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cms@ebisu

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2006.10.22
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幕見席は立ち見で大盛況の夜の部です。
一幕だけ観たのは「仮名手本忠臣蔵」。
今年の新年に新春浅草歌舞伎で観た演目でした。
肝心の時に(主人の大事の時に、勘平はお軽と逢い引きをしていました)いなかったばっかりに、仇討ちに加わるための資金の申し出も却下され、さらに誤解が元で切腹に至る勘平の、本当に浮かばれない悲劇の物語です。
浅草歌舞伎の若手役者で観た時は、ただただ情けなく勘平を哀れに思いました。

お軽(菊之助)と定九郎(海老蔵)以外は、ほぼ彼らの父親の世代の役者で固められた今回のこの作品。
勘平を、この役で高い評価を得ている仁左衛門が演じます。
菊之助の女房お軽は艶っぽく、その若さから勘平の資金作りのために遊女へ出されるのですが、その先の彼女の人生が案じられるほどの悲哀がありました。
一方、猪と誤って人を撃ち、義理の父親を殺してしまったと思い込んで悩む勘平。
日々の後悔の念まで感じられるその姿に、仁左衛門のただならぬ存在の大きさを感じました。
勘平は切腹して詫びようと、腹に刀を突き刺します。そして義理の父を殺したという誤解が解けた時、ついに仇討ちのメンバーに名を連ねることが許されました。
それを認めたのは不破数右衛門(弥十郎)。話の流れだけではない説得力のある威厳が伝わってきます。演じる弥十郎の演技の幅には、いつも感心させられます。

歌舞伎は役ごとに化粧を施すので、役の年齢が役者のそれと異なっても、その様式と演じる力で作品が作られる、というのがこの一年あまり歌舞伎を観続けた私の見解です。
だからこそ経験がものを言うこともあり、世間から当たり役と称される役を生涯演じていくのかもしれません。
以前テレビのドキュメンタリー番組で見たのですが、先輩の当たり役を若手が演じる時は、一緒に動きながら体でその形を伝承されることがあるそうです。
互いの目が芸を磨き合い、継承していく世界なのだと感慨深く思いながら、この日も舞台を見つめていました。

(歌舞伎座にて)

☆十月の筋書きには、「舞台の"共演者"小道具 その<わざ>と<芝居心>」という項目があります。その作品で使われている小道具の解説が興味深いですね。
鉄砲の玉が当たらなかった猪とか、その鉄砲など。
鉄砲は実射はできないながらも、銃身の本体は本物で当局の許可証付き(筋書きより)だそうです。
毎月20日頃以降の筋書きには、その月の演目の舞台写真が掲載されます。
発行時期については、歌舞伎座に確認してください。





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最終更新日  2006.10.25 12:23:18
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