初めての品川駅
叔母が体調を崩して東京都世田谷区にある老人病院に入所したのは、ちょうど一年前のこと。それまで川崎で独り暮らしをしていたのですが、腎臓を悪くしたことで透析をする必要に迫られたのです。夫はもうずいぶん前に亡くなっており、娘夫婦が同じ川崎市内に住んでいて面倒をみていたのですが、娘婿が第二の人生を北海道で過ごしたいとの希望で、長年住み慣れた川崎の土地と建物を売り払い、北海道に移住してしまったのです。息子は八王子の方に住んでいて、小さいながら会社経営をしており、それほど頻繁には面会も来られません。(ここ3年に及ぶコロナの影響もありますが)私は北海道に住む従姉と仲が良く、電話やメールのやりとりをしていて、これまでの経緯を聞いていたので、叔母のことがずっと気がかりでした。私の母は生きていれば95歳なになりますが、妹が老人病院に入所していると聞けば、「お見舞いに行ってやらすか」と、きっと言うに違いないのです。そこて私は、従姉が一年ぶりに上京するというので、それに合わせて叔母のお見舞いに行くことにしました。「羽田から品川まで電車で行くから、品川で待ち合わせしようか?」「品川?」「ほら、新幹線、今じゃ品川に停まるからさ」そう言えば品川駅の落成式をニュースで見たなぁと思い出し、「じゃあ品川で」と気楽にそこで待ち合わせするのを決めました。とは言え、地方の駅とは規模も違うし、待ち合わせ場所に何か目じるしになるものはないかと急いでググってみると、電車の形をしたポストがあるのを知り、そこを待ち合わせ場所にしました。万全の準備で待ち合わせ場所に向かったものの、とにかく人・人・人。どこもかしこも人だらけ‼︎しかも新幹線から改札口を出るまで人の波に乗ってしまい、その流れから逃れられないのです。本当はちゃんと改札口やら何やらを確認してから前に進みたいのに、人の流れがそれを許さないのです。仕方がないのでハマってしまった人の流れに身を任せ、改札を出てしまってから「はぁ〜やれやれ」とスマホで確認すると、な、なんと、電車の形をしたポストは改札内にあることが判明‼︎でも私は慌てません。こんなこともあろうかと、待ち合わせ時間より一時間も早く到着していたのですから。とりあえず入場券を買って中に入ろうと、券売機の列に並びました。(入場券¥150)無事に改札内に戻ったところで、まだ時間に余裕があるなぁと、お手洗いを済ませることに。さて、女子トイレはーー?案内表示があるので、場所はすぐにわかったのですが、、、びっくり仰天、さっき券売機で列に並んだばかりなのに、ここでもか⁈私は大きなため息をつきながら、またその長蛇の列に並ぶのでした。漸く用を足し、再び改札内をウロウロしつつ、電車の形をしたポストを探すことに専念。ところがどうしたことか、それらしきものが見つからない⁈あっちをキョロキョロ、こっちをキョロキョロ。でもこんなときこそググればいいのだと、「品川駅 電車の形をしたポスト 場所」と入力してみました。〈設置場所は品川駅中央改札のコンコース5,6番線ホーム行きの階段付近〉はい、さすがGoogleです。思わず「ありがとう、グーグルよ」と、お礼を言いたくなりました。こうして私は、やっとの思いで電車の形をしたポストの前までたどり着くことができたのです。筆頭管理人ところが今度は従姉が現れない。取り急ぎ着信をチェックすると、すでに2件あり。構内の騒音で着信音が聴こえなかったのです。慌ててかけ直すと、従姉は列車を乗り違えたらしく、少し遅れると。ならばあとは待つだけだと思い、スマホをいじりながらぼんやりしていました。しばらくすると着信音が。「もう着いたの? え? どこどこ?」従姉はすでに到着しているとのこと。「電車の形をしたポストの前だよ?」「私もいるよ〜」「どこ?」「どこ?」それらしき人影を必死で探すのに見当たらない。お互いに焦ってしまい、機転を効かせた従姉が「じゃあ私、手を振るよ」と言ってくれたので、「うん、そうして」と応じました。はい、見つけました。だが、しかし、、、その手を振ってくれたすぐ側のご婦人が、よもや従姉だとは、、、⁉︎筆頭管理人お互い、久しく会うこともなく、たぶん最後に会ったのが平成の終わり頃だったので、すでに6〜7年前です。電話やメールでのやりとりは頻繁ですが、最近の姿形はお互い知りません。もう視線が合うなり、二人でゲラゲラと大笑い‼︎そこが品川駅であることも忘れて大爆笑でした。なにしろ二人ともそれなりに年を経て、白髪はもちろん、シワも増えるし体型も変わります。従姉が言うには「北海道は食べ物が美味しくて、食べちゃうんだよね〜」とのことで、ポッチャリ感に溢れ、私は私で「更年期に突入したら、痩せなくなっちゃてさぁ」と弁解がましいことを言ってみたり。その後は遅いランチを食べ、お互いのお土産交換をし、お喋りの花を咲かせました。ちなみに従姉がくれたお土産は次のとおり。①白い恋人(←定番中の定番)②じゃがポックル③函館いかめし私もド定番の春華堂のうなぎパイを差し上げました。従姉は川崎に帰る家もないため、面会を済ませたあとは、再び羽田行きの列車に。函館までのとんぼ返りは、なかなか慌ただしく、別れを惜しむ間もなく帰路に就きました。私もせっかく品川まで来たとは言え、あまりの人ごみに買い物をする気力も失せ、とりあえず夕飯用のいなり寿司とお菓子、それに雑誌を買うと、新幹線に乗ってしまいました。これも買いました(*^_^*)春は行楽シーズンですが、私にとっては元気そうな従姉と、亡母の面影を残す叔母に会えて、本当に楽しく充実した一日なのでした。