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《櫻井ジャーナル》

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2023.03.06
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 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権は西側から高性能兵器の供給を受けてきた。アメリカのHIMARS(高機動ロケット砲システム)、イギリスのM270 MLRS(M270多連装ロケットシステム)、フランスのカエサル155mm自走榴弾砲などだが、ここにきてNATO加盟国の主力戦車、あるいはアメリカのF-16戦闘機などを要求してきた。

 そうした要求を正当化するため、​ゼレンスキー大統領はウクライナが敗北するとロシア軍はNATO加盟国へ軍事侵攻すると主張​している。そうなるとアメリカは自国の息子や娘を戦場へ送り込み、戦わせなければならず、戦死することになるというわけだ。

 ウクライナを戦乱に巻き込んだのはアメリカにほかならない。2010年の大統領選挙で東部と南部を支持基盤とするビクトル・ヤヌコビッチが勝利、それを嫌ったバラク・オバマ政権がクーデタを計画、13年11月から実行に移し、NATOの訓練を受けたネオ・ナチが途中から前面に出てくる。そして2014年4月にヤヌコビッチは排除された。ヤヌコビッチを支持した人びとはクーデターを拒否、クリミアの住民はロシアの保護下に入り、ドンバスでは内戦が始まる。オデッサではクーデターに抵抗した住民がネオ・ナチの集団に虐殺されている。

 軍や治安機関にもネオ・ナチ体制を許するメンバーは存在、ドンバスの反クーデター軍へ合流したと言われている。そうしたこともあり、ドンバスでの戦闘は当初、反クーデター軍が優勢だった。そこでドイツやフランスが仲介するかたちで成立したのがミンスク合意だが、キエフのクーデター政権は守らなかった。

 それどころか、この合意が時間稼ぎにすぎなかったことを​アンゲラ・メルケル元独首相​は昨年12月7日にツァイトのインタビューで認めている。その直後に​フランソワ・オランド元仏大統領​はメルケルの発言を事実だと語っている。1インチたりともNATOを東へ拡大させないという約束が嘘だったように、ミンスク合意も嘘だった。









 アメリカ/NATOは8年かけてキエフ体制の軍事力を増強し、ウォロディミル・ゼレンスキー政権は2022年1月に入ると部隊をドンバスの近くに集中させ、砲撃を激化させていく。3月にドンバスへの軍事侵攻を開始、ロシア語系住民を一掃する予定だったとする情報や文書がある。

 その直前、2月21日にウラジミル・プーチン露大統領はドンバスの独立を承認、2月24日にウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃しはじめた。部隊がドンバス周辺に集まっていたこともあり、短期間にキエフ政権側は大きなダメージを受ける。そして停戦交渉が始まった。

 その交渉を仲介したのはイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットだ。​そのベネットをインタビューした5時間近い映像が2月4日に公開された​。話し合いで双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうだった。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はNATOへの加盟を諦めるとしたようだ。

 2022年3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけた。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。​ウクライナの治安機関SBUがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺したのはその3月5日だ​。

 4月に入ると西側の有力メディアはロシア軍がブチャで住民を虐殺したと宣伝し始める。マクサー・テクノロジーズなる会社から提供された写真を持ち出し、3月19日に死体が路上に存在していたと主張しているが、疑問が噴出した。

 そうした中、​4月9日にボリス・ジョンソン英首相はキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令​。4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。

 ​ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官とサマンサ・パワーUSAID長官は今年2月23日にCNNタウン・ホールでスピーチ​、その中でサリバンは「ロシアはすでに(ウクライナでの)戦争で負けている」と主張、パワーはウクライナでの戦争をアメリカとロシアによるもので、アメリカが支持されていると語っている。

 言うまでもなくサリバンの主張は嘘で、ウクライナでの戦闘でロシア軍が勝っていることは確実。ゼレンスキー政権は崩壊しつつある。ウクライナを舞台にした戦争でアメリカが支持されているわけではなく、この点、パワーの主張も正しくないが、アメリカとロシアの戦争だと言うことは事実だ。

 平和の到来は戦争を推進してきたネオコンやその黒幕にとって悪夢にほかならない。そうした時代が訪れるということは彼らの支配システムが崩壊することを意味し、これまでに彼らが犯した行為が問題になるはずだ。すでに​ネオコンは台湾を利用して東アジアに火をつけようとしている​。そうなると、日本も巻き込まれるだろう。アメリカの下院議長だったナンシー・ペロシの台湾とウクライナへの訪問を偶然と考えるべきではない。






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最終更新日  2023.03.06 00:24:33



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