|
カテゴリ:読書感想
30代OLを奥田英朗が書くってことは負け犬の話?と思いきや、そんなイタイものではなく、未婚既婚入り混じった30代の仕事をがんばるOL達の短編集でした。
まあ、ぶっちゃけ、作中の女性達と似たり寄ったりの世代なわけで、じゃあ共感したかと問われれば別にそうでもなく。 だって、みんな高給取なんだもん(笑) 買う前に、いろんなサイト様で感想を拾い読みしてたんですが、皆さん共感できるという声が大多数。え?そうなの?そんなにみんな高給取なの? いやまあ、男性社員との軋轢やらマンション購入の葛藤やらなにやら、その辺はものすごく共感はできたんですが、もうちょい安月給だったり、派遣だったりという境遇の女性もからめて欲しかったなあ。一流企業で高給取ってそれだけで羨ましすぎるんだよ、コンチクショー!ってか、一人暮しで月16万円の家賃だなんて、広島じゃあ考えられねーよ! という田舎者かつ貧乏人のひがみはさておき、下手にドロドロと書かれてたら、それはそれで真剣にブルーな気持ちになるに違いないので、これくらいの爽やかさがちょうどいいんだろうと思います。いや、マジで。 ポイントはキャリアウーマンではなくキャリアガール。そう、あくまでガール。いつまでもガールであり続けたい、そんなお話。 相変わらず、奥田氏は小説がうまいなあ。 以下、短編ごと感想 【ヒロくん】 まだまだ世の中は男性社会。という訳で、管理職についた女性の奮闘記。 私は、はっきり言って男女不平等主義者なので、お茶くみとコピーで給料もらえるなら御の字っすよ~♪でへへへへ、というふざけた新入社員だったわけですが、うちの会社は進歩的だったらしく、随分がっかりさせられました(笑) おかげで、一人で出張に行かされるわ(←当たり前)、一人で会議に出席させられるわ(←当たり前)、一人で謝りに行かされるわ(←当たり前)、さんざんです。 主人公は自分より年上の男性社員が部下に付いたことでいろいろやりにくい思いをした挙句、なんだかんだで怒りを爆発させてしまうわけですが、ラストはちょっと上手くいきすぎじゃないかなあ。社会に出てつくづく思うんですが、ダメな人はとことんダメだし、話の通じない人はとことん通じないです。理解のある上司というのは、もう、人生のパートナー以上に出会いが難しかったりするし。そこら辺、ラストで両方ともクリアしてしまうのが、羨ましいじゃなくって、できすぎな気がするぞ。 あ、タイトルのヒロくんについて全然書いてない。ま、いーか。 【マンション】 社会人になってすぐ、大学時代の友人と喋ってるときに、マンションの頭金をためてるって言われて、心底あせったことを思い出しました。 いつまでも気楽に世の中を渡っていきたいと思いつつも、自分と同じような境遇で将来をまじめに考えてる人が身近にいたりすると、ものすごく焦ります。自分にも身に覚えのある感情なだけに、哀しいかな、主人公の焦りにものすごく共感してしまったり。 【ガール】 この短編のテーマより,年齢にふさわしい格好をするべきか否か,そっちの方がかなり気になりました。っていうか,年齢相応の格好ってのがよく分からん。 自分が好きならいいじゃん!と思うんだけどなあ。友達にピンクハウス好きがいて、正直アイタタタ・・・と思ってたはずが、今じゃ自分も着てみたいです。 ただし、勇気があれば(笑) 【ワーキング・マザー】 子育てを全面に押し出されるとうっとうしいですが、ちっちゃなお子さんがいるにも関わらず、夜遅くまで残業してる女性がいると、余計なお世話だとは自覚しつつ、かなり心配です。男の人にはそんな心配したりしないのにねえ。っていうか、こんな皆して子持ちママに親切な会社ってホントにあるの? 【ひと回り】 西にイケメンの新入社員がいると聞けばひやかしにいき、東にめっさ美人の新人社員がいると聞けば覗きにいく。さすがに他部署の社員にのめりこんだりはしないですが、いざそれが自分の部下になっちゃったりしたら、こんな感じなのかしらん、と思わずぞっとしてみたり(笑) 感想を読ませていただいた素敵サイト様はこちら →今日何読んだ?どうだった?? IN MY BOOK by ゆうき ナナメモ 「女流作家」の楽しみ方! でこぽんの読書日記 ひまさえあれば 日々のあぶく "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書感想] カテゴリの最新記事
一人暮しで月16万円の家賃は大阪でも無理です。(^^;
これは東京の1部の女性だけでしょうね。 しかしながら、女性で管理職。 年上の部下を持つなんて、ただのオンナの私としてはそれだけでスカッとしました。(ゆ、歪んでるのか?) 奥田さんの描くガールが私たちか弱き(?)女性の代わりに頑張ってくれたようです。 (2006年05月31日 00時34分32秒)
☆すぅ☆さん、こんにちは♪
TB返していただいてサンキュウです!☆(≧▽≦)☆ 女性で管理職・・・・・・課長とか係長とか、職名で呼ばれる自分は想像できません(笑) 奥田さんには、この先、各世代の女性たちをじゃんじゃん書いてもらいたいですねえ。 (2006年05月31日 07時37分47秒)
1人暮らしで家賃16万はないですよー。
恐らく超一流企業の人だけでしょう。 ちなみにオイラが1人暮らししていた時は6.5万 1K収納なしで友達が遊びに来た時、 「俺はどこにねるんだ~?」って聞いたくらいの 狭さでした(笑) 奥田氏が書いた本ですからねぇ。絶対面白いはず。 次は何を読もうかなっと。 (2006年05月31日 21時42分53秒)
田中まさん、こんにちは♪
>1人暮らしで家賃16万はないですよー。 あ、やっぱりそうなんですか。ということは、大阪も東京も無理っと・・・・・・メモメモ。 それにしても、さすが奥田氏、読んでも読んでもハズレがない。 直木賞とったせいか、本屋で特集とか組まれてて、他の作品も気になって仕方ないです。 あー、もう読みたい本ばっかりでキリがないですよ・・・!(←嬉しい悲鳴?) (2006年05月31日 23時19分43秒)
ああ、『マドンナ』とこっちとどっちを買おうかと迷ったのでしたわ。びんぼーだから結局文庫の方にしたという(笑)。
そういえば私も30歳の頃、マンション買おうかなと思ってましたな。娘の結婚をあきらめていない母に強硬に反対されて挫折しましたが。 それにしてもピンクハウス、まだあるんだ!びっくり。サイト覗いて随分色遣いが大人しくなっていてまたまたびっくり(笑)。 (2006年06月01日 01時45分05秒)
なかさん☆さん、こんにちは♪
古本屋さんになかったら、絶対文庫になるまで買ってなかったです。←貧乏人。 奥田さんも全作読みたいなあ、と思ってる作家さんの一人です。ただ、うまいだけに、暗いのはすごい落ち込みそうだからとりあえずパスかなあ。 マンションは、チラシを見ると想像っていうか、妄想が膨らみます。でも、先立つものがないんだな(笑) (2006年06月01日 23時06分11秒)
TBありがとうございましたm(_ _)m
確かに、上流の匂いもする小説ですが、読後感が良くて爽快でした。 (2006年06月04日 10時13分31秒)
kiyu25さん、こちらこそコメントありがとうございました☆(≧▽≦)☆
確かに、読後感は爽快でしたねえ。 ちょっと別世界な感じもなきにしもあらずでしたが(笑) 何だかんだ言っても奥田さんの小説は面白いっす♪ (2006年06月04日 17時25分12秒) |