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 緑と地球を愛する一市民です。大切な問題(自然環境や教育環境)について一緒に考えていきたいと思います。

1、自然環境については『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(洋泉社)やアル・ゴア氏の『不都合な真実』に関するイギリスの高等法院の判決など、争点になりそうな問題を私なりに「勉強」してまとめています。

2、社会環境・教育環境について「子どもたちや教職員、そして生活者のすべてが元気になるような方向」を探っていきたいと考えています。
 ただ、「ワーキングプア問題」や「派遣社員の雇い止め」に象徴されるように大人社会が「生存権」さえまともに保障されていない中、「教育環境も深刻な崩壊の危機」にさらされているのではないかと危惧しています。

〔この危惧が現実のものであることはHHKスペシャル「しのびよる貧困 子どもを救えるか」
http://plaza.rakuten.co.jp/shchan3/diary/200910110000/ でも放映されました。〕

 
 一人ひとりが幸せに生活していけるような「社会環境」を目指しつつ、当面できることや実践的なことも含めて発信したいと思います。

 HP “しょう”のページはこちら  http://www.geocities.jp/shchan_3/
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2024.02.21
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カテゴリ:歴史

以前から私は、日清戦争明確に反対した勝海舟日清戦争はるか以前江華島事件台湾出兵時点においても東アジアへの高圧的な政策一貫して反対高く評価してきました。

そして、松浦玲勝海舟筑摩書房を重要な資料としつつ、日清戦争の授業実践にも活かしてきました。

私が知る限り、勝海舟というのは日清戦争に明確に反対した「唯一の著名人」です。日露戦争であれば、それに反対した幸徳秋水、堺利彦、内村鑑三などは日本史の教科書にも明記されていますね。ただ、以前から腑に落ちなかったのは内村鑑三の態度でした。 

彼は、日清戦争時点では戦争に賛成していたらしいがなぜだろうか。「キリスト教の人道主義の立場」からの非戦・反戦であれば、日清戦争に賛成する理由はないだろう。また、日清戦争に賛成、日露戦争に反対、という彼の態度が「キリスト教の人道主義」だけで説明できないとすれば、明確に非戦・反戦の立場にいたった決定的な要因は何なのか? 

数か月前に読んだ『日本精神史 近代篇』(長谷川宏著)の第五章を読んで、「初めて腑に落ちた」、という感覚が得られました。関連する部分を引用することで理由を提示したいと思います。

  ​

〔以下、引用〕

この時期(日清戦争勃発の時期:引用者)、ナショナリズムの嵐はそれほど強く、日本を席巻していたということだろうが、席巻のさまを伺うもう一つの事例として、明治の特異なキリスト者内村鑑三の『日清戦争の義』と題する論文がある。

〔内村1〕「吾人(われわれ日本人が)朝鮮政治に干渉するは、彼女(朝鮮のこと)の独立いまや危殆(きたい)に迫りたればなり。世界の最大退歩国(中国のこと)が・・・彼女を抱懐し、文明の光輝すでに彼女の門前に達するにも関せず、・・・なお彼女を支配すればなり。・・・日本の勝利は東洋六億人の自由政治、自由宗教、自由教育、自由商業を意味し・・・。」

福沢の場合(「日清の戦争は文野の戦争なり」)もそうだったが、内村のこの文でも日本が文明、自由、進歩の側にあり、中国が惨虐妄行(野蛮)、蟠屈(不自由)、退歩の側にあることはいささかも疑われていない。・・・

 日清戦争の始まるころに「日清戦争の義」を書いて日本の出兵を義戦として肯定した内村は、戦争の終わるころには日本の義に疑いを抱き、以後、一貫して戦争の非を説き続け、日露戦争においても・・・戦争否定の態度を貫いた。

〔内村2「余が非戦論者となりし由来(三)」:由来の一が新約聖書の研究、

由来の二が争闘を自制して心の平安を得たという個人的な体験〕

わたしをして非戦論者とならしめた第三の動力は、過去十年間の世界歴史であります。日清戦争の結果は、私につくづくと戦争の害あって利のないことを教えました。その目的たる朝鮮の独立は返って危うくせられ、戦勝国たる日本の道徳は非常に腐敗し、敵国を征服しても『足尾銅山(鉱毒事件を引き起こした:補)経営者』のごとき国内の荒乱者は少しもこれを制御することができなくなりました。これが私の見た戦争(戦勝)の結果であります。

​もしそれ、米国における米西戦争の結果を想いますれば、これよりもさらにはなはだしいものがあります。米西戦争によって米国の国是は全く一変しました。自由国の米国は、今や明白なる圧制国となりつつあります。現役兵二万で充分としてきた米国は、今や世界第一の武装国になろうと企てつつあります。そうして米国人をこの思想の変化に導いた社会の腐敗堕落というものは実に言語に堪えないほどであります。この堕落をもたらした直接なる原因はいうまでもなく米西戦争です。」​

 引用の前段では、朝鮮の独立を大義名分として日清戦争を戦った日本が、戦勝後に自ら朝鮮の独立を侵す政策を実行し、国内においても戦争のゆえにかえって道徳的な腐敗が進んでいることを指摘し、もって非戦論の論拠としている。そして後段では目をアメリカに転じ、1898年のアメリカスペイン戦争がアメリカ合衆国を自由国から圧制国と一変させ、帝国主義国家の一員としていたらしめた事実を指摘して、非戦論のもう一つの論拠としている。

戦争が、とりわけ戦争に勝つことが人々の冷静な判断力を低下させ、道徳的な腐敗を招くという観察は鋭い。そこには高揚するナショナリズムに危うさを見て取る国の枠を超えた普遍的にして公正な目が働いている。また、後段でアメリカスペイン戦争を視野のもとにおいて自由国をも惑わす戦争の魔力に警鐘を鳴らす目配りの大きさは、日本の言論会にあって、内村を独自の思想家たらしめる特質だと言えよう。 

〔引用は以上〕

上記の長い引用に多くを付け加える必要はないでしょう。内村が非戦を自らの明確な立場とするに至った理由としては、確かに(通説の通り)新約聖書の研究をとおして獲得した「キリスト教的人道主義」があったわけですが、その視線は「神の思想」だけでなく「地上の現実」にしっかりと注がれています。

「朝鮮の独立を大義名分として日清戦争を戦った日本が、戦勝後に自ら朝鮮の独立を侵す政策を実行し、国内においても戦争のゆえにかえって道徳的な腐敗が進んでいる」現実、アメリカスペイン戦争がアメリカ合衆国を自由国から圧制国と一変させ、帝国主義国家の一員としていたらしめた事実」をしっかりととらえ、それに向き合いつつ非戦の立場を明確にしているのです。 

 『日本精神史 上・下』も素晴らしい内容でしたが、このたび読み始めた『日本精神史 近代篇』、「大きくうねる時代に呼応する思想・文学・美術・文化に現れる『精神』を描く」長谷川宏の力作です。とおり一遍の「教科書的知識」を超え、「時代の勢い」「ナショナリズムの嵐」に抗する強靭な精神をも明確に跡付けており、多くの人たちに読んでいただきたいとあらためて思いました。

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Last updated  2024.02.28 20:40:14
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