきだと思うのだが・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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