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ある内科医の独り言

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2003.09.25
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こんにちは。一雨ごとに寒くなる気配ですが、週末はまた多少暑くなるそう。お体にはご留意を。

今日もまた難しそうな話をば。

さて、日常的に診療に従事しているといろんな患者さんがやってくるのは周知の通りです。僕は普通に保険が適応される公立病院に勤めているので、当然のことながら診療は保険の範囲内となります。もしあなたが病気にかかった場合、保険に加入しておられる方なら2割や3割の自己負担分を支払うことと思います。診療内容が同じであれば全国どこでも「自分の財布から」支払う額はほぼ同じとなります。同じアイスクリームでもA店とB店で値段が違うなどということはなく、実に公平なルールで運営されています。国民皆保険制度が導入された背景には奇跡的な高度成長や様々な社会要請などが背景にあったことは既知の事実ですが、世界的に見ても非常に珍しい制度となっています。かつてクリントン政権が国民皆保険制度を導入して断念してしまったことも記憶に新しいことです。

さて実際の診療において、保険範囲分は保険で充当し範囲外は自費を用いることを混合診療と呼びますが、この混合診療行為自体は(おそらく)禁止されてはいません。良く言われる「混合診療の禁止」とは健康保険範囲の診療とそうでない診療が同時に行われたとき、「範囲外の診療に関する費用を患者さんに負担させてはいけない」ということです。もし、患者さんから費用を別途徴収した場合はその疾病に関する一連の費用は初診にまでさかのぼり全額患者さんが負担する「自由診療」となります。例外としての高度医療や差額ベッド代などはありますが、このような大原則で運営されています。医療は公平かつ公正であるべき、とは思いますが実際にはこのようなきれいごとだけでは済まされないのも事実です。

少し具体的な話をしましょう。

僕は何でも内科ですが、主に消化器系をメインとしていますので肝臓癌の患者さんも見ることが多くなります。B・C型肝炎ウイルスなどでおこる原発性肝臓癌以外にも大腸癌などから発生する転移性肝癌など、肝臓にできる悪性腫瘍は後を絶ちません。固形癌(目に見える形のある癌)なら、外科的切除が最善の選択であることは今も昔も同じですが外科的切除には患者さん本人の体力や癌の大きさ・個数など手術適応の限界があり、全ての患者さんで切除できるというわけではありません。手術できなければどうするか。手術せずに治すしかありません。肝臓癌の場合には血管塞栓術、エタノール注入療法、マイクロ波凝固療法、リザーバによる動注療法(腫瘍血管に対して直接抗癌剤を送り込む方法)などが挙げられると思います。最近になりラジオ波凝固療法(RFA)なるものが出現し、にわかに脚光を浴びています。腫瘍さえ捉えられれば好成績が期待できる方法ですが、残念ながら現時点では公的保険の適応はありません。なにしろ診療に使う針が1本10万円近くもします。もちろん原則として使い捨てです。不確実な治療を何度も繰り返すよりは、確実な治療を行いたいと思うのは医療現場だけではありません。患者さん自身がなによりもそう思っているはずです。

・・・長くなりそうなので今日はこの辺で。続きは明日にでも(^^;;







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最終更新日  2003.09.25 11:38:57
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