皆さん、いかがお過ごしですか?こちらは昨日から雨です。今日も雨です。おまけに当直です(泣)気分がブルーになります・・・。でも、↑日記才人をみたらアクセスが20ぐらいありました。嬉しい(^^)
さて、医師という職業には守秘義務という守るべき決まりがあります。意外に思われるかもしれませんが、守秘義務規定は医師法ではなく、刑法によって定められています。刑法第134条には『医師,薬剤師,薬種商,産婆,弁護士,弁護人,公証人又ハ此等ノ職ニ在リシ者故ナク其業務上取扱ヒタルコトニ付キ知得タル人ノ秘密ヲ漏泄シタルトキハ六月以下ノ懲役又ハ百円以下ノ罰金ニ処ス』と規定されており、今時100円以下の罰金なんてあるのかしらん?と思いながらも個人の秘密を知る機会の多い職業であることは確かです。しかし刑法上の秘密漏泄罪は被害者による親告罪ですから,被害者の訴えによってはじめて罪を論ずることになります。ここでいう秘密とは、患者さんが秘密にしておきたいことであって,医師や医療関係者の価値判断によるものではない、ということです。
前置きが長くなりましたが、この職業をしているとどうしてもぶつかるのが告知という場面です。いろんな検査をして病気が分かった場合(もちろん分からない場合も多いのですが)、患者さん本人にはそれを知る権利があります。良性疾患ならまだしも、やはり問題となるのが悪性疾患です。『悪性=死』ととらえる高齢者は多く、実際に日本人の死因のトップは『がん」です。医療の発展とともに診断技術、治療技術は昔とは比べものにならないほど進んでいるとは思うのですが、この肝心な本人への説明、という点ではあまり進歩していないようです。告知は本人だけではなく、家族をも巻き込む一大事ですので慎重に事を運ぶべきとは思うのですが、告知しないまま怪訝そうな顔つきで僕を見ていた患者さんが亡くなったときなど心の中で『ごめんなさい』と謝るしかありませんでした。もちろん、告知すればすべてがうまくいくかというとそうでもなく、告知したことで家人から『どうして告知したんだ、訴えるぞ!!』と詰め寄られるシーンもあったりで、一概にどちらがいいかはいえません。若輩なりに数をこなしてきた告知ですが、この経験で得られたことは『告知にはタイミングがあり、御本人が望むようにするのが一番』だということです。内科疾患というのは調べていくと実は悪性だったということが少なからずありますのでトラブルになる率が高いのです。ですから最近は診察前に『もし悪性疾患であった場合、知りたいですか?』と一言聞いておくようにしています。中には『知らずに死にたい』とおっしゃる方もあり、その場合はご家族のみに告知したりしています。果たしてこれでいいのかどうか分かりませんが、患者さん主体の医療というのは本当に難しいものと痛感しています。告知についてはまだいろいろ書きたいことがあるのですが、また後日(^^;;