|
テーマ:韓国!(16971)
カテゴリ:映画
2年に1度開催の
アジアンクィア映画祭/AQFFで 『鍾路の奇跡』ソ・ジュンムン監督の短編『REC』。 (AQFFセレクション ソ・ジュンムンプログラム) 付き合って5周年のゲイ・カップルが モテルでアニバーサリーを祝う。 ヘテロなカップル同様、 すねたり、からかったり 5年を振り返ったり シリアスな想いになったり... 30歳の兄貴ヨンジュン(ソン・サムドン)が 今日の記念にビデオを撮ろうというところから始まる。 最初は嫌がる26歳の恋人ジュンソク(チョ・ヘフン)だが やがてジュンソク(愛称でジュンと呼ばれている)もカメラを手に お互いを撮影していく。 (以下映画の核心に触れる部分もございます) エンド・クレジットにも記載がありましたが... 主演俳優ふたりともがビデオ・カメラを手に撮影も担当。 上映後のQ&Aによると せまいホテルでの撮影ゆえ ゲイとしての演技に加えて 撮影まで担当となったそう。 演技と撮影の二役はなかなかハードだったことでしょう。 ソウルにいるソン・サムドンと地方のチョ・ヘフンは遠距離だったため 撮影前は毎日朝9時から夕方6時くらいまで Nateのメッセンジャーをつかって練習、リハーサルをしていたとか。 一夜の話、 夜から朝まで、 ホテルでの一室の話で室内劇のようだが 感情の起伏がよくとらえられていて ふつうのカップルの話でありながらドラマチックだった。 ヨンジュンは恋人をジュンと呼びながらも 時折ふざけて 「ファン・ジョンミンさん!」 「ベテラン俳優のファン・ジョンミン!」と呼ぶのがおもしろかった。 (アドリブかどうか気になる! 英語字幕ではブラッド・ピットになっていた) たしかにチョ・ヘフンはファン・ジョンミンに少し似ている...笑顔が。 ジュンソクはそれを聴くと不満気で不機嫌にもなるが... カップルだけが知るあだ名で呼ぶのも 5年という歳月を感じさせる。 ヘテロもゲイも変わらないカップルの風景。 ![]() Q&Aにて。左がファン・ジョンミン若旦那!なチョ・へフン、 右は『昼間から呑む』でおなじみソン・サムドン。 LGBTな映画はそれほど多く観ていないので(たぶん20本位!?)あまり比較できないのだが... ラブシーンは 特に態勢がヘテロとさして変わらないアングルで 目から鱗。 ここでもヘテロもゲイも変わらない風景が感じられた。 別れのシーンはカラーからモノクロームに変わり 静謐さを伴って印象的。 ふたりのアニバーサリーを収めたビデオカメラからは すでにテープが抜かれているが...(ヨンジュンが持って去った) ジュンソクはとっさにビデオカメラをつかんでホテルのベランダに出て 恋人の姿を追う。 せつない。 それは撮影するためではないかもしれない。 恋人の最後の姿を網膜に焼き付けるためのようだった。 せつない... デジカメやケータイカメラでもするけれど ビデオカメラのズームで遠く小さく見える恋人を 拡大して見たのだろう、撮影はできないかもしれないから...と考えながら見ていた。 (最近のビデオカメラはSDカードなど入っていなくても 内蔵HDで撮影は出来るけれど...旧型のビデオカメラにも見えた) 以前『鍾路の奇跡』Reviewでも書いていたけれど... ソウルでは梨泰院や鍾路3街あたりがゲイが集まる街として知られている。 ベランダから 朝まだき 目覚めぬ鍾路を俯瞰する映像も 피에타の『피에타』で鳥瞰される鍾路とはまた別の匂いがした。 ジュンソクはきっとこの光景を忘れることがないだろう... と伝わり、わかってしまうのがせつない。 一方ヨンジュンはバスでどんどん鍾路から遠ざかって行く。 乗車して二つ目の停留所名が 「結婚式場」と告げられてどきっとした。 今日が結婚式ではないよね、まさかこのまま結婚式場には行かないよね... と考えながら見ていたら 下車せず バスはどんどん走って行き さらにジュンソクから遠くなっていっただけだった。 同性愛婚が認められている国はまだまだ少数だし ゲイへの理解も浸透しているとはいい難い韓国社会では やはり別れの理由は適齢期になった時の結婚なのだろう。 『2度の結婚式と1度の葬式』もそうだった。 アニバーサリーのピロートーク、 たわいない会話の中でジュンソクが言った 「結婚がふたりを別つ」が的中してしまったのだ。 最後の思い出の海のシーンは再びカラーになり 幸せだった時を映し出す。 モノクロのシーンではそれぞれ別のところにいて それぞれべつの風景を視ているけれど 最後にふたりの脳裏にはきっと同時に あの時の幸せな海辺でのシーンが思い浮かんでいるのだろうと 思わせる。 ひとりはホテルに残されて ひとりはバスで走り去って でも頭の中はいっしょ、おなじことを考えているはずと... 別れても残る思いや記憶。 それは その思いは 次に上映された同じく短編、老いたゲイ・カップルの話『蛍の光』にもつながっていくようだった。 (製作年、ではなく『鍾路の奇跡』でも書いた通り、 ライフステージとしてつながる...) 韓国のクィア映画は 遡るとどこまでかしらと考えて... 『馬鹿たちの行進』等のハ・ギルジョン/河吉鍾監督の『花粉』(1972)もそうかも... 2009年の釜山国際映画祭 映画の考古学で観てはいたけれど(書いていない)... to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2024 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jul 23, 2023 09:43:04 PM
[映画] カテゴリの最新記事
|
|