昨日が仕事始めで今日はまだ新年二日目 ・・・なのですけれど、正月気分なんて初出勤後わずか10分ほどで吹っ飛び、いきなり全開モード。 まあ、暇をもてあますよりは良さそうなものですが、この自転車操業がまた一年間続くのかと思うとさすがに、「はあ、やれやれ、どこまで続くぬかるみぞ」と、思ったりもします。もう長いもんねえ・・・
といった嘆き節はおいといて、昨日の夜はコジローが所属する「紀峰山の会」の月例ミーティング。そこで配られた機関誌に連載で巻末コラムを書いていますので、それを以下に転載します。
以下『紀峰の仲間』第92号から転載
クマの毒舌コラム
地図から消える送電線・呆れた電力会社の隠蔽体質
登山に必要な道具は多いが地図はその筆頭だ。コンパスも駆使してその地図に保存されている情報を読み解く力、そしてその情報を頼りに状況を判断する力つまり読図力は、登山者に最も重要な能力と言えるだろう。
その地図で不可解なことが起きている。昭文社などの登山専用地図が充実してきたため最近は持参する機会が減ったが、クマの如き古株のヤマ屋にとり地図といえばすなわち国土地理院発行の地形図だった。ご存じの通り、国土地理院の地形図には縮尺2万5千分の1と5万分の1の2種があり、沢登りなど細かな地形の確認が必要な山行では2万5千図を、幕営縦走など長距離を歩く山行では5万図を使い、さらに山座同定専用に20万分の1地勢図をマップケースにしのばせたものだ。
その国土地理院の地図から送電線が消える。えっ?と思われた向きはすぐに確認されたいが、同院がインターネット上で提供する地図にはすでに送電線がない。といってももちろん送電線自体が撤去されたわけではない。送電線が消えたのはその所有者つまり電力会社が地図への掲載を拒否したせいだ。実のところ、持ち主が拒否すれば地図に載らないというのも初耳で相当ビックリだが、同院の話では日本全土を分割して電力供給を独占支配する10電力会社のうち1社が5万図への掲載を認めたほかは、すべて一斉に掲載を拒否したそうだ。もちろん事前に打ち合わせてのことだろう。
ちなみに掲載を拒否したのは「保安上の理由」とか。要するにテロの標的になってはマズいということらしいが、それを心配するならダイナマイト一発で水爆になる原発を隠す方が先だろう。・・・つうか、送電線にしろ原発にしろ、あんなどでかい地物が、地図に載せなければ多少なりとも隠せると思うオツムの方がどうかしてはいないか?
しかし、いくら原発ボケでもそこまでアホではあるまい。これはむしろ習性の産物なのだろう。電力会社はこれまで多くの原発事故やデータを隠してきた。原発反対世論が多数であることはヤラセで隠し、原発の発電コストやリスクは御用学者やメディアを買収して隠し、さらに自治体は正体を隠した匿名寄付で懐柔した。この隠蔽に次ぐ隠蔽と利権分配で築いた嘘八百の原発安全神話のもと、福島第一原発事故は起こるべくして起きたのだが、この期に及んですら放射能拡散データは隠され住民多数が被曝した。
紀峰の会員の多くは、紀泉アルプスでの読図演習で送電線が重要なランドマークであることを実体験しているだろう。国土地理院の地形図から送電線が消えればやがて、それを元に作られる登山地図など全ての地図からも送電線は消える。もしかしたらそれは新たな遭難の原因になるかもしれない。電力会社の隠蔽体質のせいで、登山者のみならず全ての国民が正確な地図を失うなどということがあっていいのか。
それにしても、こんな重要なことがなぜろくに報道もされないのだろう。メディアはやはり、所詮電力会社の提灯持ちに過ぎないのかと、またも暗澹たる気持ちで思う。
転載以上
・・・といった次第なのですが、みなさん、どう思われます?
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