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ヒロタカズマ

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August 30, 2008
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●社会・経済のの仕組みを変えるのは容易ならざることではあるが、現在の資本主義経済をベースとする社会・経済システムは、その非人間性や地球環境問題から抜本的改編に迫られている。
●多くの思想家や経済学者がこの社会・経済システムに対する魅力的な代替案を提示が出来ない中で、ビジネスマンであり、実務家でもあるシルビオ・ゲゼルの減価貨幣の提案と今回紹介するこのゲッツ・W・ヴェルナーのベーシック・インカムの提案は非常に魅力的である。

●ゲッツ・W・ヴェルナーは2006年現在、全ヨーロッパで約1500の店舗と21000人の従業員を要するドラッグストア・チェーン「デーエム・ドゥロゲリー・マルクト」の創業者で、ビジネスのかたわら2003年以降カールスルーエ工科大学の「企業家精神要請のための学部横断研究所」の教授職に就いているとのことである。


ベーシック・インカム
基本所得のある社会へ


●少々長くなるが、2005年11月に全国紙に掲載されたヴェルナーの広報文を掲載することにした。

未来への基礎:ベーシック・インカム

 私たちの社会は、一人でも多くの市民を社会的セーフティネットから排除しなければならないほど貧しいのだろうか? 生産性はつねの上昇しているにもかかわらず、私たちはもはやそれに気づかなくなっているのだ。高い税金と社会保険料が課される稼得労働システムによって、企業家にとって労働は高価になりすぎている。そのために、企業は合理化に努め、職場を国外に移す。失業した者は失業保険などによって一定の収入を得るが、その財源となるのは、税金と社会保険料(雇用者と被雇用者による分担)である。そうなるとみんなが損をするのである--各人が手にする所得と社会的給付はますます少なくなる。

 しかし無条件のベーシック・インカムでは、現在の社会保障システムがすべて統合されるから、このような現実を変えることが可能になる。そうなれば、誰もが、生存の心配から解放されて自由な市民として活動し、同時に自分自身にとって有意義と思われる仕事をすることができる。互酬としての労働が、社会的保障のもとで、尊厳をもって自身の選択によって実現されうる。そうなれば、オートメーションは祝福すべきものとなる。なぜなら、従来人間の手によってなされてきた労働がコンピュータ制御の自動機械に取って代わられても、それは新たな失業を意味しないからである。
 ベーシック・インカムはむしろ自由な空間をつくりだす。すなわち、多くの非営利経済部門の、文化的な課題が財政的に可能になる。多くの新たな社会参画のかたちが生まれるであろう。多くの人間が彼らの仕事のなかにふたたび意義を見出すだろう。というのも、無条件のベーシック・インカムが導入されても、さらに仕事をすることによって別途の収入を得ることは誰にも禁止されないからだ--なくなるのは、労働への強制だけである。

 市民全員に支払われる無条件のベーシック・インカムによって、透明な税制が可能になる。その基礎となるのは、私たちの税制を一歩一歩消費税の方向に編成替えすることである。その利点は、消費の少ない者の税金は少なく、消費が多ければ多いほど多額の税金を支払うことにある。市民はもはや所得申告する必要はまったくない。課税されるのは、消費に対してだけである。課税は競争中立的になり、資本はドイツ国内に流れ込むから、経済立地としてのドイツの地位は強化され、国内雇用は確保される。
 現在のドイツの7200億ユーロを超える社会保障関係費の一部は、その配分機構を廃止することによって節約できる。だがもっとも重要なのは、それによって全市民のための実行能力を持つ公共体が成立することであって、そこにはもはや「負け組」は存在しない。それに代わって、労働をもはや重荷ではなくチャンスと考える、自由で、自己決定可能な人間が存在することになろう。
 無条件のベーシック・インカムはドイツを変えるだろう。私たちといっしょにベーシック・インカムについて考えてみませんか?

発起人:ゲッツ・W・ヴェルナー
カールスルーエ工科大学教授(企業家精神要請のための学部横断研究所所属)


●この呼びかけに応じたものであるかどうかはさておき、日本でも次のようなサイト、掲示板やコミュニティ・グループがある。
ベーシックインカム要求者組合
基礎所得保障(ベーシック・インカム)を考える掲示板
MIXIのコミュニティ:べーシック・インカム

●無条件のベーシック・インカムの財源は50%の消費税率である。代わりに所得税などが全廃される。高い消費税率は年金、失業保険、健康保険、介護保険、生命保険などを不要とする。
●このような高消費税率になったらとんでもない物価高になるのではとの疑問はもっともだが、そうではない。
●そもそも、企業の様々な税負担は商品価格に転嫁されており、企業の税負担(実質的には負担していない)は最終的には消費者が負担していたのである。従って、消費税が高率になっても他の税負担が無くなれば、税金が相殺されて商品価格は変らないことになる。
●所得税や法人税などの全廃、高消費税率に基づく無条件のベーシック・インカム社会のルールは、政府(官僚機構)、企業、個人の全てにとって、全てが透明でシンプルになる。金にまつわる犯罪や悲劇も劇的に減少し、稼得労働がその基盤にあった男尊女卑も解消し、全ての人がより友愛に満ちた存在になりえる。
●所得を労働から解放することは、人間を利害打算と貧困の恐怖から解放することになる。

●ベーシック・インカムの財源の確保の方策を消費税ではなく、所得税に求める考えもある。以前紹介した『福祉社会と社会保障改革』の著者(小澤修司)は後者である。私自身は、中途半端な生活保護費に毛の生えた程度の支給額のベーシック・インカムであれば、資力調査に伴うスティグマの問題はあるかもしれないが負の所得税の方が好ましいと考えている。

■以前に書いたベーシック・インカムに関する記事
ベーシック・インカム(1)
ベーシック・インカム(2)
ベーシック・インカム(3)

●しかし、所得税などを廃止し高消費税率に財源を求めるというヴェルナー考えの方がシンプルで合理的であるように思える。

●ところで、ヴェルナーの考えは消費税以外の税金は全て廃止するということではない。例えば、環境税は自然環境の復元費用として資源や環境汚染者が負担すべきである。このようなものは消費者が最終的には負担することになるにせよ、捕捉のし易さという点では生産現場(生産者)から徴収するほうが容易な場合が多いのではないかと思う。

●無条件のベーシック・インカムは、赤子や幼児の場合には少ない支給額で良いのかもしれない。このようなことから年齢に応じて支給額に差異があっても良いのかもしれない。
●逆に、生死に関わる病の治療費や高度な設備を要する教育などの費用をベーシック・インカムで全て賄うことはできないので、ベーシック・インカムがあれば他の社会保障制度は一切必要無いということではない。人命に関わることや社会的に必要な費用は個人に負担させるべきではない。

●「働かざるもの食うべからず」という原則は野生動物にはあてはまるのかもしれないが、人間社会に適用することは間違いであり、明らかに憲法違反でもある。
●であるならば、生活保護や年金などの社会保障制度をこねくりまわすよりも、労働と所得を分離してしまうことの方が直接的であり、より目的に適っている。
●配分的公正基準には衡平(成果や貢献度合に基づく配分)、平等(均等に配分)、必要性(困窮者に優先的に配分)と呼ばれる3つの条件があるとのことである。企業では平衡条件に基づく配分でよいのかもしれないが、社会的に最も優先されるべきは必要性条件であろう。
●社会的には労働とは関係なく、ワークフェアのような条件もつけずに所得を保証するベーシック・インカムのような仕組み(負の所得税や参加所得などもこの部類に属する)に置き換える方が、必要性条件を最も反映するのではなかろうか。衡平条件や平等条件を切り捨てているわけではなく、プライオリティの問題である。
●「無条件のベーシック・インカムを支給されるようになったら怠け者がやたらに増えて社会システムが機能しなくなる」との懸念を持つ人は、人のことを心配する前に、自分の場合を先ず考えてみてはいかがであろうか……。





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最終更新日  August 30, 2008 09:33:15 PM
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