福岡太宰府市 観世音寺は兜跋毘沙門天で決まりです
5月1日福岡2011年05月01日太宰府天満宮の手前の駅で下車。てくてく歩いていると、ウマノアシガタが一面に咲く野原が。なんだか懐かしい風景。春そのものです。その向こうに見える建物が目指す観世音寺宝蔵。清水山 観世音寺住所:福岡県太宰府市観世音寺五丁目6番1号アクセス:西鉄五条駅下車 徒歩10分参道観世音寺は九州を代表する古寺です。その古さは奈良の東大寺を、少々抜くといってよいでしょう。天智天皇が母斉明天皇を弔うために発願したもので、創建当初は大伽藍でした。遠く離れた九州までも天皇の力をしらしめる目的もあったのではないでしょうか。観世音寺 本堂 そこかしこに往時をしのばせる遺構がみうけられます。五重塔心礎 国宝 梵鐘この梵鐘は京都妙心寺、奈良當麻寺の梵鐘とならんで日本最古の梵鐘といわれています。マムは妙心寺も當麻寺にもいきましたが、ハテ、梵鐘は・・・?覚えてない。正直いって梵鐘にはあまり興味がないのですな~。今のところはね。ゴメンナサイ本堂の左手には立派な藤棚があり、甘やかな香りを放っています。っなことより、花よりお仏像!目指すはひとつ。宝蔵です。宝蔵観世音寺といえば、九州のお仏像の宝庫としてお仏像好きには有名です。特にこちらの像高5メートルの馬頭観音さんはスターです。そのほかにもやはり像高5メートルの大きなお仏像さんが2体おいでですし、大黒天さんも有名です。大げさに大げさにいえば、東大寺法華堂の九州版みたいなもんでしょうかっ。閑古鳥が鳴くお店の店番みたいな納所さんにご朱印をお願いしてひんやりとしたコンクリート造りの階段を軽快にかけ上ります。階段の途中から右手にお仏像さんの頭がニョキニョキあらわれます。中央に大きな観音さまが牙をむいて吠えておいでです。(のような感じ)ほら、頭にお馬さんのお顔が。木造馬頭観音立 平安後期馬頭さんは悪と徹底的に戦う観音さまです。だからこわ~いお顔。その両隣りには木造不空羂索観音さんに十一面観音さん。このお三方はいずれも5メートル以上のお姿です。木造不空羂索観音立像 鎌倉時代 木造十一面観音立像 藤原後期とってもたおやかなお顔に体つき。この観世音寺宝蔵の「売り」は多分馬頭さんと、お次に登場の大黒さんだと思うのです。木造大黒天立像 平安時代え゛っ!?これが大黒さんと思われる方がほとんどでしょうけど、こちらが本来の大黒さんです。私たちがイメージするおっとりにこやかな戎顔の大黒さんはこ後世に伝えられた七福神さんのおひと方です。こちらの大黒さんは日本三大大黒天のおひと方といわれています。もうおひと方が奈良の松尾寺の大黒様です。松尾寺 大黒天ところが面白いことに、この観世音寺・松尾寺の大黒さんを「日本三大」と記すのにあとの「おひと方は不明」と、どれを調べても書かれているのが笑えます。だったら三大っていわなければいいのにねえ。 笑「日本二大大黒天といわれている」では間が抜けてますかあ???唐風 狛犬館内には大きな換気扇がまわる音がゥヲンゥヲン響きます。さて、マムが本当に感動したのは、ここからですっ。館内の20体のお仏像さまはどのかたも重文です。ナルホドナルホドとお会いしぐるりと回って階段の登り口正面に戻って、びっくり。兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)さんだ!兜跋毘沙門天は四天王のうちの北方を守る多聞天のことです。上杉謙信が守護神としてうやまい本陣旗印に「毘」をもちいたことは有名です。この兜跋毘沙門天には伝説があります。これは、1200年以上も昔、中国の西域地方のある都市(城)が、他国の民族に攻められ、囲まれてしまいました。もう終わりか!と思われたその時です。ゴ-ゴゴ-ッというすごい地響きと共に地面が、激しく揺れだしました。そして地母神が戦いの神,毘沙門天を掌にのせ、メキメキッと音をたてて地面を割って姿を現したのです。これに驚いた敵は、逃げていきました。それ以来、唐の国では、この時の毘沙門天の姿を守護神(しゅごしん)として、まつるようになりました。これが日本に伝わり、羅城門の楼にはこの毘沙門天が祀られ都を守ったといわれています。現在この毘沙門天は東寺の宝物館に安置されています。北方を守る神ということからこの兜跋毘沙門天は東北地方に多く見られます。それが九州においでとはっ。木造兜跋毘沙門天立像 平安時代足もとをよくごらんください。女神さまがなんと支えておいでなのです。まさに地母神(ちぼしん)です。その女神の、背後右に尼藍婆(にらんば)、左に毘藍婆(びらんば)がかくれるようにしています。面白いお像でしょ。私たちがよくお見かけするお像は、邪鬼を踏みしだいているのですが、女神様の手に支えられておいでなんですよ。雲形の台座も流麗でよしっ。いや~、ホントいいですねえ。あな楽しや!見仏を終え、帰京して兜跋毘沙門天を調べたところ、東寺像や成島毘沙門堂像と並んで、日本に残る兜跋毘沙門天像中三本の指の一つだそうです。日本三大兜跋毘沙門天像のひとつだったわけです。兜跋毘沙門天の伝説も物語性が強くていいですし、女神が支えているという形状の視覚性のすばらしさ!見れば見るほど、調べれば調べるほど、知れば知るほど、もっと入り込んでいきたくなってしまいます。期せずして素晴らしいお像を拝観できて、今も胸がワサワサとしています。この、観世音寺の売りは間違いなく兜跋毘沙門天さんです。寺紋 五三の桐*東寺宝物館兜跋毘沙門天立像*成島毘沙門堂・江刺市 藤里毘沙門堂太宰府市 マンホール