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カテゴリ:小説 将棋指し、座頭の飛吉
~将棋指し、座頭の飛吉~2 ~先手必勝 ひらめく手筋 飛車が飛ぶ飛ぶ 江戸の町~ ~目が見えねえのにめっぽう将棋の強い子供がいるそうだ~ 飛吉は今戸の子供たちどころか、大人相手でも縁台将棋で負けることはなった。 この頃では金吉と浅草上野の方まで足を延ばして、 縁台将棋や湯屋の二階でも将棋を指したが負けることはなかった。 ~勝ち将棋如何に如何にとならして居~ どうだ、これでお主(ぬし)は何もできまい。さぁ、如何に、如何に、如何に~! 浅草広小路では大道詰将棋で名の知れた箕輪の玉将が行客相手に鴨を探していた。 一手10文で、簡単に詰むように見えるが意外な鬼手があり、簡単には詰まない絡繰りになっていて、 将棋自慢から銭を捲き上げる商いだった。 飛吉は受け手の妙を読みきって、玉を詰ませ、300文せしめた。 箕輪の玉将曰く、~神武以来の将棋の天才現れるじゃぁ~ と、群衆の前で飛吉を褒め称えた。 浅草花川戸に桂馬屋という将棋会所には、 寺の坊主、ご隠居、旗本、浪人、商店の主、番頭たちの将棋好きが集まって 将棋盤を囲っていた。 飛吉が顔を出すと、飛吉の噂はすでに聞いていたようで、 「おお、お主がめくらの将棋師飛吉か、早速わしと勝負だ、」 「まてまて、まずは桂馬屋の前頭の拙者がお相手いたす、」 めくら将棋なので、金吉が棋譜を読み上げる。 ~先手飛吉 六7歩、後手弥左衛門 四8歩、先手飛吉八7飛車~ 「うーん、飛吉どの、噂通り、振り飛車で参ったか、、」 桂馬屋で三局対戦したが、花川戸の名人といわれている呉服屋の番頭さんも 浅草将棋の親玉、浅草寺末寺の新勝寺の和尚も負かしてしまった。 最早、上野浅草近辺の将棋強者、将棋豪傑、将棋達人、歴戦の勇士もことごとく、 飛吉にはかなわなかった。 飛吉の噂が広まると、 「めくら将棋で俺様に勝てたら、鰻をご馳走しようじゃねえか、、」 「上野の名人と呼ばれている俺様だ、俺が負けたら、 米一俵差し上げよう、」と、将棋自慢の米屋の主。 呉服屋の親父は反物を、団子屋では団子を山盛り、 飛吉と金吉は江戸の町の将棋自慢から賞品までつけて対局を切望された。 町々で開かれる将棋大会にも招待され、たいていは優勝した。 この頃では飛吉のことを 飛吉将棋検校などと、煽てる者までいたのである。 つづく 朽木一空
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最終更新日
2023年09月23日 10時30分08秒
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