「クロとマルコ」買いました
久しぶりに単行本の話を。ヤングチャンピオン烈に掲載された掘骨砕三作品が1冊に纏まりました。当初は読み切り形式だったしエロ要素も無いし、なにより秋田書店なので単行本が出ない可能性を危惧しましたが杞憂に終わって良かったですw表題作「クロとマルコ」4話、「鼠と竜のゲーム」2話、単発の読み切り作品4本で構成されています。ジャンルで言うとファンタジー漫画ということになるんでしょうか。全ての収録作品に言えるのは、最大の見所がストーリーやキャラクターではなく世界観であるということ。金属のような人間たちが暮らす世界、竜という生物が存在する世界、恐竜が人間に飼育されている世界、キスで増えるカラスのいる世界…この漫画で描かれるのはそんなどこか変わった世界に住む人たちの普通の営み。中でも「白い竜」はその傾向が顕著で、恐竜のいる世界ならではの大事件(肉食恐竜が暴れだすとか)は全く起きないんですが淡々と描かれた日常がその世界の不思議さを一層際立たせて、それが非常に魅力的なんです。誰かの行動に感動したりドキドキしたりはしないけどだからこそ「変わった世界の変わったルール」がとても心に残る。掘骨作品の面白さはそういう所にあるんではないかと思います。この単行本、烈の広告ページでは「地が弛み飲み込まれる様な心地よい倒錯感」と表現されていましたがこれだと怪奇漫画っぽいですよねw「顔だけ人間で首から下はネズミ(あるいは竜)」という特異なデザインや「見た目は完全に人間だけど扱われ方は魚」といった不可思議な設定は人によっては嫌悪感を覚えるかもしれません…しかしグロテスクな表現(モツが乱れ飛ぶとか排泄物にまみれるとか)は無いしキャラクターの性格やしぐさ、喋り方なんかは皆とても可愛らしいのでちょっと変わった漫画が読んでみたい、という人にはオススメです。単行本のオマケはカバー下の4コマ漫画と巻末の元ネタ集。描き下ろしのカラーイラストも何点かあります。元ネタは自分には殆ど分かりませんでしたwそろそろ烈で掘骨先生の新作が読みたいな…これがたくさん売れれば載るんだろうか…。