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《櫻井ジャーナル》

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2013.03.09
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 イギリスのウィリアム・ヘイグ外相は、シリアの反政府軍に対して装甲車や防弾服を供給する意向を示した。これまで兵器の供給や傭兵の雇用など軍事面の支援はサウジアラビアやカタールといった湾岸の独裁産油国が担当していたのだが、その仕組みが機能しなくなっているのかもしれない。

 兵器の流入ルートとして、最近、話題になっているのはクロアチ。アメリカ政府の指示でサウジアラビアが購入、トルコやヨルダンからシリアの反政府軍へ流れているという。さらに、イギリスなどのヨーロッパ諸国からも武器が渡っている可能性がある。反政府軍側は兵器の供給を強く求める発言をしているが、欧米はすでに武器を供与している。体制転覆プロジェクトが予定通りに進まず、武器が不足しているのだろう。

 アメリカの共和党政権がサウジアラビアやイスラエルと手を組んだのは1980年代。イランへの武器密輸、ニカラグアの反革命ゲリラ支援、そしてアフガニスタンの反政府/ソ連軍ゲリラ支援で手を組んだのである。2000年代の半ばになると、この3者はイランやシリアに対する秘密工作を始める。

 しかし、1980年代にはイラクのサダム・フセイン政権をどう扱うかで意見は対立していた。アメリカのジョージ・H・W・ブッシュやジェームズ・ベイカーたちはフセインを湾岸産油国の守護神と考えていたのに対し、イスラエルのリクードやアメリカのネオコン(親イスラエル派)は排除すべき敵とみなしていたのである。

 この対立はネオコンが勝ったようで、ブッシュ・シリアが大統領に就任した頃、国防総省はネオコンの影響力が大きくなっている。ソ連が消滅した1991年にはイランやシリアを攻撃する計画をペンタゴンは持っていた。1992年には軍事力で「唯一の超大国体制」を築くという戦略をDPGで描こうとしている。

 このDPGは草案の段階でリークされ、批判が殺到して書き直されたが、ネオコン系シンクタンクPNACが2000年に公表した報告書『アメリカ国防の再構築』に反映されることになった。

 こうしたネオコン/イスラエルのビジョンを具体化させる切っ掛けが2001年9月11日の出来事。航空機がニューヨークの世界貿易センターにそびえる超高層ビルに突入、国防総省の本部庁舎が攻撃されのである。その6週間後にネオコンが主導権を握るジョージ・W・ブッシュ政権は、イラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃する計画を作成した。

 2011年3月にシリアで体制転覆を目指す勢力が政府軍と戦争を開始するが、その頃からトルコにある米空軍インシルリク基地では反政府軍の兵士が訓練を受け、教官はアメリカの情報機関員や特殊部隊員、あるいはイギリスとフランスの特殊部隊員が務めていたと言われている。体制転覆を狙う武装集団の背景はリビアと基本的に同じということだ。

 戦闘が一進一退を続ける中、昨年からヨルダンで反政府軍が訓練を受けるようになったと伝えられている。3月8日付けのガーディアン紙は、アメリカだけでなくイギリスやフランスの教官が訓練していると伝えているが、昨年12月にもアメリカとイギリスがヨルダンで反シリア政府軍を訓練していると報道されている。反シリア反政府軍の主力は湾岸産油国に雇われた傭兵で、アル・カイダとつながっている。

 リビアの体制転覆プロジェクトで地上軍の主力だったLIFGは2007年11月からアル・カイダの加盟組織。ムアンマル・アル・カダフィ体制が倒された後、アル・カイダが軍の兵器庫から武器を手に入れてシリアへ移動、マークを消したNATOの輸送機もリビアからトルコの基地まで武器を運び、反シリア政府軍に渡されたとも伝えられている。

 アメリカ(ネオコン)、イスラエル、そしてサウジアラビアは1980年代から協力関係にあるが、これまでは武器や傭兵の供給はサウジアラビアやカタールが担当、アメリカ、イギリス、フランスなどは直接、軍事的な支援をしていないように演出してきた。

 ところが、ここにきてイギリスなどは露骨に軍事的な支援を口にするようになったいる。マリやアルジェリアへ戦闘員が移動しているという話もあり、体制転覆プロジェクトがきしみはじめているのかもしれない。





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最終更新日  2013.03.10 00:48:04



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