カテゴリ:本・絵本
先日、新村のBook OFFで買ってきた2冊は、本当に選んでよかったーって本でした。
ひとつは、筒井康隆の「富豪刑事」。 この方はもともとSF作家で、この小説で推理小説に挑戦されたのです。 だから、推理小説専門に書いてる方とはちょっと違う書き方で、とても面白かったです。 斬新でした。 たとえば、この方の場合は、ショートショートで纏め上げてて、一冊の本のなかに何個かの事件が書かれているんですが、途中の面倒くさい捜査過程とか、推理の過程とかはどんどん省いて時間も飛んでしまうし、いきなり解決の一歩手前まで行って、また種明かしで時間を戻したり。。。 いかにもSF作家さんらしい書き方で、とても良かったです。 新しい試みですよね。 そして、キャラが、刑事としてはありえそうにない、もともとが大富豪の息子なので、自腹を切って、ホテルを全部押さえたり、莫大なお金を使って、犯人の容疑者4人に大金を使わせるように仕向けたり、誘拐犯をおびき寄せるために、この富豪刑事が自腹を切って、その被害者に銀行から融資してもらえるようにしたりとか。。 国や警察ができないさまざまなスケールのでかい援助を申し出たり、アイディアを出して、一気に解決してしまいます。 読んでて痛快でした。 もう一冊は、女性作家さんです。 小池真理子の「死に向かうアダージョ」。 これは、外側にあらすじが書いてなかったため、とても気になるし、買おうかどうしようかとも迷ったのですが、結果的にとてもいい作品だなと思うので、買ってよかったと思っています。 やはり女性作家は状況の運びや、感情の表現が繊細でとてもいいです。 ある女性の生活の説明から、ある男性との出会い、その出会いが妻のいる人だったこと、いきなりその男性との心中の場面から始まりますが、そこで二人の城のようにロマンチックな演出で二人の死への旅立ちを準備していくのですが、思いも寄らぬ計画にない運びになっていき、すべてが狂って行きます。 それを通して、一人一旦脈を失っていた女主人公の千尋が、目覚め、相手の男多門が自分を心中に誘って、邪魔になって殺して逃げていったと思ってしまうのです。 その心の動きや、嘔吐、めまい、脱力、衰弱の細かい表現、それを超えて雪山の小屋の中で、必死に生きようともがく姿などが描かれています。 本当に動作の一つ一つ、薪の燃える様子、消えてしまう様子などの描写が全て細かくて、「ああ、これが本の良さだな」と思いました。 ドラマは動きも、心理描写も見て視聴者が判断しますが、本の中ではそれも全て文章化されなければどれがどのように動き、どのように感じているのかが書かれていなければ読み手にはわからないし、全てが省かれてしまいます。 その点、この女流作家はこれまで男性の作家ばかり読んでいたので、本当に細かくて、面白いなーと感じました。 最後、全てを知る過程では、結構感動的だったりします。 やはり文章で表現したり、感動を与えたりというのは、才能が無くてはできないなあと文章の難しさなどを考えさせられた作品でもありました。 まだこの本は読んでる途中なのでじっくり読んでみたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.07.21 00:18:34
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