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カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。
10月9日、盛岡競馬場で『第30回マイルチャンピオンシップ南部杯JpnI』が行われました。 ★曇り空基調で雨が降った時もありましたが気温が高めで暑いくらいの一日 優勝はコパノリッキー。昨年に続いての連覇達成となりました。 ★南部杯優勝/コパノリッキー 2着に7番人気ノボバカラ、3着に5番人気キングズガードが入った事で三連複・三連単のみならず馬複・馬単も万馬券。3連単は12万5590円にもなりました。7年前、2010年にオーロマイスターが勝った時の131万円にはさすがに及ばなかったものの、南部杯史上2番目の高配当の決着でした。 ★7番人気で2着、波乱の立役者となったノボバカラ ★5番人気3着のキングズガードも波乱の片棒を担いだ事になるか 今年のレースにはいくつかのポイントがあったと思いますが、一番大きかったのはベストウォーリアの動きが精彩を欠いた事ではないでしょうか。 ★ベストウォーリア 序盤から中盤あたりまではノボバカラとウインフルブルームが後続を2、3馬身離して逃げている格好で一見“前の2頭が懸命に先行争いをしている”形だったわけですが、ノボバカラの1000m通過が59秒7ですから全くスローなんですよね。 コパノリッキーに至っては1000m通過が1分00秒3。昨年の同馬の1000m通過は58秒3、一昨年のベストウォーリアのそれは58秒1。今年は超スローだったと言ってもいい。 そうなると後続が35秒台の脚で追い上げようが届かないし、逃げたノボバカラが35秒8と上位陣の中ではやや“歩いて”しまっても粘りこめるわけです。 上位陣の上がりはコパノリッキーが34秒6、これは自身最速です。ノボバカラの35秒8は芝を除けば2位タイ。キングズガードの35秒1は自身最速タイ。ゴールドドリームの34秒4も自身最速ですね。カフジテイクは35秒1で、34秒台を連発していた最近の中では遅い方になるのですが、自身のキャリアの中では決して遅い方ではありません。 先行した馬たちですら軒並み自身最速級の上がりの脚を繰り出してくる・・・ということはそれだけ序盤がスローで楽な展開だったということですよね。 加えて言うと、グレード級の馬にとっては簡単かもしれない「1000m通過1分ほど+上がり35秒台」も地方勢にとっては簡単ではない。一昨年のようなハイペースになってJRA勢が上がり38秒台後半でバタバタするような展開にならないとね・・・。 ★カフジテイクも決して脚を使ってないわけではないのだが ★ゴールドドリームはスタートで大きく出遅れてしまった ゴールドドリームの出遅れも影響したかもしれませんがそれは織り込んでおくべき要素といえる部分。ベストウォーリアの動きがやや鈍かった事、3年前のJBCクラシックでは結果力尽きたとはいえ最後までコパノリッキーに馬体を併せようと食い下がったこの馬が今回は動ききれなかった事がスローの流れをスローのままに留めてしまったのではないかと感じます。 しかしとはいってもコパノリッキーについて「スローだから楽に勝てた」と言うつもりは全くありません。先に書いたように上がりは自身の過去最速を叩き出していますし、走破タイム1分34秒9にしても昨年の1分33秒5にこそ及びませんが、その前のレコードである1分34秒8(2010年南部杯のオーロマイスター)にはわずか0.1秒差。さらにその前のレコード、これは1998年のメイセイオペラですが、その南部杯での勝ちタイム1分35秒1は軽く破っています。 中間いち頓挫あってレース間隔が開き、当日の馬体重も前走比+10kgとなっていてパドックで見た身のこなしは決して良いとは思えなかった。それでもこれだけの走りができるのですからねえ。 レースの中にしたって、ベストウォーリアが動かなかったというだけではなく、コパノリッキーがすんなり好位置を確保してなお脚色が良かったからこそライバル達が「動けなかった」のでしょう。素晴らしい走りだったと言う他はありません。おめでとうございました。 さて、この10月9日の一日の発売金額は10億9663万5100円となり、昨年同日の8億3839万2800円を大きく上回りました。南部杯単体では9億1385万9700円で昨年の6億4113万5800円を上回りましたが、これで分かる通り1日あたりの差はほぼ南部杯の増加分です。 ★ゆるキャラ集結 ★「ぽっ」ポーズをしてくださった超大物の皆様 1日あたり・レース単体共に南部杯の日としては恐らく過去最高なのは喜ばしい限り。 ただ、増分のほとんどが南部杯によるとなると、もし南部杯の売上げがはかばかしくなければ全体も大きく下げる可能性があるわけで、諸手を挙げて良かったと言うには早いのかもしれません。 実のところ、今季ここまでの岩手競馬の1日平均売得金額は南関4場・兵庫・北海道・名古屋に次ぐ8位に留まっています。9位は高知、以下金沢、笠松、佐賀、ばんえい(地全協発表データによる)。 岩手競馬はこの先、季節的な要因で売得金額が伸びない時期になりますから、場合によっては平地競馬場で一番下になってしまう可能性も決して小さくない。 だから「岩手競馬はダメだ」と言いたいのではありません。岩手ももっと伸ばせる余地があるはずだ、と言いたいのです。今年の南部杯の日がそうだったように伸びる余地はある。1日平均で3億円に届くポテンシャルだってあるはずです。今年の南部杯を励みにして来年はもっと上を目指しましょう。そしてそのための環境整備は、抜かりなく進めてほしいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年10月12日 21時59分18秒
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