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セバストポリのロシア海軍基地に対する攻撃で使われた兵器はイギリスとフランスが共同で開発した空中発射型ステルス長距離ミサイル「スカルプ(イギリス版の名称はストーム・シャドウ)」のようだが、地上攻撃用に改造された相当数のS-200も発射されていたようだ。 9月13日の攻撃では潜水艦が損傷を受け、穴の空いた船体の写真がインターネット上を流れた。修復不能だとコメントする「専門家」もいたが、船体に変形がないことから損傷は表面的で修復は容易だと指摘されている。その損傷が軽微だったことから、命中したミサイルは450キログラムの爆薬を搭載したスカルプでなく小型ミサイルだと見られている。 9月22日にはセバストポリの「司令部」にミサイルが命中したが、ウクライナでロシア軍が戦闘を始めた段階でその「司令部」に常駐している人間は保守要員と警備員だけになったとされている。指揮、統制、通信、コンピュータに関する部門は全てZKP(予備司令部)の地下へ移動したのだ。 こうした攻撃は窮地に陥っているジョー・バイデン政権の戦争推進グループとウクライナ政府の宣伝に使われているだけで、軍事的な意味はほとんどないだろう。むしろ問題は射程300キロメートル、最大マッハ3のATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)にある。ATACMSはMLRS(多連装ロケットシステム)とHIMARS(高機動砲兵ロケットシステム)から発射できる。 アントニー・ブリンケン国務長官は9月10日、ABCニュースのインタビューの中で、この兵器を近いうちにウクライナへ引き渡すと発言、しかも目標の決定はウクライナが決めることだとした。この兵器でウクライナ軍がロシア領深くを攻撃することを容認しているということだ。ジョー・バイデン大統領もウクライナ側へそのように伝えたという。 すでにNATOはロシアとの国境近くにISR(情報、監視、偵察)のネットワークを構築、それらやP-8やRC-135、あるいはRQ-4Bのような無人機などとATACMSをリンクさせてロシアを攻撃する体制ができている。 ロシア外務省は昨年9月15日、ウクライナへのATACMS引き渡しは「レッドライン」を越す行為であり、ワシントンを「紛争の当事者」にするとアメリカ政府に警告している。ロシア軍の補給線やロシア領の奥に住む人びとを攻撃できるからだ。 ATACMSがウクライナへ供給された場合、ロシア軍はNATOのISRを破壊せざるをえない。もしロシア政府が戦闘のエスカレートを恐れて逡巡した場合、ウラジミル・プーチン政権は厳しい状況に陥る可能性が大きい。 一方、来年の大統領選挙で敗北すると予測されているジョー・バイデン政権は何らかのショッキングな事態を作り出そうとしているだろう。パンデミックで選挙どころではないという状況を作る可能性もあるが、今の様子を見ていると、ロシア軍にNATO加盟国を攻撃させようとしている。 戦争を推進してきたネオコンは核戦争で人類が死滅する道を選ぶか、ウクライナでの敗北を認めて自分たちが破滅するかという選択を迫られている。彼らはすでに「ルビコン」を渡ってしまったのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.09.26 00:00:07
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