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2006.11.25
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新橋演舞場での花形歌舞伎、夜の部です。
演目は『時今桔梗旗揚』『船弁慶』『義経千本桜』。

『時今桔梗旗揚』は江戸時代に書かれた作品です。
武智光秀(松緑)を家臣の面前で、いじめにいじめる小田春永(海老蔵)。彼らは史実では明智光秀と織田信長ですが、江戸時代には実名で上演することがはばかられ、このような役名となったそうです。
そしてイヤホンガイドの解説によると、この作品の光秀の立場は、こんなに屈辱を受けたのだから謀反を企てるのは無理もないという江戸時代の人々の光秀に対する見解なのだそうです。
松緑の堪える芝居が、一層、光秀の悲哀を浮き彫りにしていました。

『船弁慶』、静御前と平知盛の霊を菊之助が演じています。
義経の都落ちに同行を許されず哀しみを胸に踊る静の舞、そして船出した義経一行を呪い海に鎮めようとする知盛の舞。
特に知盛の舞は寄せては返す波のごとく義経に襲いかかり、次第にその激しさを増していきます。
足音を立てずに荒々しく舞う様が、亡霊を象徴する見事なものでした。
終盤の幕外、知盛の霊の引っ込みへの割れんばかりの拍手は、この作品が菊之助の代表作になることを予感させるものでした。

そして『義経千本桜』は、筋書きによると音羽屋型と澤瀉屋型があるそうで、今回は澤瀉屋型での上演となりました。海老蔵が指導を受けた猿之助の澤瀉屋型の’技’を披露する作品です。
まず神出鬼没の狐です。登場も裏方さんの協力無しではあり得ません。
花道の幕がシャリンと鳴って「出だよ!」の声。しかし登場は意外な場所から。こういう演出が粋でしたね。
しかしこの作品の見せ場は、それだけに止まりません。
忠信本人から源九郎狐の化けた忠信への早変わり、化けた源九郎狐の話す’狐言葉’(?)、いえ、そこで語られる身の上話。
義経(段治郎)が静御前(笑三郎)に渡した鼓のその皮は、実は源九郎狐の両親のものだというのです。成人しても孝行する親が無く、その鼓を親と思って頬ずりする源九郎狐の姿は涙を誘います。

さて、最大の見せ場は、源九郎狐が義経と静御前から鼓を譲り受け故郷に帰るところ。
扮する海老蔵の宙乗りです。狐らしい可愛い仕草で嬉しそうに鼓を持ち、空を駆け巡る姿。見えなくなるまで見送りました。

昼夜華やかな「花形歌舞伎」、この25日で千穐楽となりました。

(新橋演舞場にて)





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最終更新日  2006.11.27 01:20:16
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