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カテゴリ:演劇、観劇
2月に観た作品です。
戯曲とは、肉体を通して語られてこそ初めて作品として骨格を成すものだと考えさせられた舞台でした。 目を覆いたくなるような状況の下で語られる猥雑な言葉。 舞台の上のその佇まいには、言葉を発する俳優自身、一人ひとりの生きてきた過程が見えるような気がしました。 そして言葉の奥に潜む彼らの「魂」の呟きとして、その言葉が聞こえてくるように思いました。 ユニークな登場人物たち。 血だらけの理髪師の白衣、汚れた便器、掃除されないほったらかしの公衆便所。 ただそこにいるだけで、それらと同じ目で見て判断する他人の目。 最初から目を覆って見ないふりをしていたは、こちらの方かもしれません。 それを偏見と呼ぶならば、心の目で見る鍛練が必要です。 また、言葉と肉体の関係を強く感じた作品でした。 窪塚洋介、彼のジョニー・デップのような彼の容貌が、灰男という壊れそうに儚い男のロマンを漂わせています。 寺島しのぶ扮する、灰男の前に突如として現れる夏美。 「夏美は不賛成」「賛成しない」と、決して反対とは言わない彼女からは底知れない強さを感じました。 江口のりこ、茂手木桜子、蘭妖子、彼女たちの扮する男に翻弄されているようで自由な心を持つ女性たち。 どんなに薄汚れた汚い場所にいようと、最後には「自分」という志を持った者たちが神々しく感じられました。 戯曲・寺山修司、演出・蜷川幸雄 ※公演詳細は、Bunkamuraシアターコクーンのサイトで。 (シアターコクーンにて) 東京公演は、1/18-2/16まで Bunkamuraシアターコクーンにて、 大阪公演は、2/20-2/27まで シアターBRAVA!にて上演されました。 ☆戯曲「毛皮のマリー、血は立ったまま眠っている」角川文庫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.03.04 18:21:22
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