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環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

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2008年07月31日
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カテゴリ:経済

 前回の記事から20日も間が空いてしまった。書くことがないわけではないが、この間に2回も東北へ出かけたほか近県への出張も相次いで留守がちになり、またその分、和歌山にいるときは仕事が詰まって時間がなかったことが理由のひとつ。でもって、自宅でインターネットに接続する部屋にはクーラーがなく、盛夏はサウナ並みの炎熱地獄と化すことがもうひとつの理由だ。(^^;)

 ともあれ、これだけ長期間、書かないでいると、次に書くタイミングがとりにくいのだが、まあ気を取り直して時事関係の雑文から再開。昨日、ジュネーブで開かれていたWTO(世界貿易機関)閣僚会合が、土壇場で決裂した。

 前日までは、現状でさえ青息吐息の日本農業にさらなる大打撃を確実に与えるラミー事務局長の最終調停案について、合意「破壊者」の汚名を着せられたくない日本政府が丸呑みの意向を固めたと伝えられ、現地入りして交渉の経緯を見守っていたJA全中代表団が席を蹴って怒りの中途帰国をする騒ぎになっていた。

 例によって、米国など農産物輸出国側の大攻勢に押されまくった挙げ句、工業製品輸出で利益を得る代償に国内農業を「泣く泣く」人身御供に差し出す図だったのだが(これまでに同じシナリオの芝居を何度見せられてきたことか)、結果としては日本の事情などとは全然関係なく、インドと中国が米国のゴリ押しに非妥協的に抵抗して、最終合意をあっさり粉砕してしまった。沖縄のサトウキビ農家などラミー調停で壊滅の危機に瀕した日本農業は、自国の政府ではなく中国やインドの政府に救われたことになる。

 まあ、世界の大半の国々が参加しているのだから、抜けるというわけにはいかないだろうが、「自由貿易がサイコー!」という米国発の一元的価値観で凝り固まるWTOは本当に厄介な存在だ。実のところ、世界をひとつの市場にするグローバリゼーションが「サイコー!」なのは貿易を支配して富を独占できる一部多国籍企業だけで、その富を搾り取られる側には貧困と飢えしか分配されない。

 というわけで、もう数年前になるが、近畿農政局(京都)主催で開かれた農政懇談会に和歌山県代表として出席したコジロー、日本農業を守り自給率を上げるため「脱退も辞さずの姿勢で食料主権を認めるようWTO協定改定を働きかけよ」と提案したのだが、これに対し同席していたどこかの大学教授から「そんなことして日本が三流国になってもいいのか?」と大声で噛みつかれたことを思い出す。その後、激しい応酬となったのを農政局のお役人が取りなしてくれたのだが、「三流国」には恐れ入った。産業界サイドのガクシキ経験者って、マジでこんな差別的発想で世界を睥睨(へいげい)してんだなあ…  でもって、「三流」はそのアナクロ教授に冠すべき尊称ではないかと思ったことだった。

 それはさておき、今回のWTO閣僚会合はドーハラウンドといって、2001年11月に中東カタールのドーハで始まった交渉の一環だ。その当時、もちろん世界に相変わらず飢餓はあったが食料は基本的にダブついており、輸出国側はその消化に躍起になっていた。だがいま、気候変動やバイオエタノールとの競合により世界の食糧需給は逼迫、食料生産国による禁輸措置も相次ぎ、食料を求めての暴動すら発生している。食料をめぐる環境は明らかに変わったのだ。貿易による金儲けに目がくらみ自給力を損なう国の人々は将来、飢餓の淵に張った薄氷の上で暮らすことを余儀なくされるだろう。

 日本政府は自給率を高めることを公約しながら、米国の圧力に屈して国内農業をさらに疲弊させる合意を受け入れるところだった。政策的に支離滅裂というか、口でブレーキと叫びながらアクセルを踏むようなものではないか。今回はひょんなことで九死に一生を得たが、ラミー調停案はまだ生きている。日本政府が姿勢を変えなければ、危機は再びやってくるに違いない。

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最終更新日  2008年07月31日 17時44分14秒
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