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シリアの要衝、ラッカ近くでダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を攻撃していたシリア政府軍のSu-22戦闘機をアメリカ主導軍のF/A-18E戦闘機が撃墜した。これはシリア軍とアメリカ軍、双方から発表されている。
アメリカやイギリスはヨルダンに拠点を築き、シリア政府の承認をえないまま特殊部隊をシリア南部、バグダッドとダマスカスを結ぶ幹線が通るアル・タンフへ侵入させ、拠点を構えた。そこで「新ダーイッシュ」を訓練、デリゾールへ送り込もうとしている。 シリアとイラクとを結ぶ幹線を復活させることはダーイッシュやアル・カイダ系武装勢力と戦う上で重要。そこでその道を国境へ向かっていたシリア政府軍をアメリカ主導軍は5月18日、6月6日、そして6月8日に攻撃している。シリアとイラクとの間にもアメリカの傀儡勢力が支配する地域を作りたのだろう。アメリカ軍はそこへHIMARS(高機動ロケット砲システム)を持ち込み、シリア政府軍を攻撃する能力を高めている。 現在、サラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を主力とするダーイッシュやアル・カイダ系武装勢力は兵力をデリゾールに集結させている。イラクのモスルやラッカから移動しているのだが、アメリカ主導軍はデリゾールへ向かう部隊を攻撃していない。 ラッカで会議を開いていたダーイッシュの幹部たちをロシア軍は5月28日に空爆、出席していた約30名を殺害、その中にダーイッシュを率いているとされるアブ・バクル・アル・バグダディが含まれていた可能性があるとロシア国防省は発表している。 バグダディは現場の責任者にすぎないものの、ダーイッシュやアル・カイダ系武装勢力の間に動揺が広がったとも伝えられている。そうした動揺を抑えるためにもアメリカ軍の強さを誇示する必要があったのかもしれない。 アメリカ軍の情報機関DIAの局長だった当時からサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を主力とする武装勢力への支援に反対していたマイケル・フリンはドナルド・トランプ政権で国家安全保障補佐官に就任したが、2月13日に辞任させられ、その後のトランプ政権はバラク・オバマやヒラリー・クリントンと同じような政策を推進しはじめている。 2015年9月30日にロシア軍が空爆を始めてからそうした武装勢力は支配地域を縮小させられ、体勢を立て直さざるをえなくなった。その一環として今年3月、アメリカ軍はヘリコプターを使い、イラクのモスルやシリアのデリゾールからダーイッシュの指揮官たちを救出、その後にダーイッシュはラッカに集結していた。アメリカ軍がクルド軍とラッカへ到着すると、ダーイッシュはシリア政府軍が制圧しているデリゾールへ向かい始めたわけで、これはアメリカ側の作戦だと考えるべきだろう。 ダーイッシュにしろ、アル・カイダ系武装勢力にしろ、その実態はアメリカ、サウジアラビア、イスラエルを中心とする勢力の傭兵にすぎないことは公然の秘密。シリアの場合、この三国同盟にアメリカ、フランス、トルコ、カタールなどが加わっていたが、ここにきてカタールやトルコが離れた。この2カ国が離脱したことからムスリム同胞団も侵略作戦から離れ始めている可能性がある。 本ブログでは何度か書いていることだが、アメリカにはシリア、トルコ、イラン、イラクを含む地域にクルドの国(クルディスタン)を作るというプランがある。シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒して傀儡国家を作るという当初の計画が破綻した今、そのプランに切り替えている可能性が高い。 イラクのクルドは以前からイスラエルの傀儡として有名で、クルディスタン全体をアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの属国にしたいのだろう。サウジアラビアはヨルダンやアラブ首長国連邦と一緒に、独立を支援する代償としてクルディスタンに自分たちの軍事基地を作らせるようKRG(クルディスタン地域政府)に求めている。イラン、イラク、シリアを分断し、いつでも侵略できる態勢を整えたいというネオコン臭の強いことを考えているように見える。 追加 イランの革命防衛隊は同国内での破壊活動への報復だとして、デリゾールに集結しているダーイッシュをミサイルで攻撃したと伝えられている。アメリカがクルディスタンの建国へ動いたとするならば、イランも侵略されることになるので、そうしたことも影響しているかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.06.19 16:32:24
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