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アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスの5カ国は1月3日、核戦争の回避に関する共同声明(アメリカ、ロシア)を発表した。核戦争に勝者はないという言い古されたことが書かれているが、この声明の意味は5カ国、特にアメリカがこの声明に加わったということにあるだろう。 世界の覇者となるため、アメリカはさまざまな手段を講じて恫喝を続けてきた。その矛先はロシアや中国にも向けられたが、両国は脅しに屈しない。しかも2015年以降、ロシアと中国は「戦略的同盟国」。その両国に対し、アメリカは経済面から攻撃するだけでなく軍事的な恫喝を続けている。屈しない相手を屈服させようとしてアメリカは恫喝をエスカレート、ウクライナと東アジアにおける軍事的な緊張が高まってきた。 現在、ロシアの西側の防衛ラインは1941年6月にドイツが「バルバロッサ作戦」を始める直前とほぼ同じ位置にある。これはロシアの「レッドライン」でもあるが、アメリカ/NATOはそのラインを踏み越え、ウクライナへ入ろうとしている。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務局長はロシアが何を言おうと、ウクライナを加盟させるという意思を示し、NATO諸国はウクライナ軍を訓練、アドバイスを与え、軍事物資や技術を提供していると12月16日に宣言した。それだけでなくウクライナをNATOへ加盟させ、ミサイルをロシアとの国境近くに配備しようとしている。 このレッドラインを踏み越えるなとロシアのウラジミル・プーチン政権は言っている。プーチン大統領は12月15日に中国の習近平国家主席とバーチャル会議を開いて1時間14分にわたって話し合い、その2日後にロシア政府は文書を公表する。 その文書が求めているのは、NATOがこれ以上拡大させず、モスクワを攻撃するシステムをロシアの隣国に配備せず、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わず、NATOの艦船や航空機はロシアへ近づかず、定期的な軍同士の話し合いを実施、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないといったことを保証する文書を作成すること。アメリカ/NATOに対するプーチン政権の立場は明確で、「戦争は避けたいが、戦争したいなら受けて立つ」ということだ。 それに対し、EUの外務安全保障政策上級代表を務めるジョセップ・ボレルは自分たちの行うことにロシアは口をはさむなと発言している。つまりNATOを東へ拡大、ロシアとの国境近くにミサイルを配備するのも自分たちの勝手だというわけだ。 しかし、戦争になればヨーロッパは滅ぶ。ふたつの世界大戦の「成功体験」を思い出し、大西洋の反対側に位置しているアメリカは大丈夫だと考えている人もいるが、現在、ロシアや中国が保有している兵器を考えれば、アメリカも滅ぶ可能性が高い。「核戦争に勝者はない」ということだ。 ロシアはアメリカと1月10日に、またNATOと1月12日にウクライナ情勢などについて話し合うと伝えられている。1月に予定されているロシアとアメリカの首脳会談について、ロシア政府はNATOが安全保障上の保証をロシア側へ提出することが先だという姿勢を見せていた。そうした中、今回の共同声明は出てきた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.01.04 12:50:03
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