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ヒロタカズマ

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December 11, 2011
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カテゴリ:世界経済
1.ユーロ誕生の条件

●統一通貨とすることによって各国は通貨発行権を失う。
●各国の税率などについても格差がないようにする必要がある。EU域内では関税も無くなっている。
●国の自由になるのは財政政策のみとなるが、上記の条件の下での自由であって、実質的にはかなり制限されたものにならざるをえない。財源調達を国債に依存する場合には金融不安を招かないように財政規律の遵守を求められる。

2.ユーロが発足時から抱えている問題

●関税を撤廃したり通貨を統一したりするのであれば、域内では弱肉強食の競争状態になる。強い国や強い企業はより強くなり、弱い国や弱い企業は衰退するのは必定である。
●大きくなった市場で蓄えられた競争力はユーロ圏外に対しては効果を発揮するかもしれないが、関税や為替レートによって防護されてきた域内の国の産業は強い域内の他国や産業に対して無防備になる。域内では勝ち組と負け組みにはっきりと分かれるようになる。結果として国ではドイツの一人勝ちになった。
●ここに一つの通貨圏ではあっても一つの国でないことに大きな矛盾が生じる。

3.ユーロの悲劇

●最近のニュースによると、ユーロ各国の国債は優等国のドイツ国債でさえも売れ残るような事態になったということである。国債が市中消化されなければ、税金の他に財源の調達手段がなくなる(とだれしもが考えている)ので、税率のアップや社会保障費の削減によって経済は不活性になり、ユーロは全体として貧困が増す暗い社会になっていかざるをえない。
●日本をユーロと見なし、都道府県をユーロ域内の国に置き換えてみよう。国であれば、豊かな経済地域(東京都)から貧しい地域(貧しい県)への交付金という形での財源移転も国民はある程度納得しうる。貧しくなった県には国から様々な支援の手が差し伸べられる。震災被害地などは全力で復興されることになる。
●しかし、ユーロの場合には国が異なるためこのようなことはしない(できない)。ドイツ国民は無条件にギリシャなどへ支援することには強硬に反対することになる。所得移転や財政的支援など国内では許されることが、国家間になれば富んだ国の国民の猛反発を受けること必定である。
●従って、通貨を統一するならばユーロ域内の国も統合し単一の国家(一朝一夕にできるわけがないが)にする必要がある。通貨を統一しておいて、財源調達は国債で国別に行えというのはそもそも無理がある。通貨を統一するならばユーロ共通債で調達した財源を各国に支給するというのがあるべき姿である。ところがユーロ共通債の導入についてはドイツが強硬に反対しているようである。
●国の通貨がある場合、国内の産業競争力が弱くなれば貿易赤字になり、その結果として為替レートが変動し、弱くなった通貨によって輸出競争力が回復する。固定為替レートでは調整弁がなくなり、勝ち続けるか負け続けるかだけになる。
●ドイツのメルケル首相やフランスのサルコジ大統領はユーロ共通債導入の前提として財政規律守れない国には制裁を課すと言っているようだがとんでもないことである。制裁の中身は定かではないが、経済力の無い国は関税と為替レートという国内産業の防御手段が無くなった上に、逼迫した時には追い討ち的な制裁まで課されるということになる。これは既に仲間の関係ではなく、支配者と被支配者の関係である。
●財政規律を金科玉条のように振り回す人は、経済成長が無ければ税収は決して増えないことを知るべきである。経済成長が無いのにも拘わらず税収を増やそうとすれば増税するかしかない。増税すれば経済は減速し更に税収も減る負のスパイラルに陥る。同様に歳出削減は民需の落ち込みに輪を掛けて総需要を減少させることになるので、景気をどん底に落とし込むことになる。景気が一層悪くなり、所得はますます低くなり、失業率が高くなるにも拘わらず社会保障費が削減されるという事態になる。国民の不安・不満は頂点に達すること必定である。財政規律の名の下に貧乏な国民から身ぐるみ剥ぎ取る苛斂誅求でなくてなんであろうか。
●国内の民間需要が落ち込んだ時に景気を回復させるには、国外の需要(輸出)を当てにするか政府の財政出動を期待するしかない。景気の悪い時は税収が不足しているかもしれないが、だからといって歳出削減をしていたのでは、景気は落ち込むばかりである。こんな時には国債を追加発行してでも需要を喚起する必要がある。
●ところで、ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガルなどのPIIGSは本当に豊満財政が原因で財政破綻や財政危機に陥ったのであろうか? これまで述べてきたように、統一通貨ユーロを導入したことに大きな原因があるといわざるを得ない
●国内の社会保障は国として国民の基本的人権に関わる重要事項である。財源が不足する場合には、今のところ国債に頼らざるを得ない。この国債もユーロ以前であれば自国通貨建てで済んだものが、自国通貨が発行できなってしまったためにユーロ建てになる。これは外債と同じことである。輸出によって稼ぐしか国債の償還ができないことになる。ところが前述のような状態で、輸出競争力の回復手段も失われてしまっている。
●財政規律の遵守をせまり制裁を課された国は袋小路に追い込まれ、国民の生活破産を招く。このような事態になるのであれば国はユーロから脱退し、借金を踏み倒し、自国の通貨発行権を取り戻す道を選ぶことになるであろう。ギリシャに引き続きPIIGS諸国がこれに習い、ものの見事にユーロは崩壊するに違いない。
●ユーロ共通債が連邦国家に向かう糸口になる可能性を全否定はできないが、可能性は極めて低い。各国が主権を失うことに関してはナショナリズムを放棄することになるので、並大抵の抵抗ではすまないだろう。

4.日本における財政規律の問題

●ギリシャや日本に限らず多くの国が財源不足を国債の発行によって賄っているが、財政規律と社会保障費との間で政策の押し問答を繰り返している。
●日本のように生産余力が充分にあるにも拘わらず、デフレを未だに脱却できないでいる国もある。1000兆円もの国債発行残高を抱えて問題だと言われている。実は「問題だと言われていることが問題」なのである。本当のところは何も問題などないからである。日本の場合はギリシャなどとは全く問題が異なり国債のほぼ全額が国内で消化されている。
●「問題だと言われていることが問題」であるというのは、そのことによって財政規律なるものを持ち出し、社会保障費などを削減しようとし、デフレ脱却のための財政出動を拒んで景気回復を遅らせているからである。1000兆円の国債という借金は、いざとなれば政府が通貨発行権を出動し、1兆円金貨を1000枚も作ればいっぺんに帳消しできてしまうような代物なのである。因みに現在でも政府通貨としてコインは発行されている。…であるからして放っておいてもどうということのないものである。子孫に回るツケなどビタ一文ありえない。

5.すべての原因は銀行の信用創造通貨にある

●現在の世界経済および各国の財政問題の多くは、利潤追求動機で発行される銀行の信用創造通貨に基づく金融・財政システムに原因がある。
●「税金で財源を賄うべきである」ということを見直す必要がある。同時に「やむをえない場合に国債というような形式で不足財源を調達する」ということも見直す必要がある。日本では税収と同程度の財源を国債に依存しているのであるからして、既に国債は不足財源を補うための便法以上のものになっている。逆に、今後ますます「主たる財源調達手段は国債による調達資金で、その支出の回収手段が税金」ということにならざるをえない。
●さらに言えば、国債なとどいう回り道など本来必要はなく、政府貨幣(公共通貨)を発行した方が単純明快になる。政府貨幣という言葉を持ち出したとたんに「ハイパーインフレを招くような事態になる」とバカの一つ覚えのように反対する人達がいる。確かに、敗戦直後のような生産力を喪失した状態で大量の貨幣が発行されればハイパーインフレにもなるであろうが、現在は生産余力が十二分にあって長らくデフレに苦しんでいる状態にある。インフレは通貨発行量に比べてモノ不足の時に起きる現象であって今は状況が全く異なる。インフレを心配する前にデフレを心配するのが筋である。このような単純なことが理解できない「自分の頭で考えない先入観に洗脳された頭の持ち主」(特に経済学者といわれる連中)が実に多い。
●市中銀行で信用創造されたお金に利子をプラスして払う借金という形式の国債でなければならない理由などない筈である。市中銀行の利潤追求動機に基づく信用創造マネーは、景気の良いときに必要以上の通貨供給を行い、景気の悪い時に出し渋る。まったくもって国民の期待と裏腹のことを行っているのである。ところが政府貨幣(公共通貨)は、政府が民意を反映するものである限り(戦時下の独裁政権のようなものでなく)国民の幸福を目的に通貨の供給量を調節できる利点がある。国家の財政を銀行支配の下から解き放つには通貨発行権を銀行から奪い返す必要がある。

●参考までに下記の本を一読されることをお勧めします。


『新しい貨幣の創造|
市民のための金融改革』
ジョセフ・フーバー/ジェイムズ・ロバートソン[著]
石見尚/高安健一[訳]

●銀行の信用創造機能を無くし、政府が通貨発行権を取り戻せば、環境、社会的公正、経済成長の3つを同時に達成できると説いている。





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最終更新日  September 5, 2012 11:44:10 AM
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