|
カテゴリ:本
タイル(柳美里)
2006年3月8日読了。芥川受賞後の第一作。 倒錯し落ちていく男の長編物語。 都会の乾いたそして危くて脆い死角みたいなものを描きたいのは分るのだが、それでどうしてこの男がこう狂気に走ったかは不明。 どういう理由があろうとも性犯罪や殺人は普通の人間の中に潜む狂気なのだろうか?とにかく釈然としないまま読み進んで行きやがて終わってしまう格好。 それにしてもどこかに居そうな人達は出てくるがその人たちを誇張気味に書いてあったり。 これを読むと東京に希望はないのでは、と思うに至る。誰もがどこかにストレスを抱えていてその持って行き場がないまさに砂漠のようなところのような気がする。 同じ都会でもNYCの方が皆やりたい事やってちょっとづつ発散している分、爆発が少ないような気がする。 日本文化のひずみがこのような環境を生むのかもしれない。そう言った意味ではもう日本は限界なのでは? 受験地獄から始まり夢のないサラリーマン生活。仕事に対する意欲のなさや昇進や将来の生活に対する夢のなさ。 やっぱりアメリカンドリームとまでは行かなくてもなんか夢があるほうが良いのでは? 氏の作品は結構読んでいるが芥川賞直後でショッキングに行って下さいとか編集者に頼まれたのでは、と思うほど過激にしようとしているのが見える内容。 結果的に分けが分らない、という感想になってしまう。主人公の心の過去だとかもっと下地が欲しかった。 お勧め度:5 C猫の書評集はこちら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 12, 2006 04:51:48 AM
コメント(0) | コメントを書く
[本] カテゴリの最新記事
|
|