7月3日の日記
実質医師1人で診療所を開業した当時、在宅療養支援診療所開始前夜で、訪問診療だ
けで開業するという発想がなかった。また有床診療所であった当院の空室を活用する
には当時外来小児科学会の先生方が進めていた「病児保育」として利用するのはどう
かと考えた。儲けようという発想もない。今では「一般外来研修」で東京、千葉から
年間5~6名の研修医が来るようになった。つまり僕の経営は行き当たりばったりで、
今にきている。1人診療所での経営は外来数の限界と1人の単価も知れており、大きな
収益にはならず、多くの人員にはなれない。また周辺の開業事情、人口構成の変化に
左右され不確実に満ちている。かかりつけ医制度も未知数で、突然のパンデミックも
経験した。そんな時にある方から「エフェクチュエ―ション」という経営哲学を教え
てもらった。なるほどなと思った。後10数年こんな風に生きていくのかな。
以下エフェクチュエ―ションの原則の要約。
手中の鳥の原則:手段からスタートする
将来の目標達成のために手段を入手するではなく、「今」、自分たちがすでに持って
いる「手段」(物、人脈、知識や技術など)でできることはないかを考える。
許容可能な損失の原則:最初に失敗してもいい範囲を決める
成果を出すことよりも、どこまでの損失であれば許容できるのかを決めて、それを上
回らないように行動する。
クレージーキルトの原則:積極的にパートナーシップを組むことで、良い結果を
紡ぎ出す。たまたま相談した相手が思わぬ知識・技術や人脈を持っていて、さらに別
の方法、人、モノ、につないでくれる場合がある。
レモネードの原則:問題や偶然を避けるのではなく、チャンスに変える。レモ
ネードの原則は「すっぱいレモンをつかまされたら、レモネードを作れ」というアメ
リカの格言に由来する。予期せぬ事態や問題をテコに何かできないか(レモネードを
作れないか)を考えようという原則。
飛行機のパイロットの原則:不確実なものより、コントロール可能なものに集中
する。まだ得られていない結果に焦点をあてるのではなく、今、コントロールできる
ことに集中し、それがうまくいくように気を配ること。