12年前の今日・・・
あいかわらず寒い日が続いていますね。12年前の今日・・・あの日も寒い日でした。私の部屋には一台の古いカメラが置いてあります。ミノルタHI-MATIC7 posted by (C)こりりんミノルタHI-MATIC7デジカメでもなければ、オートフォーカス機能もない古いカメラ。でも発売されたときは最先端をいくカメラだったのでしょう。残念ながら今は壊れているようです。実はこのカメラ、父の愛機でした。父はとにかく写真が好きで、私が小さい頃からこのカメラで写真を撮ってもらい、私が中学生頃になると「ちょっと撮ってみろ!!」と、このカメラの使い方を教えてもらい写真を撮ったこともあります。当時の私には絞りや露出なんて言葉は「?」で、出来上がった写真を父が見て「これはダメだ」「これはブレている」「これはまだ良い」なんて評価されてたっけ(笑)残念ながら今はこのカメラの主はいません。12年前の今日は父が60歳で浄土へ旅立った日・・・命日です。亡くなる9年前に大腸がんが発覚。手術をしたのですが既に多くの転移が確認されてました。当時私は20代前半。何をどうしていいのか全くわからず、オカンと弟と途方に暮れました。なのに、そんな私達を励ましてくれたのは病気の父本人でした。その後9年間、癌と闘い、幾度も「手術」と「再発」を繰り返し、最後の入院から9ヵ月後の2000年1月29日、静かに旅立ちました。実は当時、父が亡くなった時・・・・・・正直、嬉しかった。「何をいってるんだ!!」「信じられない!!親不孝者!!」なんて声が聞こえてきそうですね(苦笑)でも「嬉しかった」というのは本当です。やっとこれで父が痛くて苦しい思いをしなくて済むんですから。やっとこれで父が夢にまで見た我が家へ帰れるんですから。当時、オカンも同じ気持ちだったそうです。「私はあのとき、何故あんな気持ちだったんやろね。ひどい嫁やわ」なんて今でも話してます。でも父も同じ気持ちだったのかもしれません。父は静かに目と口をを閉じて、病院を後にしたのですが、我が家へ帰って安置したところ、父は亡くなっているはずなのに、わずかに目と口を開けニッコリと微笑んでいました。・・・やはり我が家に戻れたのは嬉しかったんでしょうね。そんな父を見て、弟が「兄貴、親父に酒を注いであげようよ。」と、お酒と脱脂綿をキッチンから用意。二人で少しずつお酒を脱脂綿につけ、父の口につけてあげました。そして気がつくと、親戚や父の兄弟たちが集まってて、みんなで父の口にお酒を運んであげてたっけ・・・「おいおい、そんなにお酒を注いだら、親父さん酔っ払っちゃうよ」なんて笑いながら・・・きっと、みんなも父の帰りを喜んでくれたのでしょうね。あれから12年かぁ・・・オカンも先程お仏壇に向かってお経を唱えてました。私も父の好きなお酒をお供えして、そして今「ミノルタHI-MATIC7」を手にとり、ファインダーをのぞいてます。