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アメリカのフィラデルフィアを拠点にするFIRE(個人の権利と表現財団)は9月6日、言論の自由に関する248大学のランキングを発表した。 トップはミシガン工科大学、最下位はハーバード大学、247位は同じアイビー・リーグのペンシルベニア大学だ。「名門校」とされるサウス・カロライナ大学が246位、ジョージタウン大学が245位、ノースウェスタン大学が242位、ダートマス・カレッジが240位、テキサス大学オースティンが239位。エリートを輩出する大学が下位に並んでいる。 アイビー・リーグに含まれる大学は初年度の学費が約6万ドルだとされている。出世の道が開かれているこうした私立大学へ入るためには多額の授業料を支払う資産とコネが必要だ。資産とコネがあれば相当愚かな人物でも入学が認められる。日本でも学費が高騰しているが、その比ではない。 そうした大学へ入るためには有名な進学校へ通う必要があるのだが、そうした学校の授業料も日本で想像できないほど高い。トルーマン・カポーティは『叶えられた祈り』の中でウォール街で働いているディック・アンダーソンなる人物に次のようなことを言わせている。 「二人の息子を金のかかるエクセター校に入れたらなんだってやらなきゃならん!」(トルーマン・カポーティ著、川本三郎訳、『叶えられた祈り』、新潮文庫)「ペニスを売り歩く」ようなことをしなければならないというのだ。アメリカの中では高い給料を得ているはずのウォール街で働く人でも教育の負担は重い。低所得層の子どもは教育を受ける権利を奪われているのが実態だ。 大学へは入れても授業料を支払うことが困難な学生は少なくない。少し前から話題になっているのは「シュガー・ベイビー」なるシステム。女子大学生(シュガー・ベイビー)と富裕な男性(シュガー・ダディー)を引き合わせ、「デート」のお膳立てをするというビジネス。売春の斡旋と見られても仕方がないだろう。現代版のクルチザンヌだと言う人もいる。 体を売らなければ大学へ通えないという状況はアメリカ以外の国でも問題になっている。例えば2012年11月イギリスのインディペンデント紙は学費を稼ぐための「思慮深い交際」を紹介するビジネスの存在を明らかにした。日本では「援助交際」と表現されている行為だ。 こうした状況を改善するためには法律面からの働きかけも必要になるが、そうした問題に取り組むような弁護士が出てきにくいシステムに変えられている。司法試験を受けるまでに多額の資金が必要になり、試験に受かっても司法修習生に対する給付制が廃止になって新人弁護士の多くは借金まみれ。カネになる仕事、カネを出せる人物や組織の仕事を弁護士になってからせざるを得ない。 学資ローンを利用すると卒業時に多額の借金を抱えることになり、その借金を返済するためには高収入の仕事、つまり富裕層のために働かなければならない。その仕事を失えば破産だ。医師や弁護士が権力者の不正に沈黙する理由のひとつはここにある。奨学金を得るには富裕層への従属が認められなければならない。 高等教育を受けようとすれば債務奴隷にならざるをえず、その結果としてアメリカでは教育水準が低下、日本もその後を追っている。かなり前から日本でも技術系学生のレベルが落ち、企業は中国やインドの学生に目をつけているという声を聞く。こうした西側の状況を反面教師にしたのか、中国やロシアではアメリカ方式の教育システムから離脱、成功したという。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.09.18 00:00:08
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