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《櫻井ジャーナル》

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2021.04.21
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 ジョー・バイデン政権が好戦的な政策を打ち出すことはその陣容から予想されていた。その影響がウクライナでも現れている。

 NATO加盟国の軍艦が3月10日にウクライナのオデッサへ入港しているが、その頃、キエフ政府は大規模なウクライナ軍の部隊をウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)やクリミアの近くへ移動させた。

 3月14日には少なくとも2機のC-17A輸送機がトルコからウクライナへ空輸、トルコ軍兵士150名もウクライナへ入った。トルコが提供した物資の中に含まれていたドローン(無人機)はキエフのクーデター体制への屈服を拒否したドンバスやクリミアの上空を飛んでいるようだ。

 アメリカ空軍は4月に入ると1週間の間に少なくとも3度、物資を空輸していると伝えられた。ドイツのラムシュタイン空軍基地からC-130輸送機とC-17輸送機がキエフへ飛来したほか、アメリカからリビウへC-17、そしてポーランドのポズナンからイギリスのBae 146-200がキエフへそれぞれ来ているという。

 4月5日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はカタールを訪問、そのカタールの空軍は5機の輸送機を使い、トルコを経由でウクライナへ物資を運んでいると伝えられている。

 4月6日と7日にはNATO軍事委員会委員長のスチュアート・ピーチ英空軍大将がウクライナを訪問、9日にアメリカは「モントルー条約」に従い、トルコ政府へ自国の軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まるとると通告した。これを受けてロシア国防省は「演習」のため、1隻のフリゲート艦と2隻のコルベット艦を黒海へ入れると発表した。

 4月10日にゼレンスキーはトルコを訪れてレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談、その直後にトルコの情報機関は「ジハード傭兵」を集め始めた。トルコはそうした傭兵をシリアのイドリブで使っているが、そこからウクライナへ移動する戦闘員も出てくるだろう。

 ロシアの国防大臣はアメリカ/NATO軍がロシアトの国境沿いに4万人の部隊を配置していると指摘、それに対抗してロシア軍は2方面軍と3空挺師団を西側の国境近くへ移動させたと説明しているが、このロシア軍の移動をアメリカ国務省のネッド・プライス報道官は記者会見で「挑発行為」だと主張している。

 4月13日にロシアのセルゲイ・リャブコフ外務副大臣はアメリカ政府に対し、クリミアや黒海のロシア領側へ近づかない方が身のためだと警告、その日にバイデンはウラジミル・プーチン露大統領と電話で会談した。その会談でバイデンは差し向かいで会談することを提案したようだが、ジェーク・サリバン国家安全保障補佐官は4月18日、両大統領は「適切な環境の中で会う」と述べている。約束を取り付けられなかったのだろう。

 その後、米艦船の黒海入りはキャンセルされ、イギリスの駆逐艦とフリゲート艦が今年5月に黒海へ入ると発表された。その間、イギリスの基地からF-15戦闘機が20機、ドイツの基地からF-16戦闘機が4機、それぞれポーランドの基地へ飛来している。

 ロシア側は黒海艦隊の艦船20隻以上が空軍や防空軍と共同で軍事演習を実施し、バイデン政権の恫喝に対抗する姿勢を示した。ドンバスやクリミアで戦闘が始まる可能性はあるが、そうした展開になった場合、ロシア軍は反撃すると考えなければならない。すでにバイデンは「ルビコンを渡った」のであり、それをロシア政府は認識している。ネオコンは「脅せば屈する」という手法で少なからぬ国を屈服させてきたが、ロシア、中国、イランは屈しない。






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最終更新日  2021.04.21 02:32:47



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