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ドイツ駐在アメリカ大使を6月1日まで務めていたリチャード・グレネルは、ドナルド・トランプ大統領がドイツから駐留アメリカ軍のうち約9700名を削減するように命令したことを確認、さらにシリア、アフガニスタン、イラク、韓国、日本からもアメリカ兵を引き上げる意向だと語ったという。 これまでもトランプ大統領はシリアからアメリカ軍を撤退させると発言、議員だけでなく閣内からの反発を受けてきた。2018年12月に大統領がアメリカ軍をシリアから撤退させると発表した際にはジェームズ・マティス国防長官が辞任、ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官とマイク・ポンペオ国務長官は中東を訪問し、シリアからアメリカ軍を撤退させるとしたトランプ大統領の発言を否定すると同時にその発言を肯定するというアクロバティックなことを行っている。シリア特使を務めていたジェームズ・ジェフリーも大統領と対立、結局、撤退計画は立ち消えになった。 ユーラシア大陸の周辺部を支配し、そこから内陸部を締め上げ、最終的には中国やロシアを支配するという長期戦略をアメリカの支配者は今でも維持、その包囲網の東端に日本列島はある。明治維新、日本人は東アジアを侵略するための傭兵になり、列島は侵略の拠点になった。 ユーラシア大陸の内陸部を周辺から締め上げるという戦略をジョージ・ケナンの封じ込め政策やズビグネフ・ブレジンスキーのグランド・チェスボードも基盤にしている。 この戦略をまとめ、1904年に公表したのが地政学の父とも呼ばれている地理学者のハルフォード・マッキンダーだが、制海権を握っていたイギリスはその前からそうした戦略に基づいて動いていた。それをアメリカの支配者は引き継いだわけだ。 こうした支配者たちはロシアを制圧すれば世界の覇者になれると考えていたが、1991年12月にソ連が消滅してロシアは西側巨大資本の属国になった。そうした巨大資本の手先として活動、巨万の富を築いた人びとがいわゆるオリガルヒだ。 この段階でネオコンなどはアメリカが唯一の超大国になったと考え、中国をはじめとする潜在的ライバルを潰しつつ、権力の基盤になるエネルギー資源の支配に乗り出す。そのプランが国防総省のDPG草案という形で1992年2月に作成された。 その戦略のベースを考えたのは国防総省内部のシンクタンクONA(ネット評価室)で室長を務めていたアンドリュー・マーシャル、執筆の中心は国防次官だったネオコンのポール・ウォルフォウィッツ。そこでこのプランはウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、1991年にウォルフォウィッツはイラク、イラン、シリアを殲滅すると口にしたという。(ココやココ)イラクのサダム・フセイン体制を倒して親イスラエル体制を築いてシリアとイランを分断、その上でシリアとイランを倒すという計画をネオコンは1980年代に考えていた。 ところが、ジョージ・H・W・ブッシュたちはフセインをペルシャ湾岸の産油国を守る防波堤と認識していた。そこでネオコンと対立することになり、スキャンダルの暴露合戦が始まったわけである。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、NATOはヨーロッパを支配するために米英の支配者が1949年に作り上げた組織。その母体になったのは1948年に作られたACUE(ヨーロッパ連合に関するアメリカ委員会)だ。その中にはイギリスのウィンストン・チャーチルやアメリカのアレン・ダレスたちがいた。 NATO加盟国には破壊活動を目的とする秘密部隊が存在していることも本ブログでも指摘してきた。イタリアのグラディオが有名だが、フランスのOASもNATOの秘密部隊ネットワークにつながっていた。 その一部が1962年にシャルル・ド・ゴール大統領の暗殺を試みて失敗、ド・ゴールは1966年にフランス軍をNATOの軍事機構から離脱させ、SHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出している。フランスで大統領暗殺未遂事件があった翌年、アメリカではジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された。 ケネディ暗殺ではニューオリンズの地方検事だったジム・ギャリソンが1969年に実業家のクレイ・ショーを逮捕、起訴している。ショーはサントロ・モンディアール・コメルシアールやパーミンデックスの理事を務めていた。 サントロの理事会メンバーには、イタリア最後の王を出したサボイ家のグティエレス・ディ・スパダフォロ、かつてイタリア王一族の弁護士を務めたカルロ・ダメリオ、追放されたハンガリーのフェレンク・ナジ元首相らが含まれていた。 また、パーミンデックスはアルジェリアの独立に反対する軍人グループへ資金を供給していたとイタリアでは報道されている。そのグループとはOASにほかならない。イタリア政府もサントロとパーミンデックスを危険な存在だと認識、1962年に両社は国外へ追放している。(Jim Garrison, “On The Trail Of The Assassins”, Sheridan Square Press, 1988) トランプ大統領の本心は不明だが、ドイツ、シリア、アフガニスタン、イラク、韓国、日本などに駐留しているアメリカ兵を減らすという主張はアメリカやイギリスの支配者層を刺激する可能性がある。脅しの可能性もあるだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.06.14 20:47:13
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